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【特集コラム】小田島久恵の“バレエって素敵”

【特集】バレエって素敵

【特集コラム】小田島久恵の“バレエって素敵”

一度はまったら抜けられないバレエの魔力について、夢やエロスを交えながら語っていく「小田島久恵の“バレエって素敵”」。ぜひあなたもその魔力に憑りつかれてみては?

※毎月更新予定

★コラム第1回「白タイツはバレエの金字塔」こちら
★コラム第3回「マリインスキー・バレエ」こちら


コラム第2回「心も姿も美しい究極のバレリーナ」

「パリオペラフィット」より
「パリオペラフィット」より photo by James Bort

この夏、初のフィットネスDVD『パリ・バレエ・フィット』をリリースしたパリ・オペラ座のエトワール、ドロテ・ジルベール。筋トレ・有酸素運動・ストレッチをバランスよく組み込んだエクササイズの内容は、バレエ学習者のみならず、均整の取れた身体を作り上げたいすべての女性(男性も)にとって、とても参考になる。何より、優美なフォームでお手本を示すドロテがとても魅力的で、少しハードな訓練も彼女と一緒なら頑張ってみようという気になる(部分的にやってみました; 筆者)。ポップな音楽に乗ってエアロビをするドロテを見られるのもすごいが、どんな音楽もエレガントに身にまとってしまう天性のパフォーマーぶりには驚くばかり。8月に行われた世界バレエフェスティバルで来日していた彼女に、頂点を究めたバレリーナの美の哲学について質問してみた。

-- DVD『パリ・パレエ・フィット』ではドロテさんのチャーミングなパーソナリティと上品さを再発見しました。ドロテさんには一流のバレエ・ミストレス(教師)の才能があるのではないかと思ったのですが。

「ありがとうございます。昔から、仲間のダンサーに気づいたことをアドバイスすることが多かったのですが、皆『的確なことを言ってくれて助かった』と感謝してくれましたね。身体に関しては、私はコンプレックスの塊で、もともと柔軟性に恵まれていなかったので、トレーニングで克服していったのです」

-- 舞台ではいつも完璧に見えるので、コンプレックスがあったとは信じられません。

「つねに完璧ではないのです。出産を経験してから身体も変わりましたし、内面も変わり表現も変化しました。自分の内側と対話して、和解していくことが必要なのだと思います」

1「パリオペラフィット」より
「パリオペラフィット」より photo by James Bort

-- ドロテさんはバレエ以外の人生もちゃんと楽しまれている感じがします。バレエだけが100%という感じの方もいますが…。

「バランスをとることが大事ですね。オペラ座のダンサーは引退する年齢が決まっていますから。バレエをやめたときに自分の人生に何も残っていなかった…ということになっては、遅いですから」

-- バランス!ドロテさんのキーワードですね。均整と調和ということがつねに美につながっています。絵を描いたり歌を歌ったりするのもお上手なのでは…。

「実は、このDVDで私が着ている赤いユニタードは、自分自身でデザインしたものなんですよ。日本の皆さんはこういう大胆なデザインはあまりお好きではないかしら…ウェアのデザインは、今後も続けていきたいと思っているのです」

-- ドロテさんのデザインするユニタードが日本で発売されたら、私もダイエットして着てみたいです!ところで、特典インタビューでは11歳のときに地元のトゥールーズのバレエ学校から猛勉強して、パリ・オペラ座バレエ学校へ入学するエピソードが語られています。11歳のとき何が起こったのでしょう?

「オペラ座バレエ学校の入学の年齢制限が12歳なのです。両親は私に対して『続けるならオペラ座のバレエ学校で学ぶべき』と、つねに一流をめざすよう励ましてくれました。本当に当時は、朝から晩まで一生懸命練習をしていましたね」

オペラ座の舞台写真

-- 2007年には24歳でエトワールになられています。パリ・オペラ座では引退直前にエトワールになるバレリーナもいますから、順調なキャリアを積まれてきたといえますね。

「オペラ座の昇進試験では自分の踊りに様々な意見が向けられることはわかっていましたが、審査する先生方によって好みは分かれても、『これは評価に値する』という基準が絶対にあると信じていました。エトワールになる、という目標を決めて、それに向けて日々取り組んで実現したのです」

-- ダンサーにとって客観性がいかに重要かということがわかります。ここ数年でドロテさんの先輩にあたるエトワールが続々引退していますが、オペラ座の中で担うポジションが変わってきたと感じることはありますか?

「そういう感覚はないですね。やはりダンサーは究極的に『個』なのだと思います。とはいえ、素晴らしい相手役が引退するときは、とても寂しいですよ。マニュエル・ルグリやニコラ・ル・リッシュは私のキャリアを引き上げてくれたダンサーでした」

-- 現在では、ドロテさんはマチュー・ガニオさんと踊ることが多いですね。

「マチューは同い年ですので、引退も一緒です(笑)。マチューと私とでは性格的にも違うタイプだと思うのですが、踊るときは素晴らしい相性を感じます。彼は身長が高いのでポワントでも余裕でサポートしてくれますし、たくさんのインスピレーションを与えてくれるのです」

知的でユーモアもあり、その場にいる全員に優しい気配りも忘れないドロテ。美の神殿からバカンスにやってきた女神のような素敵なバレリーナでした。

「パリオペラフィット」ジャケット写真
photo by James Bort

ドロテ・ジルベール パリ・バレエ・フィット

バレリーナ秘伝のメソッド満載!これ1枚で出来るトータル・ダイエット!
1日15分!初心者から家庭で出来る、体幹&痩身トータル・バレエ・フィットネス
パリ・オペラ座エトワールのドロテ・ジルベールがプロデュース!

女性の憧れであるバレリーナのような究極の美しい体を手に入れるためのエクササイズをわかりやすくまとめた作品。
監修は、日本で絶大な人気を誇る「パリ・オペラ座」のダンサーの頂点であるエトワールを務めるドロテ・ジルベール。

バレリーナが理想的な体型を維持するために、そして体のラインを自在にコントロールするために実践しているパリ・オペラ座のメソッドを基礎に誰でも簡単に取り組めるフィットネス・ビデオ。

プログラムは、ワークアウトの基礎となる・ストレッチ・有酸素運動・筋力トレーニングの3パートで構成され、さらに各パートを初級・中級・上級編に分け、各自のレベルにあわせるなど好きな組み合わせが可能!


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コラム第1回「白タイツはバレエの金字塔」

男性バレエダンサーのぴったりしたタイツ姿について「なぜあのようなタイツなのでしょう?」と質問をしてくる方がいる。なぜもへちまもなく、バレエとはああいうものなのである。バレエ鑑賞初心者の方は「目のやり場がない」「照れてしかたない」などと仰るが、大丈夫。そのうち目が慣れて、自然な光景に見えてきますゥら。

バレエの衣裳史などを見ていると、女性のチュチュは最初ロングスカートで、ひざ下くらいの丈になったあたりで早くも物議が醸し出されている。男性はどうか。自分でバレエを踊った太陽王ルイ14世の肖像を見ると、早くも短いチュチュのようなコスチュームの下にぴったりとしたタイツ(ハイソックス?)を履いている。トレーニングされた下半身の動きを詳しく見せるためにも、ボディにフィットした男性のタイツは実に合理的なアイテムなのだ。下着のラインは見えないが、タイツの下にはサポーターをつけ、だいたいTバックになっている。アメリカ人ダンサー、デヴィッド・ホールバーグさんがトークショーのときお客さんに見せてくれたことがあったが、肌色のサポーターはとても小さく、最小限の部分をサポートする。他のデザインもあるのかも知れないが、実際に見たことはない(カプセル型のものがあるという噂)。

タイツの色も役柄によってさまざまで、庶民的なキャラクターの役だと茶色や深緑、それ以外だと赤や灰色、水色なんかも多く見る。『オネーギン』のようなバレエでは黒タイツを履くので、どのダンサーの足も引き締まって見えるが、個人的には黒のタイツは好きではない。なんだかタイツの本質から外れているような「逃げ」を感じるからだ。『白鳥の湖』のジークフリート王子はほぼ100%純白のタイツで登場するので、毎回感動する。あの王子のタイツこそ、逃げも隠れもしないバレエの魂だと思う。膨張色なので油断がならない分、すべてを差し出してくれているような真心を感じる。「王子」という言葉を聴いただけで、条件反射的に「白タイツ」を連想してしまう私なのだった。

筆者プロフィール

小田島久恵

小田島久恵

音楽・舞踊ライター。
10代でジョルジュ・ドンの魅力に痺れ、ベジャールとクラシック・バレエにはまっていく。
大学では美術を専攻し、バレエとパフォーミングアーツについての卒論を書く。
ロック雑誌『ロッキング・オン』の編集部に就職した後も、国内外のバレエ公演に出没。
パリ・オペラ座バレエ、英国ロイヤル・バレエ、ハンブルク・バレエ団、アメリカン・バレエ・シアタ―、ボリショイ・バレエ、マリインスキー・バレエがお気に入り。
一度はまったら抜けられないバレエの魔力について、夢やエロスを交えながら語っていきます。

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