【インタビュー】スカート

 

スカート

スカート流ソフト・ロックの傑作を携え、2年振り2度目のフジロックへ

 

観客として憧れていたステージに自ら立つことは、アーティストにとって大きな夢の実現だろう。2年前にフジロック・フェスティバルに初出演を果たした、日本ポップス界の至宝・スカートこと澤部渡もその一人だ。

 

「2008年のフジロックにスパークスを見に行ったのが最初で、せっかくだから朝から晩まで見ようと思って、ずっとFIELD OF HEAVENとORANGE COURTを行ったり来たりしてました。鈴木慶一さん、柳ジョージ&レイニーウッド、フラワー・トラベリン・バンド、マーク・スチュワートを見て、スパークスを見るという並びだった気がする。二十歳の学生にとってはチケットも決して安くはなかったですけど、そのぶん楽しむぞ!という気持ちで行った覚えがあります。あの時のことは未だに思い出しますね。だから2年前にフジロックに出させてもらった時は、感慨深かったです」

 

スカートは2017年のフジロック、苗場食堂に初登場。同時刻のグリーン・ステージはブラーのデーモン・アルバーン率いるゴリラズで、「全員そっちに行くと思ってた(笑)」ものの、予想に反して(?)苗場食堂はスカートを見に来た観客で一杯になった。

 

「すごく楽しかったです。初めてのフジロックだから上がってたんですけど、みんな優しくて、ワーッと迎え入れてくれて、緊張がほぐれました。すごく思い出に残るライブになりましたね。あと思い出と言えば、キーボードの佐藤優介が“(ホワイト・ステージの)クイーン・オブ・ザ・ストーン・エイジが見たい!”と言って、本番直前まで見てて、セッティングは全部僕らでやって。走って戻ってきて、ギリギリになってステージによじ登ってきた。あんなに汗をかいてる佐藤優介は今まで見たことないです(笑)」

 

2年振り2度目のフジロックの舞台は、RED MARQUEE。屋根のあるライブハウス的な熱狂と、風が気持ちよく吹き抜ける屋外の開放感を兼ね備えた、およそ5,000人を収容できる人気のステージだ。

 

「2年前にレモン・ツイッグスを見たのを覚えてます。半野外みたいな感じだから、ちょっと演奏する想像がつかないというか、どういうお客さんが来てどういう盛り上がりになるのかが読めなくて。今までにない経験と環境が重なるので、それに柔軟に対応できるのか?という心配はありますけど、僕らはちょうどアルバムを出して、ツアーをやって、演奏は仕上がってると思うので、今までのスカートのオール・タイム・ベストみたいな感じでやれたらいいかなと思ってます。この間、ティーンエイジ・ファンクラブの来日公演を見に行ったんです。最近好きになったから知らない曲もたくさんあったんだけど、やる曲やる曲“全部いい曲だ!”という気持ちになって、これが理想だなと思ったんですよね。初めての人にも喜んでもらえる、いい曲をばんばんやるライブを、フジロックではやりたいと思ってます」

 

その、スカートのニュー・アルバムは『トワイライト』。アコースティック・ギターの柔らかいグルーヴを隠し味に、繊細で美しいメロディ、少年の如く澄んだ声、抽象画のようにイメージがどこまでも広がる歌詞が溶け合った、キャッチーなポップ・チューンが11曲。「君がいるなら」(映画『そらのレストラン』主題歌)、遠い春(映画『高崎グラフィティ。』主題歌)など話題曲も満載だ。

 

「新しく買ったアコースティック・ギターをたくさん使ってるんですけど、そんなにアコースティックっぽく聴こえないアルバム。去年はずっとソフト・ロックを聴いていて、なぜかと言うと、前のアルバム『20/20』を聴いてくれたカーネーションの直枝政広さんが、“ソフト・ロックのアルバムだ”と言ってくれて、直枝さんにヤング・ブラッズの『ライド・ザ・ウィンド』を薦めてもらったことをきっかけに、これまで好きだったキンクスの『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』や、ゾンビーズの『ライヴ・アット・ザ・BBC』とか、“これもソフト・ロックなんだ”と思って聴いていた。だから今回のアルバムで目指したものは、実はソフト・ロックなんですね。達成できたかはちょっと怪しいんですが(笑)。自分でもいいアルバムだなあと思っていて、曲の流れがいいという意味では、今までのスカートのアルバムの中でも1、2を争うものができたと思います」

 

最高の自信作を引っ提げて、再び思い出のあの場所へ。大きな体一杯にポップスの魔法を詰め込んだスカート、7月28日(日)、RED MARQUEEの雄姿をお楽しみに。

 

「二つの気持ちがあって、大歓迎で迎え入れてほしい気持ちもあるし、あえてじっくり聴いてもらうのも、それはそれでいいだろうなと。結局、感じたままに見てもらうのが一番いいんだろうなと思います。僕らは“今までスカートはこういういい曲を書いてきたんだ”という気持ちで、知らない曲も楽しんでもらえるようなライブにしたいなと思ってます」

プロフィール

スカート

2006年、澤部渡のソロプロジェクトとして多重録音によるレコーディングを中心に活動を開始。2017年10月にはメジャー1stアルバム『20/20』を発表。2018年、メジャー1stシングル「遠い春」が映画「高崎グラフィティ。」の主題歌、カップリング「忘却のサチコ」が高畑充希主演のドラマ「忘却のサチコ」のオープニングテーマに起用。そして、2019年にリリースした最新シングル「君がいるなら」には大泉洋主演映画「そらのレストラン」に書き下ろした主題歌と挿入歌を収録。
そのほか、アーティストへの楽曲提供や、ドラマ・映画の劇半制作に携わるなど、多彩な才能を持ったシンガーソングライターであり、バンドである。

 

公演情報

FUJI ROCK FESTIVAL'19

fujirock-DYGL

 

 

公演日程・会場

 

7/26(金)~28(日) 新潟・湯沢町 苗場スキー場

※スカートは7/28(日)RED MARQUEEに出演

 

  • ▼ローチケならチケット手数料0円
  • ローチケでフジロックのチケットを購入すると、通常かかる各種チケット手数料がすべて0円に!
  • ※券種により例外あり
  • ※詳細はお申し込み時にご確認ください
  •  


    スカート Major 2nd Album リリースツアー “トワイライト”

     

    公演日程・会場

     

    7/5(金) 名古屋 CLUB QUATTRO(愛知県)

    7/6(土) 梅田 CLUB QUATTRO(大阪府)

    7/19(金) 渋谷 CLUB QUATTRO(東京都)

     

  • ▼全公演チケット販売中
  •  

    インタビュー・文/宮本英夫