【インタビュー】スガ シカオ
デビュー22年で初出演。スガ シカオのフジロックへの思いとは?
フジロックが始まった1997年にデビューしたアーティストが、2019年に初めてフジロックに出演する、というケースは、ちょっとレアなのではないか。フジロック初日の7/26(金)、WHITE STAGEに立つスガ シカオ。キャリア22年、自身の曲も人に提供した曲も含めて多数のヒット曲を持つシンガーソングライターであり、「日本語でファンクを鳴らす」ことにおける第一人者であるスガ シカオは、どんな思いでフジに臨むのか。ニュー・アルバム『労働なんかしないで光合成だけで生きたい』をひっさげて全国ツアー中の彼に訊いた。
― 今は、ツアーが始まって間もないところですよね(※この取材を行ったのは5/9)。
「4本終わったとこです。なんか、『これからどうなるんだ!?』っていう感じです、お客さんがヒートアップしすぎて。ホール・ツアー、10年ぶりなんですね。ずっとライブハウスでしかやってなかったから、ホールに戻って来ても、お客さん、ライブハウスのノリが抜けなくて。俺もそうなんだけど。それでもうどんどんヒートアップしていっちゃって。」
― アルバムの反応はいかがですか?
「今までとは全然違う反応が多くて。変なアルバムタイトルなんだけど、すごくエヴァーグリーンな感じの印象をみんな持ってくれてるというか。『今まででいちばん好きなアルバムかも』みたいな感想も多いし、若い子とか、新しく聴いてくれる人も増えたし。」
― で、今回、フジロック初出演ですけども。スガさん、1997年デビューですよね。
「そう。一緒、フジが始まったのと。でも、残念ながらずっと、フジロックと『AUGUSTA CAMP』(スガが2011年まで所属していたオフィスオーガスタのイベント)が、毎年重なっちゃってて。だから、出ることもそうだけど、観に行くこともできないんですよ。で、それが重ならなかったと思ったら、『J-WAVE Live』と重なったりして。」
― あ、J-WAVEでレギュラー番組を持ってましたもんね。
「そう。絶対出なきゃいけないイベントと常にかぶってるから、『自分は出ちゃいけないフェスなんだな』みたいな(笑)。でも、事務所を独立したあとに、『あ、そういえば、もしかして出られるんじゃないか?』って。ずっと縁がなかったけど、ラインナップとかは、毎年気になるから見るじゃない? 『すげえなあ、ボブ・ディラン来るんだ?』とか。」
― 確かに、昔からあるフェスで今になって初めて出るなんて、そうそうないですよね。
「ないよね。地方のフェスも、出たことないのはあんまりないし。しかもそれがフジロックっていう。不思議な気分。でも相変わらず、今年も洋楽のメンツ、いいですよね。俺、トム・ヨークと一緒の日なんて考えらんないよぉ(笑)。『どうしよう?』みたいな。いやあ、めっちゃドキドキしちゃうよね。」
― どんなライブをやろうと考えてます?
「今、回ってるホール・ツアーが、ホーン・セクション入りの8人編成のバンドでやっていて。それがものすごいファンキーなんですよ。フェスはだいたい4人で出るんだけど、フジロックは初めてだし、いちばん自分らしい音楽を見せたいと思っているので、今年は8人そのままで行きます。ファンクのメニューを中心に組んで……ツアーでやっていて、もう手放しで盛り上がれる曲からピックアップしようと思っていて。」
― ちなみに、フェス全般に対しては、どんなふうに付き合ってきた感じですか?
「そうだなあ……やっぱり、夏にフェス出ないとストレスなんですよ。週末にフェスが入ってないと、なんか『あれ?』って。でも、やっぱりフェスはロック文化が根底にあるから。テンポが速くて、8ビートで、みたいな曲がどのバンドも続くから、そこに合わせないとお客さんがノリきれない、みたいな。でも、2012~2013年ぐらいからかな、もっとみんな多様性を持ってもいい雰囲気になってきて。俺も、BPM90とかのディープなファンクとかをメニューに入れても許されるというか、お客さんがちゃんとついてきてくれるようになって。だから最近は、フェスらしい曲じゃなくて、自分らしい曲をセットリストに入れるようにしている、それで喜ばれるし、楽しんでもらえるようになったな、っていう変化は、すごく感じてますね。」
― なぜそう変わってきたんでしょうね。
「いやあ、どれもこれも同じようなビートで、同じノリでやってたら、そりゃみんな飽きるでしょ、みたいなことだと思うんですよね。若手のロック・バンドとか、みんなキック4つ打ちだったりして、同じくらいの速いテンポだったりして、お客さんのノリも全部同じだから。でも最近は、そうじゃなくても受け入れる、のって聴くだけじゃないフェスがちゃんと成立する、そういうふうに変わってきたんだな、って思いますね。」
プロフィール
スガ シカオ
'97年に『ヒットチャートをかけぬけろ』でデビュー。
1stアルバム『Clover』以降、全てのオリジナルアルバムがオリコンTOP10入りを記録している。
公演情報
FUJI ROCK FESTIVAL'19
7/26(金)~28(日) 新潟・湯沢町 苗場スキー場
インタビュー・文/兵庫慎司