【インタビュー】LE VELVETS
2024/7/15(月・祝)

ひとまずの集大成であり、
それぞれの未来へエールを贈るツアー
クラシックを中心に映画音楽からポップスまで高い技術と歌唱力で名曲を響かせるLEVELVETSが、生バンドと共におこなう恒例のツアーの開催を発表した。毎年、異なるテーマを設けておこなってきたが、今年は脳梗塞から復帰を果たした佐賀龍彦がリハビリにより専念するために9月末で脱退することもあり、この4人にとって大切な節目にもなる。
宮原「バンド編成だとアレンジであったり、いつもとは違う雰囲気でやってるのですが、今年は佐賀くんが脱退というところもあり、一緒に16年やってきた想いを込めたツアーにしたいんです」
療養から復帰した佐賀は順調に歩み出したようにも見えたが、まだまだ足りないと感じていた部分も多いと語る。
佐賀「歌声は戻ってきたんですけど、その場のちょっとしたやり取りであったり、言葉が出てこないときもあって。これはもっとリハビリに打ち込んでいかないとダメだと思ったんですよね」
佐藤「今までできていたことができなくなっている葛藤があることは感じていましたし、驚きましたけど、同じ歌手として理解できるところもあるんです」
日野「ツアータイトルにある“VIVERE”は結成当初におこなっていた路上ライブから歌っている曲なのですが、イタリア語で“生きる”という意味があります。それぞれにいろんな未来がありますし、このテーマを掲げることによって感じてもらえることがあるんじゃないかと」
内容としてはこの4人で歩んできた歴史へフォーカスしたモノになるが、昨年の15周年を記念したコンサートとはまた違う角度から選曲をしていくという。
佐藤「15周年では結成当初に焦点を当てたんです。今回はそれよりは少し新し目でCDには入っているけどあまり歌っていないモノを選曲してます」
日野「僕たちがどうやってでき上がったのかがわかると思いますね」
コロナ禍以降、配信でライブに触れる機会も増えたが、やはり生で聴く音は格別。他では味わえないモノがある。
宮原「ライブならではの良さは循環にあると思うんです。お客さんからのリアクション、拍手、空気を感じて気持ちがより入って、と言ったようにエネルギーが循環していきますから」
佐賀「東京は特にそうだと思うんですけど、隣に誰が住んでいるかもわからないような生活をしている僕らにとって、同じ気持ちを持ったたくさんの人が一緒の空間にいることもそうですね。また、ステージに立ったとき、お客さんが目の前にいるとひとつの言葉に対してでさえ、何かを返してくれる。それもライブでしか味わえないことだなと思います」
これまで培ってきたひとまずの集大成となる今回のコンサート。一抹の寂しさもあるが、必ずや輝かしいステージが繰り広げられるに違いない。
宮原「今のLE VELVETSによる全力の歌とパフォーマンスと喋りを楽しんでもらいたいなと思います。離れていく佐賀くんの背中を押してあげられるようなコンサートにして、僕たちもそうですし、お客さんにも人生の中で励みになるような一瞬を味わってもらいたいです」
佐賀「本当に3人の助けを借りながらステージに立つということもありますし、普段と変わらず、やるべきことをやるというのがあります」
日野「佐賀くんが一時脱退して4人としては最後になってしまいますけど、これまで楽しんでもらえたコンサートをお届けしたいです。僕らも最初からLEVELVETSじゃなく、お客さんに育てられて一緒にLE VELVETSになったと感じていまして。一時の締めくくりとして、佐賀くんの未来を、僕らの未来を見送っていただければと思っています」
佐藤「佐賀さんを送り出す想いを込めたコンサートではありますが、それはお客さんの人生へのエールにもなると思うんです。何か糧になるような、そういったエネルギーを感じてもらえるようなコンサートをお届けしたいですね」
プロフィール
LE VELVETS/るゔぇるべっつ
'08年結成。全員が音楽大学声楽科出身のヴォーカルグループ。メンバーは宮原浩暢、佐賀龍彦、日野真一郎、佐藤隆紀。
公演情報
LE VELVETS CONCERT TOUR 2024「VIVERE~彩りの未来へ~」
- 8/3(土)18:30 東京・Bunkamura オーチャードホール
- 8/4(日)15:00 東京・Bunkamura オーチャードホール
- 9/21(土)16:00 NHK大阪ホール
インタビュー・文/ヤコウリュウジ
構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載