藤田嗣治(1886-1968)は、「美しき乳白色の下地」と讃えられたその絵画で世界的に知られた、エコール・ド・パリを代表する画家です。この展覧会では、藤田の絵画制作を「写真」を通じて再考していきます。
いくつかのカメラを所有していた藤田は、生涯にわたって数千点におよび写真を残しました。華やかなパリ、先進的なニューヨーク、情緒ただようラテンアメリカ、活気あふれる北京、そして日本。世界中を旅した藤田の写真は、20世紀の記憶だけでなく、絵画の裏に隠された彼の「秘密」をも饒舌に物語ってくれます。
本展では絵画に現れる写真の断片を徹底的に探り当て、藤田の写真活用のプロセスを検証します。さらに藤田が撮った写真のなかには、彼の絵画と同じく、観る人の心を惹きつける優品が数多く存在しています。本展では日本とフランス・エソンヌ県に現存する写真を厳選して紹介し、藤田の知られざる魅力にせまります。また、藤田自身の姿は自画像、自写像、著名な写真家たちによるポートレートなどによって今日に残されています。重層的かつ巧妙に演出された藤田自身のイメージもまた、絵画と写真によるハイブリッドな生成物だと言えるでしょう。描くこと、そして撮ること。二つの行為を絶えず行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない語り方で藤田嗣治を紹介していきます。
| 日程 |
9/27(土)~12/7(日) |
| 開館時間 |
9:30~17:00、金曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
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| 会場 |
名古屋市美術館 |
| 休館日 |
月曜日(ただし、10/13(月・祝)、11/3(月・祝)、11/24(月・祝)は開館)、10/14(火)、11/4(火) |