「宋元仏画
」とは、中国の宋時代から元時代に制作された仏教絵画を指す言葉です。古くから仏教を信奉してきた日本は、仏教の先進国であった中国を慕い、規範や最新の情報を求めて海を渡りました。聖徳太子が派遣した遣隋使や、空海や最澄をはじめとした遣唐使の活躍によって、日本に多くの仏教文物がもたらされたことはよく知られています。唐が衰退して以降、日本はしばらく国の正式な使節を派遣しませんでしたが、分裂期を経て中国を再統一した宋(北宋・南宋)や、つづく元の時代にも、貿易船に同乗し、仏法を求めて中国の地を目指す日本僧は絶えませんでした。
日本中世以来、中国との貿易や入宋・入元僧の活躍によって請来された「宋元」の文化は、大陸からの新潮流として大きなインパクトをもって迎えられ、日本人の目を通して解釈され、自国の文化に摂取されてきました。とりわけ仏の御姿をあらわす絵画は、仏教圏である日本にとって最も尊ばれる舶載品のひとつであり、今日まで大切に守り伝えられています。そこには、中国ではすでに失われてしまった貴重な尊像も数多く含まれています。
本展では、宋元仏画の故郷(中国)でのありようと照らしながら、日本請来の意義を考えます。日本において、宋元仏画は寺院の中で機能してきただけでなく、新たな造像の規範とされ、また絵師の創造に取り入れられながら、日本文化に深く浸透してきました。なお、日本が「宋元仏画」として受容してきたものには、朝鮮半島で制作された仏画、そして道教やマニ教といった他宗教の図像までも含まれていました。本展では、日本にもたらされた「宋元仏画」を紐解きながら、その豊かな様相を明らかにしたいと思います。
2025年は関西・大阪万博(4/13(日)~10/13(月・祝))の開催が予定され、国内外から多くの方が関西へ足を運ばれることが期待されます。本展は隣国の仏教美術を核としながら、一方でこれを受け入れ守り伝えてきた日本の仏教文化の長い歴史と国際性、深い包容力、多様性などについてもより広く知っていただく機会にしたいと考えております。
日程 |
9/20(土)~11/16(日)
【前期】9/20(土)~10/19(日)
【後期】10/21(火)~11/16(日)
※会期中に夜間開館(開館時間の延長)を行なう場合があります。
※前期・後期ほか、会期中に作品の展示替えを行う予定です。 |
開館時間 |
9:00~17:30(金曜日は20:00まで)
※入館は各閉館の30分前まで |
会場 |
京都国立博物館 平成知新館 |
休館日 |
月曜日
ただし、10/13(月・祝)、11/3(月・祝)は開館し、
10/14(火)、11/4(火)休館 |