【インタビュー】DYGL
ロンドンを拠点に活動中の“DYGL”、新作を携えてフジロックに2度目の出演!
ポストパンク、ガレージロックなどのテイストを交えた独自のバンド・サウンドによって、シュアな耳を持った音楽ファンの注目を集めているDYGL。2017年にフジロック初出場を果たした彼らは、2018年に渡英。約2年ぶりとなるニューアルバム『Songs of Innocence & Experience』は、サイケデリックからAORまで幅広いテイストを取り込みながら、豊かな独創性と快楽的なポップネスを併せ持った作品へと昇華されている。7月からは全国24か所の「DYGL JAPAN TOUR」、そして、2度目のフジロック出演も決定!
― まずは2017年のフジロック出演のことから聞かせてください。RED MARQUEEのステージでしたが、いま振り返ってみるとどんなライブでした?
Nobuki Akiyama(Vo,Gt.):一昨年のフジロックは、じつはあまり体調が良くなかったんですよ(笑)。自分自身は集中してライブに臨んだんですけど、どういうライブだったかはあまり覚えてなくて。
― そうなんだ(笑)。私もライブを観ましたけど、めちゃくちゃクールでカッコ良かったです。
Akiyama:良かった(笑)。
Yotaro Kachi(Ba.):あとで写真を見たら、Akiyamaの表情がいつもと違ってました(笑)。僕はすごく印象に残ってますね。やっぱりフジロックは特別な場所なので。
Yosuke Shimonaka(Gt.):個人的にも日本でいちばん好きなフェスですね。特にRED MARQUEEは好きなステージだし、やっていて気持ち良かったです。ドラムのKamotoは野外フェスが苦手みたいですけど。
Kohei Kamoto(Dr.):(笑)ライブをやるのは好きですよ。
― そして7/3(水)にはニューアルバム『Songs of Innocence & Experience』がリリースされます。2018年に渡英してから初のアルバムですね。
Akiyama:1stアルバムの時とは、制作に対する向き合い方がだいぶ違ってましたね。前回は長い期間をかけて書いた曲を、短期間にシンプルにアレンジして、そのまま特に試行錯誤しながら迷う暇もなく一気にレコーディングしたんですけど、今回はそれぞれのプロセスに時間をしっかりかけて取り組めたので。最初からミニマルだったわけじゃなく、色々なアイデアを出したり、楽器のレイヤーを重ねてから要らない部分を引き算したというか。
Kamoto:ドラムに関しても、ベースとの兼ね合いを考えて、打ち込みを使ってアレンジしたり。
Kachi:ひとりでアレンジを考えるというより、みんなで意見を出し合いながら作ることも多くて。
Shimonaka:自分たちにとって新しいやり方も試せましたね。1stアルバムはレコーディングの時間が少なかった分アルバート(プロデュースを担当したThe Stokesのギタリスト、アルバート・ハモンドJr)とガスにレコーディングのペースなど引っ張ってもらったところもありましたけど、今回はもっと自分たちにフォーカスしながら作れたんじゃないかな。制作中人がどう思うかは考えてなかったし、反応を予想することもなかったから、(リスナーからの)フィードバックが楽しみです。
― 10年代のUK、USのインディーロックの潮流は感じますが、すごく独創的なサウンドだなと。最近はヒップホップ、R&B、ダンスミュージックを取り入れるバンドが多いですが、そういうトレンドとも一線を画していて。
Akiyama:R&Bやヒップホップも聴くし、それをどう取り入れるか?も面白いテーマだと思いますが、それが今回のメインのコンセプトではなかったですね。サイケデリックな要素もブリットポップのテイストもあるし、確かにトレンドとは違うところにあるかもしれません。僕らは根なし草みたいなところがあるから、それがアルバムにもつながっているのかも。
― 根なし草?
Akiyama:考えてみたらずっと移動してるんですよ。去年までは東京にいて、1人暮らしをしていた時期もありましたが、その前はライブやレコーディングでアメリカと日本を行き来していた時期もあって。今年一年はロンドンに住んでいましたが、その間も中国でのフェス、アメリカのSXSW、定期的に日本にも帰ったりして、アイデンティティが頭の中で混乱しそうになることもありました。土地と人と音楽の関係はとても面白いと思います。たとえば今新しい音楽の流れがあって注目されているサウス・ロンドンにいたら、その場所のシーン――いまはジャズ、ヒップホップなんかの要素をロックと混ぜているバンドが多いんですよ――にもっと影響を受けていたかもしれませんが、僕らがいる位置からは少し離れるのでやはりドップリ影響を受けているということもなくて。ただ僕らが住んでいる場所から少し距離はあるとはいえ、うっすら彼らの風も届いているような気はします。僕らは多分日本のシティポップの流れとも違うし、かと言ってロンドンのバンド然としているわけでもない。色んな要素がごちゃ混ぜになっているのが自分たちの音楽なのかなと。沖縄で言うところのちゃんぷるー文化です(笑)。
― とは言え、ロンドンに移住したことは大きな変化だし、音楽にも影響を与えているのでは?
Akiyama:どうなんでしょうね?直接的な影響がどこまであるかはわかりませんが、すごく感じるのは、“ミュージシャン”“映像クリエイター”“モノ書き”みたいにフィールドが分かれていないのが面白いですね、こっちは。ジャンルではなくて、感性が近い人たち同士が集まっているというか。だから友達と遊んでるだけでアイデアが生まれるし、24時間インプットしているような感じがあるんですよ。それは実際に来てみないとわからなかったことだし、クリエイティブに関してはすごく居心地がいいですね。
― アルバムのリリース後は日本国内のツアーがスタート。そしてフジロックへの2度目の出演も決まっています。
Shimonaka:もちろんアルバムの新曲もやるので、前回とは違う雰囲気のライブになると思います。
Akiyama:今回のアルバムは打ち込みも入ってるし、サックスがないと成立しない曲もあって。音源を再現するというより、ライブならではのアレンジや表現になるのかなと。
Kamoto:ウワモノ(ギター、シンセなど)に特徴がある曲も多いし、リズム隊がしっかりしてないとカオスな状況になるような気がして。ベースのKachiくんと戦いながら、しっかり支えたいと思います。
Kachi:負けないようにがんばります(笑)。
Shimonaka:フジロックはいちばんの舞台ですからね。自分たちも楽しみたいし、それがお客さんにも伝わったらいいなと。
― めちゃくちゃ期待してます。今年のフジロック、観たいアーティストは?
Akiyama:たくさんいますよ。同じ日(7/27・土曜日)だったらUNKNOWN MORTAL OCRCHESTRAとCOURTNEY BARNETT。でも、自分たちの出番と被りそうなんですよね…。金曜日(7/26)のKING GIZZARD & THE LIZARD WIZARDも見たいですね。
プロフィール
DYGL(デイグロー)
2012年結成、Nobuki Akiyama(Vo,Gt.)、Yosuke Shimonaka(Gt.)、YotaroKachi(Ba.)、Kohei Kamoto(Dr.)の4人組バンド。2018年に活動の拠点をイギリスに移し、精力的にヨーロッパツアーなどを行いながら、日本でも12月に行った東名阪札福ツアーはすべてソールドアウト。2019年1月にはアメリカのBADSUNSとのヨーロッパツアーを成功させ、3月にはSXSW2019にて8公演を行う。
公演情報
FUJI ROCK FESTIVAL'19
公演日程・会場
7/26(金)~28(日) 新潟・湯沢町 苗場スキー場
※DYGLは7/27(土)RED MARQUEEに出演
DYGL JAPAN TOUR
公演日程・会場
7/21(日) 岡山ペパーランド(岡山県)
7/23(火) 米子AZTiC laughs(鳥取県)
8/1(木) Double-u Studio(愛媛県)
8/3(土) 高知ri:ver(高知県)
8/4(日) 高松TOONICE(香川県)
8/8(木) 郡山CLUB#9(福島県)
8/9(金) the five morioka(岩手県)
8/12(月) LIVE HOUSE enn 2nd(宮城県)
8/13(火) 青森Quarter(青森県)
8/20(火) 金沢GOLD CREEK(石川県)
8/22(木) 新潟 CLUB RIVERST(新潟県)
8/23(金) 長野ライブハウスJ(長野県)
8/28(水) 奈良NEVER LAND(奈良県)
8/29(木) 京都 磔磔(京都府)
8/31(土) 広島Cave‐Be(広島県)
9/1(日) 神戸VARIT.(兵庫県)
9/8(日) Output(沖縄県)
10/3(木) FUKUOKA BEAT STATION(福岡県)
10/5(土) NAVARO(熊本県)
10/6(日) ホンダ楽器アストロホール(長崎県)
10/11(金) Sound Lab mole(北海道)
10/15(火) 名古屋CLUB QUATTRO(愛知県)
10/17(木) BIGCAT(大阪府)
10/19(土)EX THEATER ROPPONGI(東京都)
インタビュー・文/森朋之