藤岡幸夫が総監督・首席指揮者を務める関西フィルハーモニー管弦楽団を率い、ソリストに阪田知樹を迎えて臨む演奏会、その名も「THE SACHIO FUJIOKA」。どんな演奏、企画が飛び出すのか。2026年3月6日(金)に開催される本公演の会場、大阪のザ・シンフォニーホールへの思い入れも深い藤岡に、決意のほどを聞いた。
――演奏会のタイトルについて、お尋ねしない訳にはいかなそうですが……
企画について声をかけていただいたときは「本気ですか」と、びっくりしてしまいました。タイトルは(仮)で、本番はどうなるのか分からないと思っていたのですけれども……。タイトルは主催のザ・シンフォニーホール側のアイデアですから、ありがたいことです。頑張ります。
――どんなコンサートにしたいですか?
お客さんには真剣勝負の演奏、協奏曲を楽しく聴いてもらいます。演奏会は普通、序曲で始まりますが、代わりに2人の「爆笑トーク」から始まります。阪田さんにはリストにまつわる話をしつつ、リストのピアノ曲を弾いてもらう予定です。お客さんに和んでもらってから、協奏曲を聴いていただきます。後半のシンフォニーは私が解説します。「THE SACHIO FUJIOKA」と言うからには、シベリウスで勝負するしかないと思います。手を抜けません。めちゃくちゃに気合いが入っています。
――阪田さんの印象をお聞かせいただけますか?
会うたびに進化、スケールアップして、どんどん骨太になっています。2025年1月、グリーグの協奏曲を演奏したときは本当に驚きました。トークも今まで楽屋や控室で話をしていて彼とならば、と思います。彼はとても面白いですよ。
――ザ・シンフォニーホールにどんな印象をお持ちでしょうか?
年10回近く演奏をしていると思います。関西フィルを振るより前、マンチェスター室内管弦楽団をイギリスから連れてきてデビューしています。25年で計算してみても、出演は恐らく200回は超えています。木のぬくもりがあり、ステージから客席を近く感じます。地元のお客さんの比率が多いからかもしれませんが、おらが町のホール、オーケストラと思っていただいている感じかなと思います。
――演奏会の聴きどころを教えていただけますか
めちゃくちゃに熱い演奏を、楽しく聴いてもらえたらと思います。普段クラシックを聴かない初心者、コアなクラシックファンの両方に楽しんでもらえる内容にします。爆笑トークが一つの売りですが、それを真剣にやることで今までにないスタイルの演奏会にしたいと思います。実は私はこのホールで〝名曲〟を演奏する機会があまりありませんでした。例えば、ベートーヴェンの「英雄」「運命」は1回ずつしか振っていません。今回のシベリウスの名曲については、私と関西フィルならではの突っ込んだ、楽譜のペンが乾ききっていない生々しい演奏ができればと思います。ソリストの阪田知樹さんは風貌がリストのようになってきていますし(笑い)、彼とのリストもエキサイティングな演奏になるはずです。トークもスリル満点。ジェットコースターのような演奏会を期待してもらえたらと思います。
インタビュー・文/最上聡
掲載開始日:2025年11月12日
「THE SACHIO FUJIOKA」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]