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【レポート】ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2019

【レポート】ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2019 Presentation licensed by Disney Concerts. © Disney

おっさんライター、大人気の「ディズニー・オン・クラシック」初体験!ゲネプロ観劇レポ―ト

ディズニー映画やテーマパークの名曲の数々を、フルオーケストラの迫力満点の演奏とニューヨークのブロードウェイなど、ミュージカルシーンの第一線で活躍するヴォーカリストのとびっきりの美声で届ける 「ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会」。今年で17年目を迎え、初演からの公演回数がもうすぐ800回を数える、大人気を誇るこのライブ・エンターテインメントの全国ツアーが9月21日、東京・文京シビックホールにてスタートした。12月23日の千秋楽まで、全国24都市 で49公演が予定されている。リピーター率が圧倒的に高いと言われるこのツアー初日を翌日に控えた文京シビックホールでのゲネプロを、アラフィフのおっさんライターが観劇。ぶっちゃけ特にディズニーファンでもないし、生演奏に触れる機会さえ普段ほとんどないおっさんには、ディズニー・オン・クラシックは果たしてどう映ったのか? 終演直後に敢行した、指揮者のリチャード・カーシーさんと、ヴォーカリストのサンティーナ・ウンババさんへのショート・インタビューと合わせて紹介する。


Presentation licensed by Disney Concerts. ©Disney

本番直前に行われる最終リハーサルのゲネプロ。通し稽古で照明や衣装も本番さながら、今回はマスコミ関係者や特別招待客など、観客も入っている。公演は二部構成で、第一部は数々のディズニー映画のヒット曲やディズニーのテーマパークからの楽曲が“幕の内弁当”的に楽しめるハイライト(約50分)、第二部はアニメーション版『アラジン』の音楽の全編演奏(約80分)だ。うーん、思ったよりも長丁場。年のせいか、集中力、体力ともに最近めっきり落ちているので、最後まで寝落ちせず見届けられるのか不安がよぎる。



第一部のオープニングは、東京ディズニーランド?で今大人気のショー「ワンマンズ・ドリームII-ザ・マジック・リブズ・オン」からのナンバー「ワン・マンズ・ドリーム」でスタート。ミッキーマウスの生みの親である、あのウォルト・ディズニーの夢と魔法を描いたショーの大きな見どころの1つである同ナンバーを、オーケストラ・ジャパンが軽快に演奏していく。最後は、ヴォーカリスト8人(男性4人、女性4人)が圧倒的な声量で歌い上げてフィニッシュ。“夢の国”に行ったのはかれこれ数十年前。まったく知らない曲だったが、それこそ夢の国に誘われたかのような心地よさ。誰もが知っているような、有名なディズニー映画のナンバーで幕を開けないことに正直驚いたが、オープニングにふさわしいドラマチックな調べにまたびっくり! このショー、今年12月をもって終了してしまうそうなので、久々にディズニーランドを訪れてみようかなとの思いまでよぎる。

次は、昨年封切られた『メリー・ボピンズ リターンズ』から「メリー・ボピンズ リターンズ 序曲」と「幸せのありか」が演奏される。ブルーのドレスが映える長身のアリー・バラッチさんが歌う「幸せのありか」は、優しくて温かみのある超癒し系のナンバー。寝る前に聞いたら本当によく眠れそう。出だしでセリフっぽくつぶやく英語の歌詞は、メリー・ポピンズに倣ってイギリス英語なのも、個人的にはよかった!



続いては、ファン・リクエスト!ソングスとして5曲が披露される。これは、毎年実施される観客へのアンケートで、リクエスト曲として多く挙がった楽曲とのこと。『トイ・ストーリー』から「幻の旅」、『トイ・ストーリー2』から「ホエン・シー・ラブド・ミー」、『ムーラン』から「闘志を燃やせ!」「リフレクション」「トゥルー・トゥー・ユア・ハート」を立て続けに演奏。聞いたことのある曲、知らない曲の両方があったが、全部心にしっかり響くのは、ヴォーカリストの歌声が素晴らしいからだろう。静かに歌い上げたかと思えば、腹の底から湧き上がるシャウトが響く。



中でも8人全員が登場し、寸劇のように映画の世界観も再現された「闘志を燃やせ!」の歌声は圧巻。初共演とは思えない絶妙の掛け合いとハーモニーに、ミユージカルの本場の実力を見せつけられる。また今年が初の試みというペンライトを使った演出も楽しい。さっきまで真剣な表情で演奏していたオーケストラのメンバーが、茶目っ気たっぷりにペンライントを振る姿に思わずほっこり。グッズ販売コーナーで観客も同じペンライト(色が変わる仕掛けあり)が購入できるとのこと。一緒に振りかざせば、楽しさが倍増しそうだ。

もう1つ楽しかったのが、ナビゲーターのささきフランチェスコさん(艶ありvoiceがcool)と、今年ディズニー・オン・クラシックの指揮者に就任したリチャード・カーシーさんとのやり取り。「きっと、叶う☆Wish, Hope, Dream」という今回のテーマにちなんで、ささきさんがカーシーさんに3つの願いを尋ねると、爆笑の回答が! おっさんライターには大いに共感できる願いもあって、 ブロードウェイ・ミュージカル界の大御所指揮者が、急に近しい存在に思えるから不思議だ。



第一部ラスト を飾るのは、『ファンタジア/2000』より交響詩「ローマの松」の演奏だ。イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギのドラマチックな交響詩をバックに、スクリーンにはザトウクジラの群れが映し出される。海と空をクジラたちが舞う幻想的なアニメーションと、繊細かつ壮大な楽曲のコラボは、イマドキの若者ふうに一言で表現するなら“ヤバい!”。一瞬、スーパー高性能のスピーカーのある映画館で映画を観ているような気になるほど、音楽と映像が見事にマッチ。ふっとスクリーン下に目をやるとオーケストラの演奏している姿が見え、「生演奏だったんだ!」と贅沢な気分に浸る。ボーカルのない楽曲なので、オーケスラ・ジャパンの実力の高さがストレートに伝わってくる。


©1992 Disney

第二部は、いよいよメイン演目のアニメーション版『アラジン』の全編演奏だ。今年公開された実写版も話題だが、ディズニー・オン・クラシックでは7年ぶりに全編をフィーチャー。新しいアレンジが施された演奏には、常にスクリーン上で映画からの場面カットが映し出される。このため、ステージの演奏とヴォーカリストの歌声を堪能しつつ、アニメの世界観にもたっぷり浸ることができる。


©1992 Disney

ミステリアスなオープニングの再現から始まって、「ひと足お先に」でコナ・カサールさん演じるアラジンがさっそうと登場。8人のヴォーカリストが全員参加してダンスするシーンも拝め、全員ミュージカル俳優なのだと実感。心やさしきランプの魔人ジーニー役に扮し、「フレンド・ライク・ミー」を歌うアルマンド・ハーロウ・ロンコーニさんにも拍手喝采が飛ぶ。彼は膨大な量に上るジーニーの早口のセリフも、アニメーションで声を担当した今は亡きロビン・ウィリアムズに負けないくらい、コミカルかつエモーショナルに繰り出している。その姿は感動モノ。



そして、アラジンとプリンセス、ジャズミンが魔法のじゅうたん上で夜の“飛行”を楽しみながら歌う「ホール・ニュー・ワールド」は、やっぱり名曲! サカールさんとジャズミン役のサンティーナ・ウンババさんのケミストリーも抜群で、歌詞にあるmagic carpet rideを、歌声で贈ってもらったような気分に。



第一部の繰り返しになってしまうが、第二部でもヴォーカリスト8人の歌唱力に改めて脱帽。キャラになりきった表情や声音など演技力も高く、さすが700人の中から選ばれた精鋭だと大いに納得。



さらに、指揮者カーシーさんは、オケを率いるだけでも大変なはずなのに、途中ちょい役で、タクトを振りながら台詞を発する場面も。市場で盗みを働くアラジンにパンを渡すなど“マルチタスク”をこなす彼は、実は俳優としての顔も持っているのだとか。こうした心憎い演出もちょいちょい入れてくるところにも、ディズニー・オン・クラシックの人気の秘密があるのかもしれない。

気づけば最後のナンバーが演奏され、ハッピーエンドで全編が終了。終わってみれば、ウトウトする瞬間もないくらい、あっという間に感じる濃密な時間を過ごすことができた。最後に本番で披露されるアンコール曲がこのゲネプロでは省略されると聞いて、がっかりした気分になるほど。くたびれたおっさんライターでさえ、元気が出て、若返った気持ちになれたこの公演。ディズニーファンはもちろん、ファンでなくても一度は足を運んでみることを強くオススメしたい。


 

終演後インタビュー


Q:ゲネプロ、終わったばかりの感想は?

サンティーナ・ウンババ(以下「サ」):「観客が初めて入った通し稽古としてはすごくよかったと思うわ。大きな失敗もなかったし。そうよね?

コナー・サカール(以下「コ」):ああ、気分よくできたよ。

リチャード・カーシー(以下「リ」):通しでオーケストラと一緒に頭からやったのは今回が初。衣装や照明も付いてね。すごくエキサイティングだった。本番に向けての細かい気付きもあったし。個々で練習してきたことが1つの形になる瞬間は、やっぱりすばらしいね。


Q:緊張はまったくなかった?

サ:最初にペンライトを持ってステージに出るときは、ちゃんと使えるか少し不安だった。けれど、それがうまくいってからはすっかりリラックスできたわ。

コ:僕も同じ。最初のナンバーだけ緊張したよ。ライトの色をうまく変えられるかって気がかりで。でも、そのあとは、観客の反応もよくて気持ちよくパフォーマンスできた。


Q:ペンライトの操作は大変なの?

サ:ちょっと練習が必要なの。

リ:まだ新品で僕らも2日前に手にしたばかりなんだ。マイクを持った手と反対の手にライトを持つ、時に持ち替えたり、色を変えたり……。歌いながらやるので、エクストラな手順を覚えなければならなくてね。


Q:赤、青、緑など色が変わるのは楽しい演出だったけど、8人のうち誰かが間違えるんじゃないかと内心ヒヤヒヤして見てましたが(笑)、パーフェクトでしたよ。

サ:やったー! よかった! (日本語で)お疲れさまでしたー!!

(一同拍手)


Q:カーシーさんは、指揮しながらセリフを言う場面もあって驚きました!

リ:ニューヨークにいるときから、私に何か台詞をという話が演出からあったので覚悟はできてたよ(笑)。ピアニストでもあるし、マルチタスクには慣れているんだ。弾きながら、歌ったり、話したりという経験もあるし。楽しいチャレンジだよ。


Q:ツアーへの抱負をお願いします。

リ:とにかく楽しみ。訪れる都市について少し調べただけなのに、観光リストは、既に回りきれないほどの長さに(笑)。でも、今回何よりもうれしいのは、自信を持ってお見せできるプログラムで全国を巡れること。喜びと笑い、そして美しい音楽をたくさんのお客さんに見てもらえることにワクワクなんだ。素晴らしい国、日本でそれができるなんてとても光栄だよ。

サ:私も興奮しているわ。

コ:僕も。日本のみなさんは、僕ら外国から来たヴォーカリストを本当に温かく迎えてくれて、パフォーマンスがしやすいように気遣ってくれる。すごく感謝しているんだ。笑顔で手厚いサポートをしてくれる、こんな恵まれた環境はないくらい。

サ:その通りだわ。だから、ステージで最高のパフォーマンスをしてお礼ができればという気持ち。出演者全員でがんばります!


取材・文/山本航

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