イサム・ノグチ 光の彫刻「あかり」の点灯で幻想的な風景が屋内で楽しめる

「イサム・ノグチ 発見の道 Isamu Noguchi: Ways of Discovery」

東京都美術館で春開催!

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713
Photo©二川幸夫

 

20世紀を代表する芸術家は、自らの手で新しいものを発見しようと常に葛藤していました。この芸術家の旧知の仲であった和泉正敏(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団)理事長は彼の事を「絶対に人のまねをしない。自分で新しいものを見つけようとする人」と話します。

そんな新しいものを追い求めていた芸術家の名前はイサム・ノグチ(1904-1988)。彼の創作活動は彫刻をはじめ、舞台美術や照明器具や公園遊具デザイン、プロダクトデザインなどさまざまな分野で大きな足跡を残しました。その中の照明器具を使った光の彫刻「あかり」作品は私たちの身近にあり、誰もが一度は見たことがあるはず。ちなみに1970年に行われた大阪万博のためにイサム・ノグチは噴水を制作しています。

そのほか多くのアーティストからもリスペクトされていたイサム・ノグチの特別展「イサム・ノグチ 発見の道 Isamu Noguchi: Ways of Discovery」が4/24(土)より東京都美術館で開催されます。開催に伴い先日、オンラインによる記者発表会が行われました。

この記者発表会では、東京都美術館の学芸員であり本展を企画した中原淳行さんから見どころについて語られました。

 

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713

 

本展は3章に分かれており、それぞれで違った特徴のある構成で試みます。紙材・金属・石材など素材を自在に扱い創作したイサム・ノグチの彫刻家としての精髄に迫ります。

第1章では、1940年代から最晩年の1980年代の多様な作品を紹介。イサム・ノグチの半世紀を超える制作活動の中核には、「彫刻とは何か?」「彫刻にできることとは何か?」という問いかけがありました。その生涯は数多くの「人・もの・歴史」との出会いと学びに彩られていますが、創造へと導かれる彼の「気づき」は、常に予期せぬ発見の驚きと喜びにあふれたものだったそうです。

こうした「気づき」により彫刻芸術の新たなる発見の道を歩んでいたイサム・ノグチ。第1章では、イサム・ノグチのライフワークである太陽と月に見立てた光の彫刻「あかり」の大規模なインスタレーションを展示室の中心に据え、《化身》(1947年制作(鋳造1972年)イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵)、《ヴォイド》(1971年(鋳造1980年)和歌山県立近代美術館蔵)など、様々な展開を見せるイサム・ノグチの「彫刻の宇宙」を500平方メートルの回遊式の会場にて体感することができます。

さらに第1章の冒頭部分では、イサム・ノグチ代表作である《黒い太陽》(1967-69年制作 国立国際美術館蔵)が置かれ、その背景には光の彫刻「あかり」を大小合わせて約150灯が展開されます。この光の彫刻「あかり」は「太陽と月の光に見立てた照明器具」というコンセプトがあり、本展では点灯がされます。加えて写真撮影が可能エリアを会場内に設ける予定です。

第2章では「かろみの世界」として金属彫刻を主体に展開されます。イサム・ノグチは彫刻の起源を追い求め、ヨーロッパ、南米、アジアとフィールドワークを重ねた旅のなかで、祖国である日本はイサム・ノグチに彫刻芸術の可能性への道筋を与え続けた「親しき国」だと気づきました。

なかでも日本の文化が見せる「軽さ」の側面は、イサム・ノグチが自らの作品に取り込むことに情熱を傾けた重要な要素だったそうです。

第2章では、切り紙や折り紙からのインスピレーションを源泉に制作された金属板の彫刻、円筒形の「あかり」のバリエーションをはじめ、真紅の遊具彫刻《プレイスカルプチュア》(※本展では新規制作して展示。茨城放送蔵)など、イサム・ノグチの「かろみ(軽み)の世界」について紹介されます。

最後の第3章ではイサム・ノグチの制作拠点であった香川県牟礼町にあるイサム・ノグチ庭園美術館から多数の最晩年の石彫作品が展示されます。

イサム・ノグチはモノ=彫刻だとは考えておらず、生涯通じて、彫刻をいかにその領域を拡張させるかについて考えていたアーティストでもあったのだそうです。そんなイサム・ノグチにとって“庭”は、自らの彫刻の在り方を考えるうえで最も大切なキーワードとなりました。

学芸員の中原さんは、イサム・ノグチについて「彼は彫刻の世界を限定的なものとは考えていませんでした。例えば、庭園も彫刻だという確信があったのです。そのものが彫刻なのだと考えていた人でした」と話します。

なお、第3章ではイサム・ノグチの芸術を知るうえで欠かすことのできない聖地といっても過言ではないイサム・ノグチ庭園美術館の空間を味わえるような作品展開が考えられています。

また、学芸員の中原さんは特徴ある3章構成の本展について「願わくは3つの“庭”を散策していただきながらイサム・ノグチの残したかったもの、残しえたものを体験していただきたいと思っております」と呼びかけていました。

 

イサム・ノグチ大ファン山口一郎さん(サカナクション)からの映像コメント到着!

イサム・ノグチの大ファンと公言するサカナクションの山口一郎さんからの映像コメントが寄せられました。

また、本展覧会について、山口一郎特別インタビューが行われたと発表がありました。同インタビュー内ではイサム・ノグチ作品との出会いから、山口さんが考える本展の楽しみ方までが収録されています。公開は4月より展覧会公式サイトにて順次予定です。公式Instagramはこちらから。

サカナクション 山口一郎さん コメント

イサム・ノグチ 発見の道、非常に僕も楽しみにしているのですが、イサム・ノグチの魅力は“体験”だと思います。イサム・ノグチの作品に触れる、それがすごく大事なことだと思っているなかで今回のこの展覧会のコンセプトが体験をするということだったので、非常に楽しみにしております。

イサム・ノグチのいちファンとしてですね、この展覧会に何度も遊びに行こうと思っていますんで、期待しております。

 

©朝日新聞社

 

さらに本展の図録では、写真家の齋藤さだむさんによる撮り下ろしにて作品を収録が予定されています。

特別展「イサム・ノグチ発見の道 Isamu Noguchi: Ways of Discovery」は東京都美術館にて4/24(土)より開催。

 

 

開催概要

 

イサム・ノグチ 発見の道 Isamu Noguchi: Ways of Discovery

©2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713
Photo©二川幸夫

開催期間

4/24(土)~8/29(日)

会場

東京都美術館 企画展示室

公式ホームページ

https://isamunoguchi.exhibit.jp/ ※外部サイトへ移動します

 

 

 

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