【インタビュー】城田優 | billboard classics×SNOOPY 『Magical Crhistmas Night』

シリーズ4年目を迎えた『billboard classics×SNOOPY「Magical Christmas Night」』が12月3日兵庫県芸術文化センターKOBELCO大ホール、24日昭和大学人見記念講堂で開催される。今年は過去3回ゲストボーカルとして出演した城田優が出演に加え演出を手掛ける。「今まで見たことがないようなクラシックコンサートにしたい」と意気込む演出家･城田に話を聞いた。

－－スヌーピーにまつわる名曲や、原作者チャールズ・M・シュルツ氏が愛するおなじみのPEANUTS JAZZの華麗なナンバー、古今東西のクリスマスソングを、フルオーケストラとジャズピアノトリオ、合唱団、総勢80名が奏でるゴージャスなコンサートだ

オーケストラをバックに歌わせていただくのは幸せですし、一流のスタッフが作り上げる舞台で、とても気持ちのいい音楽が奏でられ、客席には様々な世代のPEANUTSファンの方々がいて、クリスマスシーズンにふさわしい、和やかで温かいコンサートです。

－－そんなコンサートを、ミュージカル『ファントム』をはじめ数々のミュージカルの演出を手掛け、高い評価を得てきた城田が、どう進化させるつもりなのだろうか

“普通”のオーケストラコンサートってなんとなくスタイルが決まっていると思いますが、僕はもっとエンタテイメントの要素を加え、アップデートしたい。“没入感”を大切にしたいんです。これは僕が演出をやるどの作品にも常にテーマとして持っているものです。今回はスヌーピーたちが住む『PEANUTS』の世界にクリスマスの夜、僕らが遊びに行ったらそこでコンサートが開かれているイメージ。劇場の扉を開けたらもうそこに“クリスマスの世界”が存在して、みなさんを一気にその世界に引き込む仕掛けを作りたい。

－－クリスマスという一年の中でも少し特別な日、「PEANUTS」の世界観、豪華なオーケストラ、そして城田優というエンターテイナーとゲストボーカル、「結構いい食材がたくさん揃っていると思うので、今回はシンプルにそれをうまく、面白く料理します」と語ってくれた。世界中から愛されている「PEANUTS」の世界観、スヌーピーというキャラクターを主役にしたコンサートの演出を手掛けることへのプレッシャーはないのだろうか

一切ありません。僕は舞台に立つことに対してはプレッシャーを感じるほうですが、モノ作り、裏方のお仕事をするときには一切感じないんです。それは万人に受ける、受け入れられるわけがないという大前提を理解した上で臨むからです。予算などの関係で、できること、できないことがありますが、その中で、各セクションのプロたちとのチームプレイで最高のものを作り上げる自信がある。おこがましいんですけど、面白いものを作ることができる根拠のない自信があります。だから責任感はありますが、プレッシャーはない。ワクワク感しかないです。

－－コンサートではJ-POPのヒットソングをクリスマス風にアレンジして数多く披露する予定だ

なかでもサザンオールスターズの『真夏の果実』を、南半球のクリスマスをイメージしたオーケストラアレンジで披露したいと思っています。普段のクリスマスコンサートでは聴くことのできない楽しいアイディアも用意しています。それから音楽監修の宮本貴奈さんと、このコンサートのためのテーマソングを新たに作ります。こちらも楽しみにしていてください。

－－兵庫公演のゲストボーカルはCrystal Kay、東京公演は清水美依紗が登場し、それぞれ自身のオリジナル曲である「恋におちたら」、「Home」をオーケストラバージョンで披露される予定だ。城田とCrystal Kayとはミュージカル『ピピン』で、清水とは2021年に『あいまい劇場 其の壱「あくと」』で共演し、その歌を高く評価している

クリ(Crystal Kay)とは20年近く交流があって、出会った時はハーフで10代、なかなか陽の目を浴びることができないという共通項があって、その中でも切磋琢磨してきました。元々高いポテンシャルを感じていたのでミュージカル『ピピン』で共演できた時は嬉しかったです。カンパニーとして長い時間を共に過ごしたことで、彼女のことを深く知ることができました。(清水)美依紗とは知り合って2年くらいで、妹のような感覚で応援しています。またいつか一緒に仕事をしたいと思っていました。二人とも歌声はもちろん本当に人柄が素晴らしくて、クリスマスコンサートにふさわしいゲストです。

－－多くの人が想像する“クラシックコンサート”とは一線を画すステージになりそうだ

ぶっ飛んだことにチャレンジします。成功するかどうかわかりませんが、絶対に面白いものに仕上げる自信があります。僕はすごい人間でも天才でもない。ただただ演者として20年間エンタメに関わり、作ってきて、そこで感じたことをこのステージに注ぎ込みたい。

取材・文／田中久勝