【インタビュー】YOASOBI
2021/11/15(月)
初の有観客ライブは日本武道館2DAYS
”驚き”と”カッコよさ”を追求するパフォーマンスは必見
2019年11月に発表されたデビュー曲「夜に駆ける」がBillboard JAPANストリーミング・ソング・チャートで累計6億回再生を突破(2021年8月18日情報)、そして全国高校生ダンス部応援企画「ダンスONEプロジェクト'21」のテーマ曲としても話題の「群青」(5th配信シングル)はストリーミング再生回数が累計3億回を突破。結成2年、デビュー2年で音楽シーンのトップに躍り出たYOASOBI。TV・CM、YouTubeはもちろん、ネットや街中から彼らの曲が溢れている。
Ayase「未だに実感がない、というのが正直なところです。たぶん何年経ってもこういう感じなのかもしれませんね(笑)」
ikura「私も街の中にすっかり溶け込んでいるタイプなので、日常生活でのオンとオフはしっかり保てています(笑)」
Ayase「だいぶ経験を積んだとはいえ“小説を音楽にする”という制作過程は、原作も作者も作品の世界観もその都度異なるのでとにかく毎回苦戦します。前回上手くいったからといって今回そうできるとは限らない。すべてゼロからの作業になるので難しさは変わらないですが、チャレンジする楽しさの方が勝ってますね」
ikura「Ayaseさんが原作を読んで考えたメロディや言葉を受けて、自分はYOASOBIとしてその世界観を歌で表現する役割なので、技術もそうですが歌の表現手法もレベルアップするべく”とにかく練習する”というスタンスは変わらずです」
Ayaseの紡ぎだす美しいメロディ、ikuraの歌声と表現力に魅了され年齢を問わず幅広い層に支持され、また企業やクリエイターをはじめコラボのオファーが後を絶たないのは、流行り廃りとはかけ離れた彼らの高い音楽性と実力に裏付けされたアーティストであることをこの短期間で見事に証明したからに違いない。
ikura「YOASOBIの楽曲は小説があって、そこからインスピレーションを受けたAyaseさんの曲や歌詞、それをさらに映像で表現したり、様々な要素が重なり合うなかで私が最後に歌を乗せるので、原作を読んで自分なりに理解をしたとしても、実際にどう表現するのがベターなのかスゴく悩むんです。なのでレコーディングの時に二人でしっかり時間をかけてイメージを擦り合わせるようにしています」
Ayase「僕は皆さんにヘッドフォンやスピーカーで曲を聞いて頂くところをゴールとして曲作りをしているので、ライブで再現できるかどうか、その譜割がリアルで歌えるかどうか悩んだりせず、曲を聞いた時に“最高じゃん”と思ってもらえるサウンドを目指しています。YOASOBIとしては音源が作品としての完成形なので、それがこれだけ支持されているというのは本当に嬉しいです」
数々の音楽番組、配信ライブ等で圧巻のパフォーマンスをみせてきた彼らだが、このコロナ禍で1つだけ実現できていなかったこと、それが有観客でのライブパフォーマンスだった。満を持して2021年12月4日(土)・5日(日)日本武道館での有観客ライブ「NICE TO MEET YOU」の開催が発表された。
Ayase「めちゃくちゃ嬉しかったです。有観客でライブができるだけでも嬉しいのに、ミュージシャンとしては誰もが夢見る武道館という舞台ですからね。2日間と聞いて驚きと緊張も走りましたが、嬉しさの方が圧倒的に超えました。実は僕は武道館に行ったことがなくて、先日会場の下見が初武道館でした(笑)。外観からカッコいいなと思いましたし、武道館前で恒例の記念撮影もやって(笑)。自分が想像していたより客席が近くて、”NICE TO MEET YOU”というタイトルの通り、とてもイイ距離感でみんなと一緒にライブが作れるイメージがその場で湧きました」
ikura「私もずっと憧れていた場所なので、そこで歌えることがホントに嬉しいです。好きなアーティストのライブを見に行っていた場所で自分がそのステージに立つのかと思うとスゴくワクワクします。私は客席をぐるっと回ってみたんですが、たぶんステージからほとんどの皆さんと目が合うなと思いました(笑)。まだマスクをして頂く状態にはなりますが、皆さんがどんな表情で楽しんでくれているのかわかるくらいの距離だったので、そういう会場の空気を楽しみながら歌えたらイイなと思っています」
NHK紅白歌合戦の角川武蔵野ミュージアムの本棚劇場や工事現場でのパフォーマンスなど、彼らのライブはその演出もまた注目されている。
Ayase「スタッフからの提案が本当に素晴らしいので、僕らはそれを受けてアイデアを出させて頂いたり、やりたいことを提案させてもらって打ち合わせを重ねていく感じですね。YOASOBIというプロジェクトの理想としては、かかわって下さる方みんながめっちゃ楽しくてHAPPYだと感じてくれるような現場でありたい。前回の配信ライブは工事現場やオフィスなど場所や演出にこだわってお届けしたのですが、視聴していただく皆さんに僕らのライブを見る時間をいかに楽しんでもらえるかを考えて作り込んでいきました。なかなかハードルの高い設定でしたが、各ジャンルのプロフェッショナルなスタッフが集まってくれて、物凄い規模の文化祭を大人がワイワイ・キャッキャ言いながらやっている感じでした(笑)。本当に素敵なチームです。僕たちとしてはそういうありがたい環境に負けないように、逆に何もないところでもパフォーマンスがしっかり発揮できるような自分たちでいられるよう、中身を充実させて名実ともに認めて頂けるようなライブができるように頑張らないと!と思わされます」
コメントのひとつひとつが明確で、自分たちのスタンスや目的をハッキリ言葉にする2人。とはいえ、初武道館のステージに不安は無いのだろうか。
Ayase「ikuraのことは全然心配してないんですけども、僕は自分がダサいパフォーマンスにならないようにホントに頑張らないと(笑)。マニピュレーターとしてキーボードを前にこれだけ長時間パフォーマンスするのは初めてですし、配信ライブの場合は上手に画面が切り替わっていくので捉えどころがありましたが、ライブとなると客席からずっと自分の一挙手一投足を見られますよね(笑)。ホントに”ちゃんとしなきゃ”って思ってます」
ikura「今までSNSやネットのコメントとかファンの方々からたくさん応援のメッセージを頂いているんですけども、こんなにたくさんの方と直接お会いしたことがないので、早くみなさんに会いたいという期待とともに「ホントに来てくれるのかな?誰もいなかったらどうしよう・・・」は正直ちょっと思ってます(笑)」
Ayase「今回は目の前にいるお客さんたちにYOASOBIの生の音を届けることに注力して、ロックバンド的な見せ方をしようと思っています。バンドメンバーも含め、6人でYOASOBIとしての“カッコいい”音楽を見せたいですね」
ikura「私たちのライブをずっと楽しみに待っていてくれた皆さんと同じ空間で音楽を奏でながら、同じ音楽に乗って一緒の空間をみんなで満たしていく。歌もバンドの演奏も演出も、一つ一つを大切にコミュニケーションを取りながらかけがえのない時間を作っていけたらと思っています。手拍子をしてもらうだけでもその音がたくさん重なって円形の会場から降ってきて、曲に合わせて大団円で盛り上がるのが今から想像できます!本当に楽しみです。YOASOBIのイメージ、楽曲のイメージを体現するビックリするような演出を提案してくれた素晴らしいスタッフ陣にも恵まれているので、自分たちがいつも感じているサプライズを皆さんにも体験して頂きたいです」
Ayase「今回の武道館もそのサプライズ、あると思います(笑)」
チケットを手にした人は全力でこの2日間を楽しんでもらいたい。そして残念ながらチケットを手にすることができなくてもガッカリしないで欲しい。YOASOBIオフィシャルファンクラブ「CLUB 夜遊」に入会すれば会員限定の配信ライブが決定。オーディエンスからの熱い眼差しを受けてステージに立つYOASOBIの雄姿を楽しみにしたい。
プロフィール
ヨアソビ
コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる「小説を音楽にするユニット」。2019/12/15に『夜に駆ける』でデビュー。今年12/1にセカンドEP『THE BOOK 2』をリリース。12/4・5には日本武道館にて初の有観客ライブが控える。
公演情報
YOASOBI『NICE TO MEET YOU』
- 12/4(土) 18:30 東京・日本武道館
- 12/5(日) 17:30 東京・日本武道館
インタビュー・文/坂井貴一・金丸優子
構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載