【インタビュー】Nulbarich
時代の変化と真摯に向き合った新作「NEW GRAVITY」
ヒップホップ、ファンク、ロック、エレクトロなどを融合させた音楽性、多彩な表情をたたえたボーカルによって、幅広い層のリスナーから支持を得ているNulbarichから、2枚組オリジナルアルバム「NEW GRAVITY」が届けられた。
19年12月のさいたまスーパーアリーナ公演までを第一フェーズと位置づけ、20年からは新たなフェーズに突入したNulbarich。「CHAIN」(テレビ東京系ドラマ「珈琲いかがでしょう」EDテーマ)、「TOKYO」を含むDISC1には、LAに制作拠点を移し、時代の大きなうねりを体感したJQ(Vo)のリアルな感情が色濃く反映されている。
「LAに移って1ヶ月後に街がロックダウンされて、Black Lives Matterが起きて。昨年は、それまで培ってきた概念やルールがぶっ壊れるような出来事がたくさんあったし、そのなかで自分が感じたこと、Nulbarichとして得た影響は、今回のアルバムにもすごく出ていると思います。制作の方法もかなり変わりました。以前はスタジオで爆音を鳴らしながら作ることが多かったんだけど、LAでは自分の部屋の窓を開けて、鍵盤やギターを弾きながらメロディを口ずさみながら曲を書いていたので。ライブを想定するというより、新しい日常のなかで聴いたときに少しでもラクになれるような曲がいいなと」
DISC2には、ゲストアーティストを招いたコラボレーション楽曲を収録。Vaundy、プム・ヴィプリット(タイ出身のシンガーソングライター)、n-buna(ヨルシカ)、さらにBASI、唾奇、AKLO、Mummy-D(RHYMESTER)といった凄腕のラッパーも参加している。
「さいたまスーパーアリーナ公演を成功させたことで、ようやく自分たちのスタンスを少しずつ確立出来てきたんじゃないかと思えるようになって。コラボのおもしろさをおしえてくれたのはKREVAさんなんですが(KREVAの「One feat.JQ from Nulbarich」で共演)、そろそろ自分たちからも“一緒にやりませんか?”と言ってもいいのかなと。ラッパーの方々とのコラボが多いのは、僕がヒップホップ育ちだからでしょうね。ヒップホップをきっかけにして、ソウル、ファンク、ジャズなどに導かれたし、KREVAさん、Mummy-Dさんなど日本のラッパーからも刺激を受けてきたので」
この春、「Love Supreme Jazz Festival 2021」「GREENROOM FESTIVAL'21」などのフェスに出演するNulbarichは、6/13(日)に2021年最初の単独ライブ「Nulbarich ONE MAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY-」を東京・東京ガーデンシアターで開催。“新しい重力”と名付けられた新作「NEW GRAVITY」の楽曲がどのようにパフォーマンスされるのか、ステージ上でJQがどんなメッセージを放つのか、興味は尽きない。
「(東京ガーデンシアターの)天井が高くてキレイな空間に相応しいステージにしたいですね。“IN THE NEW GRAVITY”というタイトルなんですが、今の自分たちの表現を提示したいなと。もちろんニューアルバムの曲もやろうと思ってます。新曲がどんなグルーヴを生み出して、どんなふうに受け入れてもらえるのかも楽しみだし、ライブのなかで曲を育てていきたいです。この1年半、僕らは生活を制御されてきましたけど、“ここ(ライブ)が生きる場所だ”という思いを爆発させたいし、できるだけピースな波動を走らせて、皆さんに持って帰ってほしいですね」
プロフィール
ナルバリッチ
シンガー・ソングライターのJQ(Vo.)がトータルプロデュースするNulbarich。
2016年10月、1st ALBUM「Guess Who?」をリリース。バンド名には「Null(何もない)」けど「Rich(満たされている)」という、アンビバレントなスタイルへのJQの想いが込められている。
公演情報
Nulbarich ONE MAN LIVE - IN THE NEW GRAVITY -
6/13(日)18:00 東京ガーデンシアター
インタビュー・文/森朋之
構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載