【インタビュー】中島美嘉
ジャンルレスに自分の歌を表現し続けるデビュー21年目、待望のツアー
昨年、デビュー20周年を迎え、ドラマや映画、CMなどに起用された楽曲など多彩な楽曲を盛り込んだ新作『JOKER』をリリース。同作を携えたツアーがついに4月からスタートする。
「GLAMOROUS SKY」以来、13年ぶりのコラボレーションとなったHYDEプロデュースのハイパーなロックチューン「KISS OF DEATH」や、『ミュージカル イノサン』劇中歌でヒロインMarieになりきって歌う「無垢なるもの」、王道のバラード「innocent」など多彩な内容だ。ジャンルレスな14曲が並ぶ新作の中でも、本人の作詞曲は強い意思が反映されたものが多く、例えば「Justice」は女性をエンパワメントしてくれるニュアンスが感じられる。
「『こうなりたい』というより『自分はこうです』っていう感じで書いたので、あんまりそこまで私には不思議ではない言葉ですね。ただ、私が書くと強くなる傾向があるんですよ。強いか暗い。そういう歌詞が好きなんですね」
そしてまるで、2020年のコロナ禍で人が孤独になりがちな状況を見通していたような内容に、リアリティが溢れる「ドミノ」。
「不思議なんですよ、できた経緯が。まだコロナ禍に入る前に書いていたんです。プロデューサーに連絡して『1曲ここから増やすことできますか?』って聞いたら、すぐ『やってみよう』ってことになって、初めて詞先で作ることになった曲なんです。その後コロナ禍の中で発売することになって、結構リアルな歌詞になっちゃったなと思って。でも、誰かに向けてとかじゃなかったんだと思います。こういう気持ちを捨てたい、もうネガティブな気持ちをこれで終わりにしようみたいな感じで書いて、アウトプットしたつもりだったんです。ただ、この曲があるかないかで、アルバムの厚みは違うものになったと思いますね」
ボーカリストとして新鮮だったと語るのは「ノクターン」。
「私の王道のバラードと言うと『innocent』みたいな感じかなと思っているので、『ノクターン』はいつもと違うなぁと。サビで地声が続くのが、私にとっては初めての感じなんだと思います。いつも高い音と低い音を行ったり来たりするので(笑)」
さらに12月にはデビュー20周年企画アルバムとして、これまでのコラボレーションを主体としたベスト的な『WITH』もリリース。中でも以前からファンだったという藤巻亮太が書き下ろし、共演した「真冬のハーモニー」は、お互いの「雪の華」、「粉雪」という冬を代表する楽曲に登場する主人公のその後をイメージさせる仕上がりに。
「本当に素敵で独特なメロディを書かれるので、この方じゃないと成立しないんです。それが不思議でたまらなくて、今までこういう説明ができなかったんです。なんでこんなに魅力的なんだろう?って。いい意味で、誰もが表現できる曲ではないというか……なので、どうやったらちゃんと自分らしさも出るんだろうっていうのは思いながら歌いましたね」
4月からスタートするツアーには『JOKER』からはもちろん、シングル曲も盛り込む予定。もはや数えきれないほど歌唱してきた「雪の華」に対して今の想いはと聞くと……。
「ちょっと広がりすぎちゃって一人歩きして、色々なところでかけていただける曲になったので、歌うときの緊張感は逆に年々増していますね。でも、ありがたいことにここまでの曲をもらえるアーティストはあまりいないと思うので、そう考えると歌いたいという感覚よりは、それを超えているんですよ、私の中では」
ジャンルレスに、歌いたい歌をうたってきたデビューからの20年。自ずとライブも多彩な選曲に。
「なんとなく2時間歌うよりは、テーマごとにブロック分けをしてテンポよく進めたい。たぶん、性格の問題ですね。ライブの中にメリハリをつけて思い切りやりたい。あまりマイナーチェンジが好きじゃないんです。ガラッと変えたい。そうするとお客さんも『おお!』って、登場が5回あるみたいな気持ちで楽しんでもらえるんじゃないかと思うので」
新型コロナウイルスの影響によるライブの自粛期間も正面から受け止め、「できない時期にやるのはみんなにとってもよくないので。待つのは慣れています。そのときがくると思っているので大丈夫です」と心強い一言。かねてより「歌うために存在している」とサラリと言い切ってきた彼女のスタンスは不変だ。
ボーカリスト、そして無二のエンターテイナーとしての21年目に期待したい。
プロフィール
ナカシマ ミカ
'01年に自身がヒロインを務めたドラマ『傷だらけのラブソング』の主題歌「STARS」でデビュー。歌手、女優、そしてファッションリーダーとして多方面で活躍している。
インタビュー・文/石角友香
構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
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