【インタビュー】坂本真綾

2021/02/15(月)

坂本真綾

25周年記念第2弾『Duets』は、初のデュエットアルバム

『シングルコレクション＋アチコチ』に続く坂本真綾の25周年記念アルバム第2弾『Duets』は、自身初のデュエット作品。デビュー曲「約束はいらない」がオープニング曲となったアニメ「天空のエスカフローネ」でエンディングテーマを担当していた和田弘樹をはじめ、井上芳雄、内村友美（la la larks）、小泉今日子、堂島孝平、土岐麻子、原昌和（the band apart）が参加している。

「私のデビュー当時に担当だったディレクター（現フライングドッグ代表・佐々木史朗氏）が『実は真綾ちゃんのデュエットアルバムの構想があった』と口にしたことがきっかけです。自分からは絶対に生まれない発想で、最初は正直ピンとこなかったんですけど、だんだん想像が膨らんでしまって、結構面白いかもしれないなと。私自身がデュエットしてみたいお相手をリストアップして、その人と歌うなら誰に曲を作ってもらいたいか、どんなサウンドにしたいかとイメージを膨らませていきました。このアルバムはすごく個人的なもので、恩師である佐々木さんへのプレゼントでもあり、自分への25周年のご褒美でもある。話題性とか意外性よりも、大好きな人たちに囲まれたハッピーな1枚にしたいと思ってたので、この25年の間に巡り合ってきた人たちを誘いました。特に小泉今日子さんとの組み合わせは意外性たっぷりだったと思いますけど、私にとっては長年の憧れの女性。まさか引き受けてもらえるとは！と驚きましたが、本当に素敵なご褒美をいただきました」

気持ちよくスウィングするサウンドとともにデュエットの楽しさを華やかに描いた「Duet!」（坂本真綾×和田弘樹）、解放的なメロディと“自由な私”をテーマにした歌詞が共鳴する「sync」（坂本真綾×内村友美（la la larks）など魅力的な楽曲が揃った本作。その制作は坂本にとっても新たな刺激に溢れていたようだ。

「キーを決めるにしても歌詞の内容にしても、お互いの個性を消さない“いい塩梅”のポイントを見つけていくのは、難しくも楽しい作業でした。参加してくださったどのアーティストも唯一無二の存在感を放っていて、私にはないものを持っている人ばかりだし、歌も声も十人十色。“みんな違ってみんないい”ということも改めて感じましたね。デュエット曲には二人の登場人物がいて、それぞれに生きることで物語が動いていく。お芝居の脚本を書くような気持ちで作詞できるし、まるで映画の1シーンのような映像的なイメージも湧いてきて。声の重なりが一気に視界を広げてくれるんですよね」

3月20日(土・祝)、21日(日)には横浜アリーナで25周年記念ライブを開催予定。「25周年イヤーの締めくくりになるライブ。今できるやり方で、今届けたい曲をぎゅっと詰め込んでお届けしたいと思っています」という記念碑的なライブとなりそうだ。デビューからの四半世紀を通し、シンガー、アーティストとして豊かな作品を生み出し続けている坂本真綾。その表現はさらに深みを増していくことになりそうだ。

「デビューした頃はたぶん一点の曇りもなく心から楽しんでいて、怖いものはなかった。それが当時の私の魅力だったのかも。長く活動を続けると、経験が糧として機能することもあるし、逆に邪魔になることもある。今は決して楽しいことばかりじゃないけど、それもまた現在の私の魅力なのかな。25年の向こうにはまた違う景色があるかもしれないし、とにかく目の前にあるものを誠実にやるだけだと思っています」