メロディック・パンクバンド LONGMANが地元愛媛で感動の復活ライブ【ライブレポ】
男女ツインヴォーカルの愛媛発メロディック・パンクバンド、LONGMAN。インディーズチャートや、大型フェスの出演で、その名を全国に広げ注目を集める中、ヴォーカルさわの喉のトラブルにより、昨年突如活動を休止することになった。懸命な治療とリハビリを乗り越え、7/15(日)、地元松山市で約1年ぶりとなる復活ライブを開催!
活動休止前の最後のライブ会場にもなったWstudioREDには、この日を心待ちにしていたファンが、県内外から集結。チケット完売の超満員のフロアは、バンドとの久々の再会を目前に、開演前から期待と興奮で早くも熱気に包まれていた。
SEが流れ、大歓声と拍手が沸き起こる中、少し緊張した面持ちで登壇したメンバー3人。オーディエンスは拳を高く掲げながら、温かく迎える。3人が向き合い呼吸を合わせて鳴らした一音を合図に、『IN THIS WAY』の演奏がスタート! いきなりの代表曲に興奮を抑えきれないオーディエンスは、歓声を上げながらモッシュやダイブでメンバーに応える。ソロパートを力強く歌い上げてベースをかき鳴らすさわの姿に、女性ファンも負けじと身を乗り出す。疾走感溢れるリズムに合わせ、止まっていた時間が一気に動き出した。フロアを見渡しながら「楽しいなぁ!!」と叫ぶひらいは、観客の熱狂ぶりに安心したかのように満面の笑みだ。
続けて、『Hole Up』『Never end』をプレイし、ひらいとさわの息のあったコーラスワークで、ツインヴォーカルの健在さをアピールしながら、会場の一体感をさらに引きあげる。3曲を披露した時点で、メンバーもファンも汗まみれとなった。
会場に飛び交う「おかえり~!」という声援。待ち望んでいた光景を前に、観客も晴れやかな表情を浮かべる。「お互いパワーをためてきたと思うんで、今日はぶつけ合いましょー!」というさわの掛け声と共に、『Back Home』へ。一斉に「Oh~!Oh~!」と大合唱が生まれ、サビに突入すると怒涛のダイブ&モッシュの嵐。そのままラウドなサウンドでリズミカルな手拍子を誘う『Realize』、懐かしの『So many men,So many minds』と、アップチューンのリレーで、会場のテンションはさらにヒートアップ!
コーラスのハーモニーが耳に快感を呼ぶ『Locking back』では、観客と手拍子のセッションを楽しみ、『Better days』『Slowly』では大合唱、そして『キャッシャーガール』ではお馴染みのコール&レスポンスで笑いを起こし、キャッチーな『Will』で再び大合唱へ。
熱を帯びていく演奏に比例して高揚感を増していくオーディエンスは、1年の空白を忘れたかのように盛り上がり、「まだまだ足らないぞ~」と“催促”も止まらない。ちょっぴりSッ気のあるファンが引っ張っていくライヴは、LONGMANお決まりの光景だ。
「倒れても、こうやって何度でも起き上がれるようになりたい」と、途中感慨深げに語るほりほり。ひらいは息を整えながら、改めてこの日対バンに駆けつけてくれたバンドGIZMOと、ソロで参加したMICHEL(Special Thanks)に感謝を述べた。「ライブがこんなにまで楽しいとは思わなかったな」と照れ臭そうに語る姿に、クスクスと笑いが起きるフロア。続く言葉に、皆黙って耳を傾ける。「ココに戻って来れんかもしれないと思っていました。さわちゃんがあんなに頑張っているのに、“神様なんでやねん!”って思いながら、先の見えない日々でした。それでも僕らがバンドを諦めなかったのは、みんながおってくれたから」。休止中の正直な胸の内を明かし、言葉に詰まるひらい。「頑張れー!」「何、泣いてんだー」とフォローするファンに、さわとほりほりが深々と頭を下げる。「みんなの応援がどれだけ力になっているかを改めて実感しました。音楽を続けさせてくれてありがとうございます」と、涙をグッと堪えながら挨拶。
その言葉に呼応するかのように、次の『Sunset』では、「悲しみを乗り越えたら~」と気持ちを込めて歌い上げるさわ。感動的な雰囲気に包まれながら、大人気ナンバー『1919』を放ち、ボルテージは最高潮のまま本編が終了した。まだ物足りない様子の観客は、すぐさまアンコールを熱烈リクエスト。
アンコールでは、ほりほりのドラムロールに乗せて、さわがニュー・アルバムのリリースを発表した。歓喜に沸く中、「1曲やっていいですか?」と、急きょ新曲『WALKING』を披露することに。リード曲になる今作は、グッドメロディに、曇りのない前向きな日本語詞を乗せた改心のナンバーだ。バンドの明るい未来を予感させる仕上がりに、身を委ねるオーディエンスのリアクションも上々! 確かな手応えを得たメンバーは、そのまま『なごり雪』のカバー、『エクスキューズ』と畳み掛け、彼女たちらしく前のめりなパフォーマンスで幕を閉じた。インターバルを感じさせない“完全復活”を印象付けた一夜、この景色をまぶたに焼き付けるようにメンバーは名残惜しそうにステージを去る。キャッチーで多彩な楽曲と、表現力に富んだヴォーカル、そして愛すべき人柄で、ファンに改めてLONGMANの存在感の大きさを再確認させたことだろう。思いがけず訪れた苦難を乗り越え、原点に立ち返ったLONGMANに、今怖いものはない。プリミティブに音楽を楽しむ彼女たちの第二章から目が離せない!
プロフィール
ロングマン
‘12年より、さわ(B&Vo)、ひらい(G&Vo)、ほりほり(Dr、Cho)で、愛媛を拠点に活動を展開するメロディック・パンクバンド。ライヴは各地でソールドアウトを記録し、フェスにも引っ張りだこの存在となる中、昨年さわの喉の不調により活動休止に。懸命のリハビリを経て、今年7/15(日)に復活を遂げ、9月には待望のニュー・ミニアルバム『WALKING』をリリース予定!
リリース情報
2nd Mini Album『WALKING』
2018/9/26(水)発売
VION/7曲入1,500円(税込)
▼【早期予約特典】DVD《MAKING OF 20180715》※2018/8/17(金)17:00まで
文/里中瞳
写真/タマイシンゴ