【インタビュー】INSPi

2025/12/15(月)

INSPi

日々の生活を曲にすることで
ファンとの距離感を近づけ、今こそ応援してもらう

結成から28年目を迎えたアカペラグループ・INSPiだが、この夏よりちょっとした内部変革があった。リーダーの杉田篤史とは別に、メンバーの奥村伸二がツアーのコンセプトからビジュアル、セットリストとすべてをハンドリングする体制に舵を切った。今回はその奥村にインタビューをおこなった。

変革のきっかけとなったのは「INSPiはおしゃれなグッズを作る気はないんですか?」というファンの素朴な声。それに応えるべく手を挙げたのが、奥村だった。

「その声にみんながドキッとする中で、僕が作りたいと思ってビジュアルを任せてもらったことがツアーコンセプトにつながり、セットリストも以前から新陳代謝させたかったので、メンバーから上がってきた新曲を全採用するようにしたんです。ポジションとしてはディレクターですね」

ツアータイトルには「雨の日も晴れの日も、どんなときでもINSPiの存在を近くに感じてほしい」との思いがこめられ、そこからキービジュアルに奥村自身の愛猫・雨(メインクーン)と愛犬・快晴(シベリアンハスキー)を起用。そしてメンバーに作品をオーダーする際も「それぞれの人生や今の生活が見えるような曲にしてくれ」とテーマを絞った。

音楽活動以外に各メンバーが仕事を持つ「ペラリーマン」としての活動を打ち出しているINSPiだけに、そこでインプットされたものが素材として上がってくる。何より、実生活に基づいたリリックだとオーディエンスも近い距離感を覚える。

「そこは意図しています。正直なところ、ライブの動員に関し僕は危機感を抱いています。そこで人に言われたのが“応援代(しろ)”はあった方がいいと。オーディション系番組が増えているのも応援の仕方がわかりやすいからで、こういうことで困っていて、こういう応援を望んでいるということを発信する時代になったと思うんです」

ファンとすれば応援し甲斐のあることや、メンバーとともに目指す目標はあった方がいい。それを包み隠さず提示し、共有してもらうには今まで以上にINSPiならではの距離感を明確にするべきと奥村は考えた。

何よりもINSPiは現状で満足していると思われたくなかった。かつて到達した渋谷公会堂のような1000人超規模の会場でファンと一体になりたい。これまでは唄を通してオーディンスを励ましてきたが、今こそ自分たちの方が応援される立場にある現状と向き合う。

「今までもファンと二人三脚で歩いてきている感覚なので、逆になったように見えるかもしれないけどそこまでは変わっていない。改めて、応援お願いしますというところですね。今は事務所もスタッフを入れずにやっているので、グループがカンパニーのようなもので、メンバーだけで進められるスピード感がある。優秀な人たちなのでタスクを与えるとちゃんとやるんです。とにかく、楽しくワクワクやりたいんで、メンバーが興味あってやりたいという熱量があることだけをやっていく。INSPiはジェリービーンズのようにそれぞれのカラーがあっていいと思う。日々にあったことが曲となるのが今のINSPiなので、これがINSPiのリアルなんですよ」

夏のツアーは奥村自身が新型コロナウイルスに感染し、3公演中2公演が中止となって悔いを残したが、コンセプト自体は今回のツアーで踏襲しており、スムーズにリマッチへ臨めそう。そしてラストの2日目にはファンに向けてなんらかの報告もあるとのことだ。


誌面連動Q&A

  • Q.
    手土産を選ぶポイントは?

A.
「僕は手土産を持っていかないタイプなんです。なので選ぶポイントではなく、もらって嬉しいもので言うと、ライブの時はいなり寿司をもらうと嬉しいです。僕らは2ステージおこなう機会も多々あって、そうした時に、ステージとステージの合間にいなり寿司を食べると喉が復活する感じがしてすごく好きです」

プロフィール

INSPi/いんすぴ

’01年メジャーデビューの6人組アカペラグループ。メンバーは北剛彦、大倉智之、杉田篤史、奥村伸二、吉田圭介、渡邉崇文。

公演情報

INSPi Winter Tour 2025~Come Rain or Come Shine~

  • 12/27(土) 12:00 神奈川・横浜ミントホール
  • 12/28(日) 14:00/17:30 兵庫・CASH BOX

インタビュー・文/鈴木健.Txt
構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載


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