【インタビュー】布袋寅泰

 

布袋寅泰

「ギタリズム」シリーズ 最新作をアップデート

 

布袋寅泰の最新作に“GUITARHYTHM”の名が輝いた。5/29(水)、アルバム『GUITARHYTHM VI』をリリースする。日本ロック史上最高峰と名高いシリーズ新作は、未来派センスの様々なアーティストとのコラボレーションによって、まだ見ぬ次世代クリエイティブへの領域へチャレンジ。シリーズ6作目、10年ぶりに『GUITARHYTHM』シリーズを復活しようと思った理由を聞いてみた。

「『GUITARHYTHM』から31年ですからね。前作の『Paradox』が自分でも満足のゆく作品だったので、それを超えるには自分にプレッシャーをかけなければいけない、と。通常の作品と違い“GUITARHYTHM”を作るということは結構なプレッシャーなんです。斬新なアプローチで時代を先読みしつつ、ギターの可能性を示すための実験的なプロジェクトですから、リスナーがあっと驚くような挑発的な音楽でなければいけない。時代はいま、刻々と変化しています。31年前の自分を振り返りつつ、あの頃描いた未来と現在を重ねてみたら、きっとイビツな面白いものが生まれるのではないか? という好奇心からのスタートです」

本作のキーワードはズバリ“未来”だという。

「僕ら人類がたどり着いてしまった“未来=現在”がテーマです。夢を叶えてしまった人間が直面している閉塞感や不安、絶望、そこから目指す未知なる夢……なんていうとなんだか重苦しいものに思われるかもしれないけど、極上のSF大作映画を見るような、壮大で胸のすくような開放感を味わってもらえる作品です。AIやクローンやVRや、いまだから描ける仮想を超えた超現実をサウンドや言葉で描こうと」

最新作を生み出すうえで、インスパイアされた作品はあったのだろうか。

「Netflixの『Black Mirror』は観ました? まさに“いま目の前にある未来”をテーマにしたブラックユーモア満載の短編集なんだけど、本当に後味が悪いんです。そこに影響受けましたね。あと、映画『ブレードランナー2049』も素晴らしかった。本当は『GUITARHYTHM 2019』と名付けたかったくらい」

欧州を軸とした海外経験が『GUITARHYTHMVI』には込められているのだろうか。

「あまり意識はしてないけど影響しているでしょうね。曲作りにおいてはコード進行を減らそうとするようになったね。ドラムやベースのヘヴィーだけどうねりがある感じは英国ロックならではの音。ロンドンのスタジオに8ヶ月間篭って録音しました。打ち込みから歌もギターも自分で録音してね。孤独な作業だったけど集中できる環境はロンドンだからこそかもね」

“GUITARHYTHM”シリーズは31年前に衝撃の1作目がスタートした。かつての作品との接点、関連性などはあるのだろうか。

「BOØWYというロックのミニマムな形態での成功の後でしたからね。それこそ『BOØWYではないもの』を作らなければ、一生引きずると思ったんです。だからバンドサウンドをやめてコンピューターとギターだけで作った。いまは当たり前だけど当時は画期的だったと思います。多くのファンが戸惑ったけど31年後のいま聴いても全然違和感のない作品です。時代のかなり先をいってたんでしょうね。それでいえば、今作は逆に“ヒューマン”な音にこだわっています」

人生において意義深い“ルーツ作品”と向き合うことで、どんな想いを感じたのだろうか。

「31年前はクリエイティブにまだ夢があった。小説でも映画でもファッションでもデザインや建築でも、世紀末や近未来という少し先の未来に希望や期待や憧れがあったけど、いま僕らは完全にその未来を生きてますよね? まだ車は空を飛んでないし宇宙旅行も叶ってないけど、時間の問題でしょう。そうやって変わりゆく時代のなかで変わらぬ普遍的なもの。これはいまを生きる全ての人間にとって大切なキーワードではないでしょうか」

アルバムリリース後、6/9(日)神奈川・秦野市文化会館公演を皮切りに全国ツアー『HOTEI LiveIn Japan 2019 ~GUITARHYTHM VI TOUR~』がスタートする。

「世界最高峰のミュージシャンとともに過去最高のライブを約束します。新作の曲はライブで迫力が倍増するように計算して作ったので、皆ビックリすると思います。最近は新しいファンも増えたので、“GUITARHYTHM”を知らない人たちにも楽しんでもらえるようなセットリストにします。なんの予備知識がなくても大丈夫。噂のジェットコースターライブを体感しに来てください。もちろん昔からのファンにも『やっぱり最新の布袋が最高の布袋だ!』と納得してもらえるよう頑張りますよ」

 

プロフィール

ホテイ トモヤス

日本を代表するギタリスト。'88年、アルバム『GUITARHYTHM』でソロデビュー。6月9日から日本ツアーがスタート。

 

公演情報

 

HOTEI Live In Japan 2019 ~GUITARHYTHM VI TOUR~

 

6/9(日)17:00 神奈川・秦野市文化会館

6/15(土)17:30 宮崎・都城市総合文化ホール

6/16(日)17:00 鹿児島・宝山ホール

6/22(土)17:30 山口・周南市文化会館

6/23(日)17:00 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール

6/26(水)18:30 新潟・南魚沼市民会館

6/29(土)17:30 埼玉・サンシティ越谷市民ホール

6/30(日)17:00 ベイシア文化ホール(群馬県民会館)

7/6(土)17:30 千葉・市川市文化会館

7/12(金)19:00 神奈川・相模女子大学グリーンホール

7/15(月・祝)17:00 富山オーバード・ホール

7/17(水)19:00 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)

7/18(木)19:00 長崎ブリックホール

7/21(日)17:00 島根県芸術文化センター「グラントワ」 大ホール

7/27(土)17:30 青森・弘前市民会館

7/28(日)17:00 岩手・北上市文化交流センター さくらホール

8/3(土)17:30 香川・サンポートホール高松 大ホール

8/4(日)17:00 ロームシアター京都 メインホール

8/10(土)17:30 福島・いわき芸術文化交流館 アリオス

8/11(日・祝)17:00 やまぎんホール(山形県県民会館)

8/18(日)17:00 静岡・焼津文化会館

8/23(金)19:00 埼玉・大宮ソニックシティ

8/24(土)17:30 愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

8/29(木)19:00 神奈川県民ホール

 

 

インタビュー・文/ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載

 

 

お気に入り登録して最新情報を手に入れよう!

布袋寅泰

国内アーティスト