【インタビュー】田我流

2024/12/15(日)

山梨の音楽シーンを広げるようなライブにしたい！

「センチメンタル・ジャーニー」や「やべ～勢いですげー盛り上がる　feat.stillichimiya」、EVISBEATSとの「ゆれる feat.田我流」など、日本語ラップを象徴する楽曲を発表し、シーンのトップランナーとして活躍する田我流。活動開始から25周年を迎えた2023年には、日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを開催し、3時間に渡るライブを通して、彼の存在感を日本の音楽シーンに改めて知らしめた。

「『さんピンCAMP』（注：96年に野音でおこなわれたヒップホップの伝説的イベント）のように、野音には夢があると思うし、その場所にワンマンで立つのは挑戦でしたね。そのチャレンジに多くの人が力を貸してくれたことに、本当に感謝を感じたし、自分自身としても、ライブアーティストとして自信が深まりました。この歳になってもまだラップがうまくなる、遅咲きのオールドルーキーかもしれないけど、まだ行けるぞ、と」

時代や状況を正面から見据え、「自分にとってのリアル」を描き、音に言葉を刻み込む彼のラップは、同世代はもちろん、老若男女すべてのリスナーの胸を掴む。

「いまは社会が複雑で、雑音も多いし、簡単に生きられる時代じゃない。でも、俺はその壁を打ち壊すような言葉をラップしたいし、シンプルに伝えたい。俺のライブに最近、若い子がすごく増えたのは嬉しい反面、俺の音楽を聴くってことは、ストレスも感じてるんだろうなとも思うし、ライブの時間ぐらいはそれを解消してほしい」

2024年は7月から全国ツアー「田我流ONE MAN LIVE TOUR『縁 ～en～』」を開催。

「信じてたものが一瞬で崩れ去るような時代の中で、『自分が信じられるものは何か』を確かめにいくツアーですね。もう一度会いたい人や、新しく出会う人達……そういう大切な縁を繋いでいくという感覚です。僕の本拠地の山梨をはじめ、地方都市でライブをすると、人口減少を含めて、状況は明るくなかったり、そこで『ローカルでは何ができるのか』を考えさせられる。ただ『自分で動かないと始まらねえな』と動き出している人とも新しくリンクが生まれたり、ポジティブな部分ももちろん感じることも多い。そこからパワーももらうし、時代を生きる、生き抜くエネルギーに、自分の音楽がなればいいなって」

今回はDJにバンドを加えたセットでのライブとなり、田我流のラップとDJ／バンド隊の有機的なセッションで聴かせる構成となっている。

「俺のライブは対話型なんですけど、“いま、この場所を表すことのできるライブってなんだろうな”といつも探してますね。同じ曲であっても、つなぎ方やMC、歌う場所でメッセージの伝わり方がすごく変わってくる。それを楽しんでほしいですね」

そして彼のベースである甲府「CONVICTION」で2025年におこなわれるツアーの番外編は、1月25日にOMSB、26日にASOUNDを迎えた対バン形式でのライブとなる。

「ヒップホップが細分化されたなかでも、とにかくど真ん中でヒップホップと呼べる音楽をやってるOMSB、俺との接点としては意外な感じかもしれないけど、新しくて格好いい音楽をやってるASOUNDを迎えて、山梨の音楽シーンを広げるようなライブにしたいと思いますね。ワインやほうとう、信玄餅とか山梨は本当に食べ物がうまいし、温泉もたくさんあるので、ライブを口実にして遊びに来てほしい(笑)。そして地方都市で生き抜くアーティストを目撃しに来てほしい。自分としてもこのツアーを通して発見することもあるし、それが自分のこれからにも反映されると思うんで、その前哨戦をライブで楽しんでください」