【インタビュー】飯田仁一郎(ボロフェスタ2024)
2024/10/15(火)
「観たい」が詰まった刺激的でドキドキできる「大人の文化祭」
2002年より続く、京都のミュージック・フェスティバル『ボロフェスタ』が11月2・3・4日にKBSホールと京都メトロで開催される。100人以上のボランティア・スタッフと主催者が一緒になって、会場設営から一切のイベント運営までをおこなう、日本におけるDIYフェスの草分け的存在である『ボロフェスタ』だが、コロナ禍を経て、主催者の一人である飯田仁一郎氏は「今年が重要」だと語る。
「去年の『ボロフェスタ』はコロナのダメージからまだ完全には回復できていなかったんです。やはり3年間の断絶は大きくて、去年は多くの地方のイベンターが難しさを感じたと思います。そういう意味では、今年『ボロフェスタ』を収支的にも成功させることはかなり大事な命題だと思いますね。『大人の文化祭』というフェスのあり方自体は変わってなくて、京都は大学の街なので、大学生に刺激のあるものを与え続けたい。現在は各地にDIYのフェスが増えましたけど、『ボロフェスタ』の独自性は京都という土着の文化と学祭のノリかなと思います」
「ボロフェスタ」は知名度の有無やジャンルに関係なく、主催者が「観たい!」と思うアーティストのみをブッキングすることも大きな特徴で、そのラインナップの独自性が音楽ファンから大きな支持を獲得。今年もZAZEN BOYS、MOROHA、梅田サイファー、PEDROなど、オルタナティヴで多彩な出演者が決定している。
「知名度が高くなくても面白い人はいっぱいいるから、今年は裾野を広げることを意識して選出しています。そういう中ででんぱ組.incが出てくれることになったのは嬉しくて。でんぱ組.incが最初に我々のフェスに出てくれたときは、まだ『ロックフェスにアイドルを呼ぶなんて』みたいな感じだったと思うんです。そういう時代から出てくれて、来年頭に解散が決まっているにもかかわらず、今年出演を決めてくれたことにはすごく感謝してます。パンク~オルタナ系も面白い人がどんどん出てきてるので、大阪の天国注射とか、東京からdowntやTexas 3000を呼べるのも嬉しいですね」
「音楽と人をつなぐ、音楽で人をつなぐ」をテーマに掲げて、社会的なメッセージも発信してきた『ボロフェスタ』。昨年はウクライナから京都に避難してきた人たちを呼んで、トークイベントを開催したが、今年は能登の現状について考えたいという。
「今年は過去に京都で活動して、現在は故郷の富山で活動するシンガーソングライターのゆーきゃんや、金沢で活動するアーティストなどを呼んで、能登についてのトークタイムを作る予定です。能登は地震の後に半年くらい自粛ムードが続いて、夏前ぐらいにやっと回復してきたそうなんですけど、日本のことなのに現状があまり知られていなくて、それこそイスラエルやパレスチナの問題の方がメディアでは騒がれますよね。『大人の文化祭』だからこそ、フェスの中に社会のことを考える時間があってもいいと思うので、京都に遊びに来るお客さんに能登の現状を知ってもらうということはしっかりやりたいと思います」
最後に飯田氏から、「まだボロフェスタに行ったことがない人」にメッセージをもらった。
「『フジロック』とか『サマーソニック』みたいに、いろんなところにステージがあって、移動に20分かかる、そういうドデカいフェスではありません。メインステージを見ていても他から音が聴こえる、どこかの廃ビルでやってるような、ドキドキできるフェスがやりたくて始めたのが『ボロフェスタ』なので、『こういうフェスもあるんだ』みたいな気持ちで来てくれると、ものすごく刺激的なフェスだと思いますよ」
プロフィール
飯田仁一郎/いいだじんいちろう
Limited Express (has gone?)のリーダー、「リアル脱出ゲーム」で有名なSCRAPの取締役、配信サイト「OTOTOY」の取締役と幅広く活躍。
公演情報
ボロフェスタ2024
- 11/2(土)11:55 京都KBSホール
- 11/2(土)22:00 京都Club METRO
- 11/3(日・祝)11:55 京都KBSホール
- 11/4(月・休)11:25 京都KBSホール
[出演]
- 【11/2KBS】Age Factory、Hedigan’s、KOTORI、Helsinki Lambda Club、夜の本気ダンス、さらさ、荒谷翔大、バックドロップシンデレラ、愛はズボーン、Maki、きのホ。、ULTRA CUB、memetoour、眞名子新、171、ポンツクピーヤ 他
- 【11/2METRO】Seiho、in the blue shirt、lilbesh ramko、Telematic Visions、Barbara、MIYABI、BIG松村、AiR NiKAr、Shunpuri、mogran'BAR
- 【11/3KBS】ZAZEN BOYS、リーガルリリー、MOROHA、OGRE YOU ASSHOLE、MONO NO AWARE、TENDOUJI、さよならポエジー、ルサンチマン、bacho、JYOCHO、Sundae May Club、kurayamisaka、Texas 3000、THE BOYS&GIRLS、水平線、No Fun 他
- 【11/4KBS】PEDRO、でんぱ組.inc、梅田サイファー、cinema staff、柴田聡子、a子、 ASP、4s4ki、Peterparker69、KING BROTHERS、Limited Express (has gone?)、DENIMS、幽体コミュニケーションズ、くだらない1日、downt、天国注射 他
インタビュー・文/金子厚武
Photo/村上宗一郎
構成/月刊ローチケ編集部 10月15日号より転載