【インタビュー】ASIAN KUNG-FU GENERATION
「音」にもこだわり抜いたパワーポップ作品が完成
ASIAN KUNG-FU GENERATIONが、約3年半ぶりとなるニューアルバム『ホームタウン』を完成させた。2018年3月にベストアルバム『BEST HIT AKG2(2012-2018)』を発表し、次なるステージへと踏み出したアジカン。今回発表する新作は、ウィーザーのリヴァース・クオモ、ブッチ・ウォーカーとの共作曲「クロックワーク」、映画『夜は短し歩けよ乙女』の主題歌「荒野を歩け」など、ギターロック然としたパワーポップチューンが並んだ作品となっている。
後藤正文 ベスト盤でバラエティ感を放出したので、次のアルバムはコンセプトのあるものにしようと思ったんです。最終的には、今日的なサウンドでパワーポップをやるとどうなるのかというテーマで制作していきました。欧米のポップスやヒップホップに負けない音を作ることにすごくこだわっています。こんなにボトム(低音域のサウンド)の効いたパワーポップってないんじゃないかな。ボトムにこだわったのは、ギターがいかに引き立つかっていうのがスタートだったんです。ギターがすごくいい音で録れたことが、このアルバムの成功のひとつの要因になっていると思います。
伊地知潔 今回音色にこだわったところから、ドラムのアプローチを変えたんです。ドラムっていい音を出そうとすると、ある程度パワーとスピードが必要なものなんです。そこを強化するために体を鍛えてレコーディングに臨んだら、本当に音が変わりました。
山田貴洋 ベースは、特にボトムという意味でドラムのキックとの相性をゴッチ(後藤)と突き詰めたんです。途中からドロップチューニング(音を半音下げる)を増やしたり、音の重心を低くすることを、さらに意識してましたね。それによって、全体的によりどっしりとしたサウンドになったと思います。
喜多建介 ギターの録りは、ゴッチのスタジオにあるエフェクターを使いながらかなり楽しんでやれました。ミックスやマスタリングにも時間をかけたんですけど、軸となる楽曲がすごくいいなっていうのを感じます。ゴッチのソングライティングは、やっぱりブレてないなって。
どこかの街で起きた少年と少女の物語を心象風景を交えて描写していく、まるで短編映画のようなイメージの本作。リード曲となるのは、未来への希望をそこはかとなく感じさせる歌詞と抜けのいいメロディが印象的な、アルバムタイトル曲でもある「ホームタウン」。
後藤 『ホームタウン』は忌野清志郎さんの歌、『雨上がりの夜空に』を引用しているんです。狙ったというわけじゃなく、なんとなくそうなっちゃったんですよね。でもやっぱり、彼の批評性は見習っていくべきだなって思いますね。シリアスだけど深刻じゃないし、はぐらかし方も含めて、日本でロックを体現していくうえではとてもすごいなと思うんです。イギリスにはジョン・レノンがいたけど、日本には清志郎がいたっていう感じですね。
アルバムの初回生産限定盤には「Can't Sleep EP」というEP作品が付属する。ストレイテナーのホリエアツシが参加した「廃墟の記憶」や、THE CHARM PARKが作曲を手掛けた「はじまりの季節」など、ソリッドかつ実験性の高い楽曲が収録されている。
充実度の高いアルバムを引っさげ、アジカンは3月16日(土)の宮城・SENDAI GIGSを皮切りに7月24日(水)・25日(木)の神奈川・パシフィコ横浜まで、全35公演を回る全国ツアーを開催する。
後藤 最近、ライブが楽しいんですよね。今度のツアーは、ライブハウスとホールがあるけど、どっちも違う感じで楽しんでもらえたらなと思います。セットリストに関しても、今回のアルバムの曲って、わりとフラットに昔の曲とも並べやすい気がするんですよ。なので、今度のツアーは、ポップでフィジカルな曲多めでいけそうな気がしてます。
喜多 ライブハウスでは、熱のあるライブハウスらしいステージになると思うし、ホールではちょっと練った演出とかも込みでやれたら面白いことになるんじゃないかなって思います。今回、久々に沖縄行けるし、中野サンプラザも初だし、みなさん来れるところに来て欲しいですね。あと、ツアーファイナルは俺と潔の地元の横浜なので、ぜひ初のパシフィコ横浜に、みんな集合して欲しいです。
山田 いろんな場所を回れるし、初めての会場もあるので楽しみです。今回のアルバムの曲は、ホールでもライブハウスでも映えると思うので、いい形で演奏できるようにがんばります。
伊地知 アルバムはサウンドをすごくこだわって作ったので、ライブでもっとパワーアップして、みなさんに届けられるようにしたいです。
プロフィール
アジアンカンフージェネレーション
'96年結成、'03年メジャーデビュー。文学的な歌詞とエモーショナルなギターサウンドで前進し続ける4人組ロックバンド。
公演情報
Tour 2019「ホームタウン」
'19/3/16(土)18:15 SENDAI GIGS
3/18(月)18:45 東京・LIQUIDROOM
3/21(木・祝)17:45 Zepp Nagoya
3/28(木)18:45 大阪・なんば Hatch
3/29(金)18:45 大阪・なんば Hatch
4/8(月)18:45 Zepp Tokyo
4/9(火)18:45 Zepp Tokyo
4/12(金)18:45 Zepp Sapporo
4/15(月)18:45 Zepp Fukuoka
4/17(水)18:45 熊本B.9 V1
4/18(木)18:45 鹿児島CAPARVO HALL
4/21(日)17:45 沖縄・ミュージックタウン音市場
5/18(土)18:00 埼玉・サンシティ越谷 大ホール
5/19(日)17:00 埼玉・サンシティ越谷 大ホール
5/22(水)18:30 神奈川・横須賀芸術劇場
5/25(土)18:00 仙台サンプラザホール
5/29(水)18:30 東京・中野サンプラザ
5/30(木)18:30 東京・中野サンプラザ
6/1(土)18:00 茨城県立県民文化センター
6/4(火)18:30 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
6/7(金)18:30 北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
6/12(水)18:30 大阪フェスティバルホール
6/13(木)18:30 大阪フェスティバルホール
6/16(日)18:00 名古屋国際会議場 センチュリーホール
6/21(金)18:30 広島・上野学園ホール
6/23(日)18:00 群馬音楽センター
6/29(土)18:00 石川・本多の森ホール
6/30(日)18:00 新潟県民会館
7/4(木)18:30 千葉・市川市文化会館
7/10(水)18:30 神戸国際会館 こくさいホール
7/12(金)18:30 福岡サンパレス ホテル&ホール
7/14(日)18:00 サンポートホール高松 大ホール
7/21(日)18:00 静岡市民文化会館 大ホール
7/24(水)18:30 パシフィコ横浜
7/25(木)18:30 パシフィコ横浜
インタビュー・文/土屋恵介
写真/村上宗一郎
構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります