2006年冬に開催されたドラァグクイーンコンテストで優勝したことをきっかけにデビューしたドリアン・ロロブリジーダ。その後、数々のクラブイベント、アーティストのコンサートやPV、ファッションショーやCMなどに出演。映画「エゴイスト」「ストレンジ」など役者としても際立った存在感を発揮している。また自身の音楽ライブのほか、メイクをしない男性シンガー・マサキとしても活動。さらに3人組のドラァグクイーン・ユニット“八方不美人”としても活動中だ。
「ドラァグクイーンとしてデビューした頃は〈きれいね〉〈カッコいい〉と言われることが楽しかったんですが、1年もすると慣れてきてしまって(笑)。その後はどれだけお客様に楽しんでもらえるか、ポジティブなメッセージやエネルギーを感じてもらえるかを意識するようになりましたね」
2024年9月20日には、東京・浜離宮朝日ホールで「ドリアン・ロロブリジーダ シンフォニック・コンサート ~My Favorite songs with the Symphony~」を開催。タイトル通り、ドリアン自身が愛する名曲の数々を“弦楽四重奏+ピアノトリオ”の編成で届けるスペシャルなステージだ。
「クラシック音楽はずっと好きですし、“シンフォニック・コンサートをやりませんか?”とお話をいただいたときは、二つ返事で“やらせていただきます”とお答えしました」
というドリアンにとっても特別な公演になりそうだ。またこのコンサートは、ドリアン自身の音楽遍歴ともリンクしているという。
「中学、高校は吹奏楽部に所属していて、青春を捧げたと言っても過言ではないくらい没頭しておりまして。大学生になると少しずつひと様の前で歌う機会を得るようになり、平行してドラァグクイーンとしてステージを踏ませてもらうようになったんですよ。新宿二丁目という街にはいろんな世代、いろんな嗜好の方々がいらっしゃるので、クラシックやジャズの話もできるし、昭和の名曲や当時の素晴らしい歌手のことを教えてくださる方もいて。今回のシンフォニック・コンサートはこれまで聴いてきた音楽、歌ってきた曲が集約されているイメージもありますね」
「シンフォニック・コンサート ~My Favorite songs with the Symphony~」は、〈男歌〉〈女歌〉の二部で構成されるという。
「男、女で分けるのはちょっと古臭いのかなとも思うのですが、ドラァグクイーンとして歌う楽曲、化粧を落としてスッピンで歌う楽曲で構成しようかなと。なので途中でビジュアルがぜんぜん変わっちゃうんですよ。絵替わりもするし、お客様にも楽しんでいただけるのかなと。これはお客様から言われたことなんですが、ドラァグクイーンとして豪華な衣装を着ているときと、男性的なビジュアルでステージに立っているときは所作が変わるみたいです」
コンサートで歌唱される楽曲は、昭和、平成の名曲が中心だとか。歌詞を重視した選曲によって、歌に込められたメッセージをじっくりと堪能できそうだ。
「私自身、歌詞に惹かれることが多くて。世代的にはTK(小室哲哉)時代のど真ん中なんですが、昭和の歌も大好きなんです。普段は“皆様に元気になって帰っていただいたい”と思ってステージに立っていますが、今回のシンフォニック・コンサートでは、楽曲を通して何かしらお伝えできることがあればいいなと思っています。アレンジに関しては、原曲へのリスペクトを込めながら、弦楽四重奏を活かしたサウンドでお届けできたらなと。“編成やアレンジによってこんなに世界観が変わるのか”と感じてもらえたらうれしいですね。参加してくださるミュージシャンのなかにはジャズに造詣が深い方もいて。クラシックとジャズをミクスチャーした編成は初めてなので、とてもドキドキしています」
シックに洗練されたサウンドとともに、時代を超えた名曲の数々をゆったり味わえる「シンフォニック・コンサート ~My Favorite songs with the Symphony~」。日本有数のクラシックホールで、豊かな感情をたたえた歌声を心ゆくまで体感してほしい。
「浜離宮朝日ホールという最高のホールで謎の女装男性がコンサートをやるって、どういうこと?と思われる方もいらっしゃるかもしれないですが(笑)、ドリアンのことを知らない方、“YouTubeで歌ってるところをチラッと見たことある”という方にもぜひ足を運んでいただきたいです。素晴らしいミュージシャンのみなさんと、おもちゃ箱のような変幻自在のエンターテインメントをお届けします!」
取材・文/森朋之
「ドリアン・ロロブリジーダ シンフォニック・コンサート ~My Favorite songs with the Symphony~」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]