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【インタビュー】鎌田邦裕│フルートリサイタル ~√(ルート)~

【インタビュー】鎌田邦裕

【インタビュー】鎌田邦裕

山形県鶴岡市出身のフルーティスト、鎌田邦裕が東京と鶴岡でリサイタルを開催する。師匠である藤井香織を招いて、バッハと現代作品によるプログラムが披露される。

――山形県鶴岡市出身とききました

フルートは小学校3,4年のときに始めました。その後、中学、高校の吹奏楽部で吹いていました。中学3年生からは、当時、山形交響楽団首席奏者の故・足達祥治先生に、また、高校3年生からは東京藝術大学附属高校の大平記子先生にもレッスンを受けていました。そして、京都市立芸術大学の教授である大嶋義実先生に学びたいと思い、進学を決めました。京都市立芸大では3年生のときから名古屋フィルハーモニー交響楽団の首席奏者である富久田治彦先生にも習いました。


――2022年の日本音楽コンクールで第2位と岩谷賞(聴衆賞)、2023年のリヴァプール国際フルートコンクールで第1位を獲得されましたね

2022年に、日本音楽コンクールを受ける前に、ドイツのヴィ―スバーデンで開催されたコンクールを受けました。それまで海外のマスタークラスには参加したことがありましたが、留学したことがなかったので、海外の人はどう吹くのか?と思っていましたが、そこで「こんなに自由に自分を表現していいんだ」とわかり、吹っ切れました。そして、日本音楽コンクールを受けたときは既に29歳で、(年齢制限として)私にとっては最初で最後の日本音コン(日本音楽コンクール)になりましたが、ドイツで感じたように自分を解放して、お客様に自分の音楽を伝える演奏ができました。
2023年のリヴァプールでのコンクールは、自分がヨーロッパで通用するのか?と思って挑戦したところ、第1位に入賞することができて、とても嬉しかったです。


――今回のリサイタルのプログラムについて教えてください

20歳から故郷でリサイタルを続けて、昨年10回目を迎えることができました。11回目となる今回は、気持ちを新たに原点を見つめ直すという意味と今を見つめるという意味で、バッハと現代の曲を並べました。また、師匠である藤井香織先生をゲストにお招きします。藤井先生は自分の中ではバッハのイメージが強く、是非、一緒にバッハを演奏したいとも思いました。そして、クラシックの演奏会では、ロマン派などのいわゆる”クラシック音楽”を演奏されることが多いですし、お客様もそれを求めることが多いのですが、現代の音楽がどんなものなのかを伝えることも、演奏家としての使命だと思うので、コンテンポラリーを取り上げました。そこから、バッハから現代の間で変わったもの、変わらないものを対比できればと考えています。


――バッハでは、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲と、無伴奏ヴァイオリン曲として知られる「シャコンヌ」を演奏されますね

藤井先生とバッハを演奏したいと考えて、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲をフルートで演奏したら面白いかもと思いました。私がオーボエ・パートを、藤井先生がヴァイオリン・パートの楽譜を吹きます。
「シャコンヌ」に関しては、藤井先生が編曲したもの(原調通りのニ短調)に私が自分のアイデアを入れながらト短調に移調したものを演奏します。フルートの音域はヴァイオリンの音域よりも高いので、ヴァイオリンの楽譜のままでは低い音が出ず、代わりにオクターヴを上げるなど別の音で対応します。ですが、バッハが考えたメロディラインやベースの音を大事にしたいと思い、フルートの音域に合わせたト短調に移調しました。そのことで、フルートらしさも出てくるのではないかと思いました。


――現代曲としては、森田拓夢さんに委嘱した新曲を披露されますね

森田拓夢さんは、私と同じ京都市立芸術大学の卒業生で、私と同じく2022年の日本音楽コンクールの作曲部門で第2位を受賞されました。京芸出身、日本音コン受賞というご縁から新曲を依頼しました。作曲していただくにあたって、学生時代に大嶋先生から「草原に一本の筒があって、たまたま風が吹いたときに、それが振動して自然に音が鳴る。それがフルートの理想の音の出し方だ」というお話を伺い、今回の曲のモチーフにもなっています。他にも、”鎌田邦裕らしさ”が出るノリの良いビートやリズム感のある曲にしてほしいという希望を伝えました。


――その他にも興味深い現代曲が並んでいますね

ユレルの「エオリア」は、いわゆる現代音楽です。1982年の作品で現代曲のなかの古典といえます。曲中では発声したり、重音を使ったりもします。ハインドソンの「オデュッセウスとセイレーン」は、2017年にオーストラリアで開催されたコンクールのために作られた曲で、前半は微分音などを使った神秘的でゆったりとしたメロディが流れます。後半はテンポが上がり、ポップス的なリズムもあり、本当にクラシック!?と思われるようなノリの良い音楽になっています。いろいろな特殊奏法が使われていますが、面白いと思っていただけると思います。


――最後にリサイタルへのメッセージをお願いします

この2時間で非日常を感じてほしいですね。それを一緒に感じることができれば嬉しいですし、心震わせる時間を体験してほしいと思います。私のリサイタルでは開演前のプレトークと、曲間には演奏する曲の解説などトークも入ります。初めてクラシックの演奏会に来られる方もいらっしゃると思いますし、ただ曲を聴くだけではなく、どんな曲なのか、そして、演奏家が何を考えているのかも知ってもらえればと思っています。演奏会ではお話と音楽を通して、私のキャラクターや人間性も感じてもらえたら嬉しいです。



取材・文/山田治生



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