クラシック

【インタビュー】中原潤│中原潤×JITAN.フラメンコライブ LOS 4 FLAMENCOS "LUZ Y SOMBRA"

【インタビュー】 ©SHIGETO IMURA

【インタビュー】中原潤

本場スペインでも研鑽を積み、国内外で精力的に活躍する新進気鋭のフラメンコダンサー、中原潤。
2024年3月に銀座・王子ホールで開催する「中原潤×JITAN.フラメンコライブ LOS 4 FLAMENCOS "LUZ Y SOMBRA"」について、彼に話を聞いた。

――中原潤さんのこのたびの公演、まずは「Los 4 Flamencos(ロス・クアトロ・フラメンコス)」というタイトルに込めた思いからお聞きしたいと思います。中原さんに加え、JITANさん、土方憲人さん、出光宏輝さんという素晴らしい4名の踊り手による舞台ですが、どのような経緯でこのメンバーが集結することになったのでしょうか?

みんなよく知っていて一緒に活動することも多く、信頼を寄せている人たちです。ただ、これまで個々にステージをご一緒するような機会はあったのですが、この4人が一度に揃うことはなかなかありませんでした。日本にはまだ男性のフラメンコダンサーが少ないので、集結することでその良さを伝えたいという気持ちがあり、ぜひ彼らに出演していただきたいと思ったのです。


――男性だけだからこそ創れる世界がおありだと思いますが、どのような内容になりそうですか?

脚が隠れるスカートをはいていないので、男性ならではの魅せ方があると思っています。たとえば男性の武器といえる足技(サパテアード)だったり、細かいリズム感というところですね。女性の柔らかい動きに対して、キレのある踊りをみていただきたいです。


――表現したいと強く思われていることがありましたら、ぜひお聞かせください

今回、特に舞踊性の高い仲間たちに集まってもらったので、身体表現の部分ですね。足技そのものだけではなく、上半身の使い方、感情の表現が見せ場になると思います。


――中原さんは「感情を伝える」ということを大事にされている踊り手という印象をもっていましたので、今回も注目したいです。サブタイトルとなっている「Luz y Sombra(ルス・イ・ソンブラ)」、光と暗闇ということに関してはいかがですか?

テーマとしては、人の感情の明るい部分と暗い部分、そのコントラストを4人で表現したいと思っています。
フラメンコは、もともとは音楽ジャンルの一つなんですね。それに呼応するようにダンスが生まれた・・・ギターなどの楽器演奏と、カンテ(唄)、パーカッション的な役割もあるパルマ(手拍子)、そして踊り。みんながコミュニケーションをとりながら、アンサンブルとして創り上げていく世界なのです。音源を流してそれに合わせて踊るというのではなく、リアルな場で人と人がコミュニケーションをとっていく。僕はそこに、温かみのようなものを感じています。コロナ禍で人との距離が遠くならざるを得ない期間が長かったので、そんな人と人の温かみを「光」として表現したい、と思いました。そして、光があれば陰もあるわけで、たとえばダンサーが舞台に立って踊っていくなかでの闇や葛藤、そんな感情も表現したいです。


――なるほど!コロナ禍を経験して、リアルなコミュニケーションの価値を再認識した方も多いと思いますが、フラメンコの世界でまさにそれを体感することができるのですね!中原さんがお持ちの世界観をみんなで練りながら創り上げていく、その過程にも大変興味があります。今回の舞台で新しく挑戦していること、チャレンジはありますか?

挑戦していることは常にたくさんあるのですが(笑)、今回は例えば、小物の扱いでしょうか。フラメンコでは、衣装や鋲付きの靴だけでなく、踊りによって帽子や布を効果的に使ったりします。伝統的な踊りの中に小物を使う場面があるので、そういうものの美しさもお伝えしたいです。


――ミュージシャンも素晴らしい方々が参加されるとお聞きしたのですが?

はい、現在の日本のフラメンコ界を代表する強力メンバーが集まっているので、音楽も大きな注目ポイントだと思います!


――使われる音楽は、すべてオリジナルですか?

そうですね、新しいものがメインになる予定で、今回の公演のために新たに作曲したものもかなりあります。といっても、音楽と踊りのどちらかが先に決まっていてそれに合わせるというのではなく、こんなフレーズを入れたいからじゃあこうしてみよう、というセッションを繰り返して、みんなで練りながら生み出していっています。


――お互いに触発されるということですね。そんなステージ上での生身のやりとりは一種の言語となって語りかけ、お客様もそれを全身で受け取る。それはフラメンコの醍醐味だと思います。ここで中原さんご自身のことを少し伺いたいのですが、「フラメンコ」といういわばスペインを象徴するような世界と、日本人であるご自身との関係性について、何か感じていることはおありでしょうか?

フラメンコはなんといってもスペインが本場で、自分たちはいつもスペインを追いかけている立場だと思います。いつも新しいものを生み出すスペイン人たちから、自分たちは学ぶ姿勢にあるといえ、その意味で、常に憧れはあります。
でも、追いかけるだけでなく、日本人がフラメンコというものを消化した上で、「日本人として表現したらこういう形になるんだ」という、日本人としてのアイデンティティにたって表現したところで勝負したいと思っているんです。


――それは素晴らしいことですね!逆の視点から見れば、いかようにも染まることができる日本人であることは強みになりますね。

フラメンコのリズムは、12拍がワンフレーズだったり3拍子系だったり、日本人の生活ではまったく馴染みがないものと言っていいと思います。J-popなどを普通に聞いて育っていくとまず触れることのないような難しいリズムが、ずっと繰り返される。その中に足技を入れていかなくてはならなかったりするので、フラメンコのダンサーやミュージシャンたちは生活の中で常にフラメンコを聴きながら「感じている」人が多いと思います。


――全身に染み込ませるということですね!さて、今回の公演会場は、銀座の王子ホールです。クラシック音楽のイメージが強い場所かと思いますが、こちらを選ばれたのは何か理由がおありなのでしょうか?

フラメンコ向けの会場のみで活動していると、フラメンコ関係者やファンの方々以外にはなかなか広がりにくい現状があるのではと感じています。もちろん、フラメンコファンの方々にもぜひ楽しんでいただきたいのですが、初めてフラメンコに触れる方々にも足を運んでいただきやすい場所ということで、今回こちらに決めさせていただきました。


――王子ホールでフラメンコ、期待が膨らみます!それでは最後に、公演を観にいらっしゃる方々に向けて見どころをお願いいたします。

男性ならではのシャープな動き、舞踊性というところでの表現力、そして音楽性の高さに注目していただけたらと思います。ストーリー性のある舞台になると思うので、そこもぜひ楽しみにしていただきたいです。
それぞれのソロもあるので、4人の個性も発揮されると思います。フラメンコは、同じスペインでも地域や家系によって踊りのスタイルが変わってくるのですが、実は日本でもそういう現象があって、関東と関西では踊りの色が違うんです。その意味で、異なる出身地やバックボーンを持つ4人の味の違いも感じていただけたらと思います。
ミュージシャンもゴールデンメンバーが結集するステージ、フラメンコファンの方も初めての方も、ぜひ王子ホールに足を運んでいただいて、エキサイティングなステージを楽しんでいただけたら嬉しいです!



取材・文/下山静香



「中原潤×JITAN.フラメンコライブ LOS 4 FLAMENCOS "LUZ Y SOMBRA"」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]

【インタビュー】 ©SHIGETO IMURA
【インタビュー】中原潤│中原潤×JITAN.フラメンコライブ LOS 4 FLAMENCOS "LUZ Y SOMBRA"