クラシック

【インタビュー】石田泰尚、崎谷直人 | ドス・デル・フィドル Vクラシック

【インタビュー】石田泰尚(写真右)、崎谷直人(写真左) | ドス・デル・フィドル Vクラシック

石田泰尚、崎谷直人

石田泰尚、崎谷直人の2人のヴァイオリニストによるユニット、ドス・デル・フィドル。クラシックを中心に演奏してきた彼らが、紅(X JAPAN)、END OF SORROW(LUNA SEA)といったジャパニーズ・ロックを中心にお届けする「DOS DEL FIDDLES(ドス・デル・フィドル) Vクラシック」が開催される。原曲をリスペクトしつつも、ドラムなどは入れずにあくまでヴァイオリンの音色でロックを表現していくという。どのような想いでステージに挑むのか、2人に話を聞いた。


――今回は、ロックに寄せた演奏会になるとお聞きしました。どのような経緯でこのような企画になったんでしょうか?

崎谷 もともと僕はロックのジャンルが好きなんです。これからはいろんなジャンルの音楽を演奏していって、自分たちらしさをより強く出していきたいと思っているんです。その1回目として取り上げるジャンルが、ロックなのかなと考えました。最終的にはオリジナル曲のみでの演奏会もやりたいと思っています。引き出しはいろいろあって、アレンジャーもいい人がたくさんいますから、力を借りながら、引き出しを増やしていきたいと思います。


――学生の頃などは、やはりクラシック漬けにならないといけないところはあったと思うんですが、そういう時にもロックやJ-POPを聴きたい欲求はずっとあったんでしょうか?

崎谷 そうですね。一番はやはりT.M.Revolutionなんです。2000年くらいだったかな、柴崎浩さん、大橋勇武さんなどのすごいギタリストがたくさん参加して、今はベースのIKUOさんがすごいんです。ドラムを叩いているのは、元SIAM SHADEの淳士くんで。そういう音をずっと聴いてきました。たまたまヴァイオリン、クラシックをやっているんですけど、そういう人たちがずっと好きですね。だから、普通にカルテットとかを弾いていても、そういう引き出しは結構使っていて、しっかりクラシックに落とし込んでいます。西川貴教さんのビブラートとか、音の張り、止め方…今回だと河村隆一さんの音とかは、普通にウェールズカルテットでベートーヴェンの録音をする前に隆一の声を聞いて、ああいう甘い音を出すイメージを出したり結構しているんですよ。


――さらにピアソラやヴィヴァルディをロック調にアレンジする試みもされるそうですね

石田 やったことないので楽しみです。普段からそうなんですけど、特にアレンジの曲は譜面を見てイメージしますね。

崎谷 ロックの原形のようなものなので、特に速い楽章は、アレンジしてどのようにもなるんです。ヴィヴァルディが、今、生きていて、今の楽器を知っていたら、たぶんエレキ楽器を使っただろうと思います。たぶんベートーヴェンも普通にデジタルサウンド使ったと思うんです。


――先日、崎谷さんがお辞めになるまで、お2人とも神奈川フィルでソロ・コンサートマスターでした。最初に石田さんが、崎谷さんがお辞めになると聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

石田 ずいぶん前に話は聞いていたんですよ。崎谷ちゃん的に悩んだ結論なので、残念は残念でしたけど、考え直して、とかはひと言も言いませんでした。こうしてオケ以外でも一緒にできますしね。そこはよかったと思っています。

崎谷 オケの中では一番最初に伝えました。ずいぶん前から考えていたことだったし、”構ってちゃん”みたいにはなりたくなかったんです。面倒くさいじゃないですか、そういうの(笑)。なので、もう決めた、という気持ちになってからお伝えしました。


――今までは同じオケにいて、近いものを見ていたところはあったかと思うんですが、今後は何か新しいものが見えてきそうな予感はありますか?

崎谷 辞めてからは今回が初めてなので、どういうふうになっていくのかなと思いますけど、僕も別にオーケストラは二度と弾かないというわけではないですから(笑)。自分の中で引き出しを増やす期間にして、やりたいことを思いっきりやって、ドス・デルもいろんなことができたらいいなと思っています。


――ドス・デル・フィドルの今後をどのように描いていますか?

石田 基本的にお互い繊細な音色なので、とにかくきれいな音を出したい。これはたぶん共通しています。きれいな音を出したい、それがベースです。ロックを仮にやったとしても、基本はそれ。ロックだからといって、ガチャガチャやればいいというものではなくて、基本はきれいで美しく。ロックの雑音、圧力も大事なんだけど、でもきれいという感じです。

崎谷 本当に同じで、ヴァイオリン2人だけとなると、やはりお互いの音色や音が嫌いだとできない。全然タイプは違うと思うんですけど、音質のこだわりみたいなものは、すごくあります。僕は根っからのファースト弾きですけど、石田さんと弾くと支える側に回ることが自然にできる。それも一緒にやってきたからだし、そういう中でできたバランス感だと思います。

石田 お互いリスペクトしていないとできないと思いますよ。

崎谷 たぶん自然と、バランスをとることができているんじゃないかなと思います。


――最後に今回のコンサート、新しい試みとして、すごく楽しみにしている方が、たくさんいらっしゃると思うので、一言ずつ聞きに来てくださる方へのメッセージを頂いて終わりたいと思います

崎谷 今回は日本のロックバンドですが、毎回、変わっていきます。最終的には自分たちの曲を作っていくことが僕の理想なので、そこに行くまでの、いろんなテーマを楽しみにしてもらえたらと思っています。

石田 ぜひお越しいただいて、お客さんにドス・デルでクラシックを聞いても、ロックを聞いても、タンゴを聞いても、どのジャンルでも「ドス・デルはいい」というように今後なりたいです。何かに絞るのではなく、どのジャンルでも「ドス・デル最高」という感じで、ファンがどんどん増えればと思っています。


――楽しみにしています!本日はありがとうございました!



インタビュー・文/宮崎新之


ドス・デル・フィドル Vクラシック 公演情報

【インタビュー】石田泰尚(写真右)、崎谷直人(写真左) | ドス・デル・フィドル Vクラシック
【インタビュー】石田泰尚、崎谷直人 | ドス・デル・フィドル Vクラシック