神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ソロ・コンサートマスターであり、「石田組」をプロデュースする石田泰尚に、そもそも「石田組」とは…?そしてサントリーホール公演にむけた思いとは…?話を聞いた。
―― 一般的な「クラシック」「クラシックコンサート」「ヴァイオリニスト」のイメージと、「石田組」がキャッチコピーなどで打ち出している「硬派」のイメージは大きく違うと思うのですが、なぜ「硬派」を打ち出していこうと思われたのか、教えていただけますか。
石田:「硬派」って、ぼくが考えたわけではないんです…誰が考えたんですかね?(笑)
マネージャー:最初は、みなとみらいホールで公演を行うときにチラシで初めて(「硬派」というワードが)使われたんです。みなとみらいホールの企画担当の方が、「硬派弦楽アンサンブル」とキャッチコピーをつけて。その後、別のホールの方に「そのキャッチコピー使わせていただけませんか」と言われて、いつの間にか「硬派弦楽アンサンブル・石田組」と言われるようになったんです。
―― そうだったんですか!
石田:自分も他のメンバーも、硬派でもなんでもないので(笑)。
―― では石田さんご自身としては、「石田組」を「硬派」として見せていこうというおつもりはなく、あくまでも「一緒にやりたいメンバー」であるということですね。てっきり、「硬派」を打ち出したいがためのユニットなのだと思っておりました。
石田:そうです、そうです。気が付いたらチラシに書いてあった感じです。
―― これまで「石田組」の活動を重ねてきて、ここから先、「石田組」をどうしていきたい、何かやってみたいという展望はおありですか。
石田:「石田組」として活動を長く続けていきたいというのはもちろんありますが、「石田組」として行っていない地域があるので、まだ行っていないところで「石田組」の演奏を聴いてほしいですね。そして何年後になるかわかりませんが、基本は10数人のメンバーの「石田組」をオーケストラ並みの大編成にして、オーケストラの曲をやりたいなと。(いまの「石田組」がありつつ)そういう公演「も」、あってもいいなと思うので、目標のひとつです。
―― 石田さんご本人のめざす演奏と、「石田組」としてめざす演奏になにか違いはありますか。
石田:自分のソロでもオーケストラのメンバーとして演奏するときも、「石田組」としても、お客さんが喜んでくれればいい!お客さんのことしか考えていないですし、お客さんがひとりでも喜んで帰ってくれればいい。ソロでも「石田組」でも気持ちは変わりません。
―― お客様を意識して、ということですが、演奏会のプログラムや構成は石田さんおひとりで決めているのでしょうか。それとも「石田組」メンバーのみなさんで考えていらっしゃるのですか。
石田:基本はぼくひとりで考えます。たまにマネージャーが入ったりして。
―― プログラムを決めるときのコンセプトはありますか。
石田:とにかくやりたい曲、やってみたい曲をやっています。「石田組」はクラシック以外の曲もけっこう演奏するので、クラシックにこだわらず、すべてのジャンルからプログラムに入れる曲を考えますね。
―― ご自身がふだんからお聴きになっている曲も多いのですか。
石田:いや、そうでもないです。ぼく、ふだんはあまりクラシックもロックも、あまり音楽を聴かないので。演奏会も練習もないプライベートの時間は、ずっとテレビを観ています(笑)。お笑い番組とか大好きですね。
―― 次の公演は、クラシックコンサートの世界ではいろいろな意味で大きな会場であるサントリーホールでの公演になります。特別な思いはありますか。
石田:「石田組」の他のメンバーももちろんだと思いますが、ぼくの中ではサントリーホールで「石田組」の公演をやるというのは目標のひとつだったので、実現できてほんとうに嬉しいです。サントリーホールで演奏するのは3、4年ぶりなので久々で、楽しみですね。
―― 次サントリーホールは、ステージに立つ演奏者の方からはどのように感じられますか。
石田:あのホールに立つと、ホールに負けないようにしないと!と思いますね。他のメンバーもぜひ緊張しないでほしいな(笑)。
―― そんなサントリーホール公演のプログラムは、今まで演奏し慣れた曲をやろう、というものですか。それともせっかくなので挑戦をしよう!というものですか。
石田:両方ありますね。クラシックの曲目が数曲ありますが(バルトーク(ヴィルナー編曲):ルーマニア民族舞曲ほか)、それは今まで「石田組」公演でもやっていた曲です。あとはロックもやりたくて、3~4曲ほど初披露の曲目があります(クイーン(松岡あさひ編曲):ボーン・トゥ・ラブ・ユーほか)。ロックの曲はアレンジをお願いしていて、まだ譜面が仕上がってないので、今から楽しみです。
―― では最後に、お客様へ「公演へのお誘い文句」をいただけますと!
石田:「石田組」はメンバーが男性だけ。ポイントはそこですね(笑)。クラシックの世界って(演奏者に)女性が多いんですが、男だけでもこれだけできるんだぜっていうのを見てほしいですね。まず男だけが並んでいるビジュアルに驚いていただいて、そこから入っていただいても全然いいと思います!
★こぼれ話★
―― これは噂なのか、もはや都市伝説なのか…石田さんが国立音楽大学を卒業なさるときの演奏会で、拍手が鳴りやまなかったのでアンコールを弾いたというのはほんとうですか?
石田:アンコールは弾いていないです(笑)。成績上位者が出る卒業演奏会で、ぼくだけカーテンコールが起きたということはありました。自分の曲を弾き終わってわーっと拍手が起きて、お辞儀してステージ袖へ戻って、全然拍手が鳴りやまないから「収拾がつかないからもう一度(ステージへ)出ろ」と言われて、カーテンコールに出ました。めっちゃ嬉しかったですね。
インタビュー・文/ローソンチケット