クラシック

熊川哲也Kバレエカンパニー「マダム・バタフライ」製作発表会見レポート

熊川哲也Kバレエカンパニー「マダム・バタフライ」製作発表会見レポート

頭の中では成功を確信している。

7月下旬のとある日、9月より上演となるバレエ「マダム・バタフライ」の製作発表会見が行われた。登場したのはKバレエカンパニー芸術監督の熊川哲也、ダンサーの中村祥子、宮尾俊太郎、矢内千夏、成田紗弥の5名。

熊川哲也Kバレエカンパニー創立20 周年記念特別公演として、今回Kバレエカンパニーとして初めて日本を舞台にした作品となる「マダム・バタフライ」。 本作の上演に先駆け、作品についての思いや意気込みが語られた。

芸術監督を務める熊川は本作について、「20周年目という節目の年に、日本を舞台とした作品ができることが嬉しい。西洋の踊りであるバレエで、どのように日本人が忠誠心を持って史実に従っていけるのかという点については非常に難しかったが、今回、日本文化を背負うのはスピリットのみとして、世界に発信していけるよう作成していくことにした。 全貌が今やっと見えてきたところで、ワンシーンを残すのみとなり、今まさに製作中。」と、まさに現在作品を作り上げているところだと意気込みをあらわにした。

また、熊川は本作の構成に関して、「オペラをベースにしているのは半分以下ぐらい。1幕の冒頭はアメリカのシーンにしたり、そのあと花魁の街を描いてピンカートンと蝶々夫人との出会いを描いたりと追加している。また、ラストも少し変えている。」と語っていた。



今回タイトルロールを務める矢内は、「日本人だからこそ感じ取れる、また表現できる動きなど、そういったものを自分の中で大切に演じていきたい。」と話し、丁寧に作品への想いを語った。

また、今回唯一蝶々夫人と花魁の二役を演じる中村は、花魁の役について「もしかすると花魁の役の感じ方の方が自分と一致するかもしれない」と話し、熊川も中村を花魁にキャスティングした理由としては、「美しさの象徴・高嶺の花として、中村祥子に似合っている役だと思った」と話していた。

前作シンデレラでKバレエ主役デビューを果たした成田は、この役の難しさについて「国籍や身分の違いなどを超える愛をどうステップや音楽に載せて私が表現できるか、という所。とてもおしゃれな振り付けだが、カウント内にステップが多いことに苦戦している。」と話した。



ピンカートン役を演じる宮尾俊太郎は、今回初めて演出助手という役割も担う。演じるだけでなく舞台を作り上げることについて意気込みをあらわにしていた宮尾だが、そんな宮尾について熊川も「彼を二十歳の頃から知っているが、独立したマインドを持って、背中を見せる立場の人間になった。立派になった。」と称賛。互いへの信頼の高さを見せつけた。

最後に、「古典芸術は世の中の人に心を豊かにする要素がある。皆さんの癒しになるような活動をしていきたい。3世代続く観劇などを心がけて、幅広いレパートリーを持っていきたい。」と話した熊川。

「今後は宮尾演出作品として新制作の作品をやりたいと思っている。」と発表されるなど、今後のますます話題となっていくことが予想されるKバレエカンパニー。その進化は止まらないようだ。


関連ページ

熊川哲也Kバレエカンパニー「マダム・バタフライ」製作発表会見レポート
熊川哲也Kバレエカンパニー「マダム・バタフライ」製作発表会見レポート