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【インタビュー】ディズニー公式アカペラグループ「ディカペラ」/ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」
【インタビュー】ディズニー公式アカペラグループ「ディカペラ」
ディズニー初の公式アカペラグループDCappella(ディカペラ)がこの夏、日本で初となるコンサートツアーを敢行する。アカペラ歌唱力に秀でた人材を探し求めて全米で行われたオーディションには、1500名を超える応募者が一次選考となるビデオをYouTubeに投稿。対面オーディションを繰り返し、晴れてグループ入りを果たした7名のメンバーは、異なるバックグラウンドを持つ個性豊かな面々。個々の高い歌唱力に加え、チームワークで見せるハーモニーの美しさと迫力は鳥肌モノとの触れ込みだ。 5月末にプロモーション来日した7人のメンバーの中から、カレン・ケリー(メゾソプラノ)、ソジャーナ・ブラウン(アルト )RJ・ウェスナー(テノール)、アントニオ・フェルナンデス(ボイスパーカッション)に話を聞いた。
Q:ディカペラってどんなものか説明してもらえる?
RJ:僕らは7人のヴォーカルバンドで、100%アカペラがウリ。声だけでディズニーの音楽を歌い上げるグループなんだ。コンサートは幅広い世代が誰でも楽しめるような構成。大スクリーンで初公開のアニメーションを上演しつつ歌ったり踊ったりと、楽しさと驚きが詰まったショーになっていると思う。
Q:ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」という名のコンサートツアーだよね? コンサート名とバンド名が一緒ってこと?
カレン:そう。グループの名前だけじゃなくてショーの名前もディカペラ。アルバム、ショー、グッズ展開など、私たちの活動すべてがディカペラという感じなの。
Q:アメリカでツアーがあったとか?
ソジャーナ:今年の1月から3月にかけて 41都市をめぐる大規模な全米ツアーがあったわ。『アナと雪の女王』で小さな子が一緒に踊って歌っているかと思えば、無理やり一緒に連れてこられたっぽいティーンエージャーが途中からどんどんノリノリになったり、シニアのカップルが立ち上がって踊ってくれたり。本当に幅広い層向けのショーなんだって実感できた。何十年も愛される名曲から最近のヒット曲までを、いろんなスタイルで取り上げているので「懐かしいと新鮮」の両方をどの世代にも感じてもらえた。
アントニオ:ディカペラのお客さんは、僕らが登場するなり大喝采でノリノリ。 みんなディズニーで曲も知っている。最高のオーディエンスの前でパフォーマンスができて幸せだった。
Q:大好きなディズニー音楽って何?
RJ:6歳ぐらいのときに満員の映画館で見た『ライオンキング』が忘れられない。「サークル・オブ・ライフ」の出だしでノックアウトされ一気に引き込まれた。この映画は僕にとって大切な1本。一生のディズニーファンになった瞬間でもある。
カレン:子供のころは読書が大好きだった。だからヒロインのベルが本を熟読しながら街を歩く『美女と野獣』のオープニングは鮮明に覚えている。みんなが本の虫とばかにするのも気にもせず読書中の本について歌っているのを見て、「あ、私と一緒だ!」と共感できたし、勇気も湧いた。
ソジャーナ:映画館で初めてみたディズニー映画の『ムーラン』は印象に残っている。女性の活躍やアイデンティティーについて考えさせられた。なにしろ国を救った女性の話ですもの。ブロードウェイで観た『ライオンキング』も人生初のミュージカル鑑賞で思い出深いな。
アントニオ:初めてのディズニー体験はベットサイドにあったおもちゃ。引っ張ると、『ピノキオ』の「星に願いを」を When you wish upon a star~って歌うんだ。3歳ぐらいで歌詞もよくわかってなかったけどなんか泣けてきて。「大丈夫、もうやめようか?」って母に言われると、泣きながら「ううん、もっと聞かせて?!」って返事をしてた。
Q:今度はアカペラについて質問させて。声だけで楽器やメロディーも全部表現しなければいのは、素人目には難解極まりなく見えるけど?
カレン:“使う道具”は声だけっていう意味では確かに難しい側面もある。声はもろくて、パーソナルなものだし、ミスすると目立つし落ち込む。でもその反面、クリエイティブ上は全面的に自由なの。ギターのチューニングが合ってなくて……なんてこともない。湿気で楽器がやられる心配もない。声だけを信じて音楽を作り上げる中には、この上ないフリーダムがある。難しくはあるけど、ハンパない開放感もある。
Q:リハーサルもたくさんする?
RJ:自主練はまずダウンロードした音楽を聞きまくるんだ。自分のパートがピアノで演奏されたトラックをね。全員そろったらとにかく一緒に歌う。難しいと思う部分は、ピアノを弾いて音の確認。そこからまた、何度も完璧になるまで歌うことの繰り返し。音楽監督やプロデューサーが、目指す音楽像に近づけるようにガイドもしてくれる。中には2曲を一緒にしたマッシュアップの曲もある。「あんなに印象の違う曲同士がどうしてこんなにドハマリしちゃうの?」っていうほどの新しいエネルギーが生まれるんだ。リハーサルで作り上げていくプロセスにはやりがいがあるよ。
Q:オリジナルとは全然違う歌い方をするってこと?
RJ:まったく違うのもあれば、オリジナルに近い形で歌うナンバーもある。ただ、アレンジメントや歌唱法が違っても必ずエッセンスは残しているから、あの曲だってファンは認識できるはず。オリジナルの曲から得たエモーションは、僕たちの解釈でも大枠は同じだから追体験できると思う。
カレン:独創的なスタイルにも、細部があれこれ違うものと、大幅に違うけどぼんやりあの曲とわかるものの2通りがある。たとえば『ターザン』からの「ユール・ビー・イン・マイ・ハート」は後者で、ボーイズIIメンの楽曲的なアプローチになる。つまりオリジナルとはまったく違うゆったりしたR&B調なのだけれど、オリジナルにも通ずる何かがあるみたいな……。大幅に変えているけれどノスタルジーにも浸ってもらえるはず。だから違和感はないと思う。実は自分たちのこの曲を家で聞いて1人で泣いちゃった(笑)。
Q:ぜひ聞いてみたいな。マッシュアップはどのナンバーで?
カレン:私たちのアルバムには『アナと雪の女王』から「レット・イット・ゴー」「雪だるまつくろう」のマッシュアップがあるの。会話が断絶されてしまった姉妹2人の心情の吐露が同時にされることで新たな発見もある。『リトル・マーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」と『アラジン』の「ホール・ニュー・ワールド」という2つの映画からのマッシュアップもある。新しい世界を探すという同じ世界観がマッチして絶妙なの!
Q:ショーではトークがあったりするの?
RJ:あるよ。演劇的なショーだからね。セットリストはショーのストーリーの流れを考えた構成になっていてセリフを日本語で話したり、日本語で歌ったりもする。日本の観客向けに100%カスタマイズした内容。アメリカでもただ立って歌うだけと思っていた観客が多くて「あんなにストーリー性があって躍動感があるなんて!」という驚きのコメントをもらったんだ。「子供口調のキッズショーじゃないんだ!?」って言った人もいたな。
Q:じゃあ、セリフもある?
ソジャーナ:イエス。立派な演劇的なショーなの。アニメーションもあれば語り部分や踊りもある。ただのコンサートだと思っていたら、いい意味で裏切られるんじゃないかな。
カレン:日本語の歌詞やセリフの部分についてはラッキーなことに、あのクリス・ハートが手助けをしてくれているの。音楽だけでなく日常会話や少しフォーマルな場向けのフレーズの練習にも付き合ってくれた。とても楽しい人なので、このあともっと一緒に仕事がぜひしたいな。日本語を学ぶのはすごく楽しいプロセス。ショーで日本語を使えるのが楽しみだし、うまくできるようがんばりたい。
Q:ディカペラはどんなグループ?
ソジャーナ:家族みたいに仲がいい。みな音楽を愛し、パフォーマンスするのが大好き、お客さんを楽しませるという共通のゴールがあるし、到達するにはどうすればいいかもわかっている。コミュニケーションも取りやすい。グループでこうして日本に来れることにみな感謝している。 才能があっていい人ばかりと楽しく歌える。本当に恵まれていると思う。
アントニオ:全員でサポートし合っている。みんながいると心強い。ヘビー、ネガティブなバイブや疲れにやられてしんどいときもある。でも、励まし合うことではね返せる。誰かがダウンしても「大丈夫?」と気遣って気分をアゲテいく家族的感覚が僕らにはある。全員が一緒のところを目の当たりする観客からも仲良さそうだねってよく言われる。
Q:今回日本でテレビ出演したとか?
カレン:来日してからテレビの収録があってライブ放送もあった。大阪に住んでいる友達が「見たよ!」と言って送ってくれた動画をみんなで見て盛り上がったの。
ソジャーナ:収録現場のスタッフがどこに行っても全員ナイスで感動した。収録の現場がまるでスモールライブみたいだった。みんなちゃんと聞いてくれ、最初と最後には盛大な拍手をくれて「ありがとうございます!」と挨拶できたのも今回の初来日のうれしい思い出の1つ。
RJ:みんな日本でパフォーマンスできることがハッピーで仕方ないんだ。今年の夏のツアーをがんばって大入りにして、また来年も戻ってこられたらすばらしいと思う。
ソジャーナ:今回が7人とも初来日なのだけれど、全員日本に来る前よりもこの国が好きになっている。みんな日本食も大好きだから、各都市でローカルなフードを食べるのが楽しみ。
アントニオ:みんなの温かさに感動しまくってる。また8月に戻ってきて、もっと多くの日本のオーディエンスに会えるのを楽しみにしています!
インタビュー・文/山本航
写真/ローソンチケット
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