クラシック
熊川哲也Kバレエ カンパニー 『シンデレラ』Spring Tour 2019(公開リハーサル)
チケット情報
公開リハーサル レポート
5月某日東京のKバレエスタジオで、5月24日より東京文化会館大ホール・Bunkamuraオーチャードホールで上演される「熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』」の公開リハーサルが行われた。
まず行われたのは1幕より「シンデレラと継母たち」のシーン。
幕開けのシーンであり、継母と義理の姉に嫌がらせをされたり、シンデレラが一人になった時間でいつもどのように過ごしているかという日常を描いたシーンである。
指導:浅川紫織 シンデレラ:成田紗弥 継母;ルーク・ヘイドン 義姉妹:杉山桃子 高橋怜衣 |
継母と義姉妹に縫物をさせられたり、母のドレスを破かれたりとひどいいじめに悲痛な表情を浮かべるシンデレラだが、一人でいる時間ではその表情が一変。ただの箒でさえも、想像の中では彼女を輝いた女性にしてくれる。楽しそうに踊り、ころころと変わる表情に惹きつけられる一幕であった。
指導にあたった浅川からは成田へ、「オーバーに動いた方が観客に伝わる。次のアクションを起こすきっかけをオーバーに。」などといったアドバイスが。今回Kバレエ初主演となる成田はKバレエの大先輩、浅川からの指導を真摯な表情で聞いていた。
リハーサル後、成田は今回シンデレラを演じることについて率直な感想を問われると、「表現力や演技力を学ぶようにしている。歴代シンデレラを演じられていた先生方に教わることが出来ているので、それをしっかり生かしたい。」と語った。
浅川はこの作品について、「演技の要素が多く、シンデレラ一人で進めていく場面が多い作品。感情をどうやって伝えるか、演技をいかに自然に踊りの中に入れるかどうかで、お客様がシンデレラに感情移入できるかどうかが変わってくるので、そこを常に意識している。」と話していた。
次に行われたのは2幕より「シンデレラと王子のパ・ド・ドゥ」。
シンデレラと王子が初めて出会い、出会いのパ・ド・ドゥの後、互いに見失ってから再会する場面を描いたロマンティックなシーンである。
指導:遅沢祐介 シンデレラ:矢内千夏 王子:高橋裕哉 |
技術的にとても難しいシーンだというこの場面。指導に当たった遅沢は、「技術的なところに捉われないよう滑らかに踊りつつも、再会した喜びや愛、二人の関係性をうまく表現したい」と語った。シンデレラを演じる矢内も、「踊りの繋ぎの部分でも魅せなければいけないところが多い」という点、、王子を演じる高橋も、「的確にポジションとステップを一つ一つやっていかないときれいに見えない」という点において、互いに本シーンの難しさを語っている。
遅沢は、「二人は若さという武器を持ってシンデレラに挑む。高橋は入ったばかりで、Kバレエの足の運びや動きを取得し成長中している最中。舞台でどのように表現していけるか」と期待を膨らませた。
有名童話が原作のバレエ「シンデレラ」。親しみやすい作品なので、あまりバレエを観たことがない人を誘って、一緒に観劇するにはお勧めの作品といえるだろう。