撮影:但馬一憲
「死ねばいいのに」。ひどい言葉です。
このひどい言葉をきっかけに、モブだった視点人物が被害者=加害者として人生の当事者、つまり主役になる――
このひどいタイトルの小説はそういう仕組になっています。
小説はワンシチュエーション、二名の会話劇が反復される単純な構成です。
ただ、小説では視点人物の内面描写が可能ですが、舞台においてその技法は封じられてしまいます。
すべては俳優のみなさんの身体で表現していただくよりありません。
「死ねばいいのに」――
このひどい言葉が、どんな形で観るものに届くのか、楽しみにしております。
京極夏彦(小説家)