東京芸術劇場が才能ある若手団体とタッグを組み上演する“芸劇eyes”に選出された本作は、ピンク・リバティにとって約1年半ぶりのオリジナル新作公演。田舎町で暮らす家族のもとに、亡くなった長女が別人の体を借りて帰ってくるという一風変わった設定で紡がれる今作は、ブラック・ユーモアに満ちた軽妙な家族劇である。
ダブル主演となる姉妹役を務めるのは、映画『わたしの見ている世界が全て』でマドリード国際映画祭2022外国映画部門 主演女優賞を受賞した森田想と、映画『ハニーレモンソーダ』や舞台『12人の淋しい親たち』などに出演の岡本夏美。その他、水石亜飛夢、金子清文、千葉雅子ら、舞台・映像の双方で活躍する実力派が顔をそろえる。劇中音楽は前作に引き続き、映像制作集団・大田原愚豚舎の渡辺雄司が担当する。
代表・山西竜矢は、21年に長編映画『彼女来来』で国内外の映画祭で多くの賞を受賞した後、長久允監督・森田剛氏主演の短編映画『DEATH DAYS』のメイキングドキュメンタリー『生まれゆく日々』の監督・構成、ドラマ『今夜すきやきだよ』の脚本などを担当。
ジャンルレスな活躍を続ける山西が描く新たな物語に期待が高まる。
蛍が集まると、小さな宇宙が生まれるのよ─
姉の語るおかしな話が、私は好きだった。
初夏。緑眩しい、山あいの田舎町。
父、母、兄と共に実家の工務店で働く田村鈴子は、家族の間にある静かな歪みに悩んでいた。
表面的には仲の良い田村家だったが、5年前、家族の中心だった長女・千鶴が亡くなってから、その関係はどこかおかしくなっていた。
そんなある昼下がり。一人の見知らぬ女が、田村家を訪れる。
「千鶴さんの霊に、取り憑かれてまして」
女の奇妙な言葉をきっかけに、ぎりぎりで保たれていた彼らの関係は、大きく揺り動かされ─
一年半ぶりのピンク・リバティ新作公演は、喪失に苦しむある家族に訪れた幻想的な夏の一幕を、ブラック・ユーモアを交えて軽妙に描き出す、さみしくも美しい家族劇。
脚本・演出
山西竜矢
出演
森田想 岡本夏美
水石亜飛夢 日比美思 斎藤友香莉 稲川悟史 若林元太 富川一人
大石将弘 金子清文 千葉雅子
日程・会場
公演日 | 会場 |
2023/6/14(水)~6/25(日) |
東京・東京芸術劇場 シアターイースト |