兄貴、元気ですか?これが最後の手紙です。
弟と2人暮らしの武島剛志は、弟の大学進学のための金欲しさに空き巣に入り、思いがけず強盗殺人まで犯してしまう。 唯一の肉親が刑務所に入ってしまい、高校生の直貴は突然独りぼっちになり途方に暮れる。しかし兄が人を殺した事実はあっという間に広がり、直貴は周りの人間の態度の変わりようを痛感しながら残りの高校生活を過ごすことになる。
高校の卒業式を控えた直貴の元に、獄中の兄から初めての手紙が届く。それから月に一度、兄から欠かさず手紙が届くようになるのだった。
届く手紙から伺える獄中の兄の平穏な日々とは裏腹に、進学、将来の夢、恋愛、就職と、直貴がもう少しで幸せをつかもうとするたびに、彼の前には「強盗殺人犯の弟」というレッテルが立ちはだかる。「殺人犯の弟」を見る周囲の冷たい目、疎外しようとする態度。
年月が流れ、家族を持った直貴は、さらなる困難に直面し、ついにある決意をする。
人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。