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【レポート】空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

ジャン=ミッシェル・フォロン

あべのハルカス美術館で2025/6/22(日)まで開催中の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」から、オフィシャルリポートが届きました。


あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)


みなさんこんにちは!
あべのハルカス美術館で開催中の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展を担当している学芸員の浅川です。
みなさんは、フォロンの名前を聞いたことはおありでしょうか?


フォロン、ミラノにて 1968年(撮影:コレット・ポルタル)


ベルギー出身のアーティストで、雑誌やポスターの仕事で世界的に有名になりました。名前はご存知なくとも、絵をみれば、「あぁ、どこかで見たことがあるなぁ」と思われる方も多いかもしれません。1934年生まれのフォロンは、2005年に亡くなるまでに、世界中で600種類以上ものポスターを手がけました。日本でも企業や公共団体など、いろいろなポスターを制作しています。



《グリーンピース 深い深い 問題》1988年


今回の展覧会は、そんなフォロンの、日本ではなんと30年ぶりの大回顧展です。さらにはこれまで世界中で開かれたフォロン展の中でも最大規模!雑誌やポスターの仕事はもちろん、シンプルな線が魅力のドローイング、やわらかな色彩が魅力の水彩画、彫刻やオブジェ、アニメーションなどなど、約230点もの作品を通して、フォロンのマルチアーティストぶりを堪能できるまたとない機会になっています。しかもどの作品も、どこかユーモラスで親しみやすく、子どもから大人まで、どなたでも楽しめるウェルカムなものばかりです。今回の展覧会タイトル「空想旅行案内人」は、じつはフォロンが実際に使っていた名刺の肩書からとったものです。



絵というものは、見る人の想像の出発点である、と信じていたフォロンは、自分の作品を通して、自由な空想の旅へと、見る人を誘いたいと考えていました。フォロン自身も、若い時に出会ったマグリット(ベルギー出身のシュルレアリスムの巨匠)の絵から「絵はなんでもできるんだ。謎を生み出すことだって!」というインスピレーションを受けたことが、アーティストを目指すきっかけになったといいます。



そんなフォロンが案内してくれるこの展覧会=空想旅行は、ある意味、フォロンが問いかける謎だらけの空間になっています。決まった答えは用意されてはいないけれど、絵の中を旅するように、積極的に入りこんで、目をこらし、耳を澄ませていくうちに、いろいろな気づきや発見が生まれ、自分のまわりの世界や、自分自身に対しても、新しい見方ができるようになるはずです。そしてそれは、きっとこれからの未来を生きていく力になるはずです!


《無題》1974年


旅は道連れ、とよくいいますが、フォロンもちゃんとみなさんの空想旅行の道連れを用意してくれています。その名は「リトル・ハット・マン」。帽子にコート姿の彼は、絵の中に、ときには3Dで、展示室のあちこちに登場します。


《人》1992年


彼と一緒に旅をして、経験や感情を共有することで、いつしかフォロンが伝えたかったことが、すぅっと心に入ってくることでしょう。さあ、みなさんも想像力をカバンにつめて、ぜひリトル・ハット・マンと一緒に、フォロンの作品世界を自由に旅してみませんか?


《大天使》2003年



作品はすべてフォロン財団蔵 ©Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025

ジャン=ミッシェル・フォロン
【レポート】空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン