【インタビュー】香取慎吾

2019/03/15(金)

香取慎吾

僕のカラダのなかに入ってもらうイメージです

昨年9月にパリのルーヴル美術館地下［カルーゼル・デュ・ルーヴル］で初個展を開催し、大盛況を収めた香取慎吾。あれから半年、待ち望まれていた日本国内での展覧会が実現する。

「絵を描いている以上は誰かに見てほしくて、いつかは個展をやりたいと思っていたんですけど、まさかいちばん最初にパリでやれるなんてびっくりでした。個展をやれることだけで、やったー！、ハッピー！、最高！、という気分だったんですが、手応えを感じる間もなく日本でも個展をやれることになって、今は“やってやるぜ！”って気持ちになっています」

国内で“初”となる個展は、ルーヴルから凱旋した100点超の絵画作品に加え、体感・体験型のインスタレーションや新作絵画を交えた内容に。しかも会場となる〈IHIステージアラウンド東京〉は、客席が360度回転する風変わりな劇場。美術館やギャラリーではなく、劇場を使っての展覧会ということにも注目だ。

「会場に下見に来てみたら、なんか様子が違うなと（笑）。僕が子供の頃から見てきた絵画展とはまったく違うものになりそうなので、なんて楽しいことになるんだろうとワクワクしています」

美術展なのに各回の入場者は350人限定。しかも360度回転する客席を利用するなど、散りばめられたヒントだけで期待が膨らむ。

「まず最初に客席に座って映像を観てもらいます。そこからステージに移動して、作品を見てもらうんですけど、お客さんがステージに上るってことだけでもなかなかないことだと思うんですよね」

会場に来れば、なぜ今回の展覧会がこの劇場でおこなわれるのかも頷けるはず。

「タイトルにした〈BOUM ! BOUM ! BOUM ! 〉は、フランス語の〈ドキドキ〉とか、心音を表す言葉なのですが、今回の展覧会は会場に来ること自体が、僕自身のなかに入ってもらうイメージ。言ってみれば劇場の入り口が僕の口で、そこから僕の頭の中だったり、内臓だったり、中身を見てもらえたらなと思っています」

今回のテーマは、“身体性に起因するアート”ということで、まさに香取慎吾の全てを感じる体感型アート展になる。

「あまり意識していなかったのですが、パリに持っていった絵の中に、自分のレントゲンを使った作品や、内視鏡の写真をコラージュした作品もあったんです。自分のなかでは他の絵と変わらない認識だったんですけど、それを見た人たちから、〈こんなものまでアートになっているんだ？〉って言ってもらって、その部分は僕も気に入っていたので、〈これはやってもいいんだ！〉って」

〈サントリーオールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM ! 香取慎吾NIPPON初個展〉では、さらに自身の内面に踏み込んだ奇想天外なアートを構想中だという。

「今、大きなオブジェを作ってるんですけど、そのオブジェを作っているときの僕の心拍を録っておいて、完成した作品に触れてもらったら、僕の心音が感じられるということを考えているんです。他にもいろいろ考えているんですけど、やりたいことがいっぱいありすぎて、間に合うかどうか」

これまでに類を見ない画期的なアート体験ができるのは間違いなさそうだ。

「アートっていうと、難しいものって先入観を持っている人もいると思うけど、少しでも僕のことを知っている方は、〈慎吾ちゃんが、なんか絵を描いて個展やってんだってよ。ちょっと見に行こうよ！〉くらいの感覚で来てくれればいいかなと。2時間楽しめるアトラクションを用意していますから、きっと帰り道に食べるご飯が美味しいものになると思います」

これまで誰もやったことがないことをやり続け、私たちに見たことがない景色を見せてくれてきた香取慎吾だからこそ、一見、無茶なことでもきっと楽しいものになるという安心感がある。

「僕自身が本当に楽しみにしているんです。パリでの個展をやったときに、あれ以上のことなんて起こらないと思っていたのに、すぐに日本で大きな個展ができることになって、僕は僕の想像を遥かに超えていくんだなと本当に実感しています。あと、今回は自分が観に来れるんですよね。今まで自分のコンサートやミュージカルって、どんなに見たくても（自分が出ているから）客席から観ることは叶わなかったけど、今回はチケットを買えば僕自身が見に来れる。なので、普通にチケットを買って見に来ます」

350人のなかのひとりとして、客席に香取慎吾がいることもありそうだ。

「客席のなかにひょっこり僕がいることもあると思います。まあ、そうじゃなくても88日間もあるので、新作も描いて追加すると思いますし、2度、3度と足を運んでくれると嬉しいです」