コンサート

LOVE PSYCHEDELICO『Premium Acoustic Live "TWO OF US" Tour 2023』Interview

LOVE PSYCHEDELICO

インタビューVol.2

LOVE PSYCHEDELICOがアコースティック編成でのホールツアー『Premium Acoustic Live "TWO OF US" Tour 2023』を、今年9月より全国10箇所で開催。今回は、メンバーのKUMI(ボーカル、ギター)とNAOKI(ギター)に加え、ヴァイオリニストの美央をサポートに迎えた初編成となる。

 

「美央ストリングス」のリーダーとして、これまで星野源やSUPER BEAVER、大塚愛などジャンルを問わず様々なアーティストの作品や劇伴、CM音楽などを手掛けてきた美央。彼女がLOVE PSYCHEDELICOと初共演を果たしたのは2017年。〈ARABAKI ROCK FEST.〉での企画ライブ「ラブサイケデリコ Sings ボブ・ディラン」に参加したのがきっかけだった。

 

 

「前から持っていたヴァイオリンを弾けるようになりたくて。『誰か教えてくれる人いないかな』と思っていたら、当時バンドメンバーだった権藤知彦さんに美央ちゃんを紹介してもらったんです。一緒にスタジオに入って音を出したり、渋谷の工房でメンテナンスをしてもらったりしているうちに仲良くなって。ディランの企画が上がった時にすぐ『ヴァイオリンは美央ちゃんがいい!』と、提案しました」(KUMI)

 

「ボブ・ディランやるなら名曲「ハリケーン」は外せない、ヴァイオリンは絶対に必要だろうという話になって。ソカベくんやトータス松本さんとか、たくさんの友人や先輩ミュージシャンが1曲ずつ参加してくれたセッションライブだったんですけど、美央ちゃんにはゲストではなく彼らを迎え入れるバンドメンバーとしてほぼ全曲一緒に演奏してもらったんです」(NAOKI)

 

「もちろん2人の音楽は知っていたし、ライブにも遊びに行くくらい大好きだったので、お話をいただいた時は夢みたいな気持ちでした」(美央)

 

「確かステージでは、僕のギターアンプの隣に美央ちゃんのアンプも置いてあって。近くで演奏していたからお互いに「この人、演奏中にこんなに飛び跳ねてるんだ」と思ったよね(笑)」(NAOKI)

 

「本番中は、どっちが高く跳べるかを競っていました」(美央)

 

早くも息の合ったトークを繰り広げる3人。今回が2度目となる『Two Of Us』ツアーは、美央のフィドルが加わることにより、LOVE PSYCHEDELICOの中にあるフォーク、カントリーミュージックのルーツが前面にフィーチャーされるはず。ただし、単にレイドバックした懐古主義的なサウンドとは一線を画すものになるのは間違いない。

 

「美央ちゃんは、ジャンルの垣根がそもそもないし、たまたまヴァイオリンを弾いているけど、きっと頭の中での発想は「ヴァイオリンを弾いている」という感覚ともちょっと違うんじゃないかと思う。足元に並んでいるペダルエフェクターの数とか、ギタリストの俺よりも多いくらいだし(笑)」(NAOKI)

 

「今回、ヴァイオリン以外の楽器はグロッケンシュピールしか持ってきていないけど、もっといろんなトイ楽器を用意してくればよかったかな(笑)。ツアーの後半になったらちょっと導入してみるかもしれない」(美央)

 

さらに今回のツアーでは、9月20日に配信される新曲「All the best to you」も初お披露目となる。辛く悲しいニュースが世界中で報じられ続けている今、生きづらさや孤独を抱えている人たちに向け「何か音楽で伝えられないか?」とKUMI。たとえ何が合っても、希望とユーモアを持ち続けることの大切さを歌った渾身のメッセージソングだ。

 

 

「まずピアノのフレーズが浮かんで、それをNAOKIさんのところに持っていって。頭の中で鳴っているコードやメロディを、一緒に探りながら形にしていきました」(KUMI)

 

「今回のライブでは美央ちゃんもいるので、音源とはまた一味違うヴァイオリンとのセッションならではのアレンジでも楽しんでもらえると思います」(NAOKI)

 

最後は美央に、このツアーで最も楽しみにしていることを聞いた。

 

「回数を重ねていくことで、3人での音楽が育っていくのがとても楽しくて。すでにリハーサルから楽しすぎて、毎回帰りたくなくなっちゃうんです(笑)。ツアー当日は、見にきてくださった皆さまがいい時間を過ごせるよう頑張ります」(美央)

 

「ぜひ足をお運びください!」(全員)

インタビューVol.1

LOVE PSYCHEDELICOがアコースティック編成でのホールツアー『Premium Acoustic Live  "TWO OF US" Tour 2023』を、今年9月より全国10箇所で開催。今回は、メンバーのKUMI(ボーカル、ギター)とNAOKI(ギター)に加え、にヴァイオリニストの美央をサポートに迎えた初編成となる。

 



2人が初めてアコースティックセットでのライブを行なったのは、2008年のUSデビューに伴いL.A.と日本とを行き来していた時期。「向こうに滞在してレコードショップやカフェなどで演奏する機会があって。その時に、2人だけだと小回りが効いてフットワーク軽く動けたんですよね」とKUMI。日本でも、2014年あたりからフェスなどで披露していたアコースティックセットを『TWO OF US』と名付け、「ツアー」という形で届けたのが2019年。今回はその第二弾だ。

 

「2人で演奏するようになって、改めていろんな発見がありました。ずっとバンドで演奏をしていて、それがLOVE PSYCHEDELICOだと思っていたんだけど、2人で音を出してみたら『あ、やっぱり私たちは2人でLOVE PSYCHEDELICOなんだ』って(笑)。お互いの呼吸へも、そこで初めてじっくり耳を傾けることにもなったんです」(KUMI)

 



「もちろんバンドでセッションするのは楽しいんだけど、アコースティックセットで届ける最大の醍醐味は『KUMIの声がよく聴こえる』ということなんですよ」とはNAOKIの弁。「息遣いまで聞こえてくるというか、隣で演奏している僕も思わずギターを弾くことを忘れてしまいそうになるくらい、会場全体が彼女の声に包まれると思う。そこはバンドでは味わえない至福の部分だと思いますね」

2人だけのアコースティックセットには、たった1人の「弾き語り」とはまた別の緊張感があった。前回の『TWO OF US』をNAOKIはそう振り返る。

 

「1人で弾き語るのって、自分の入りたいタイミングで歌に入れるし、自分が気持ちいいリズムで演奏できるし、間奏を長くしたいと思ったらその場で臨機応変にアドリブすることもできるわけじゃないですか。そういう意味では1人ってすごく自由なんですよ。で、3人、4人とメンバーが増えていくと、そこで鳴らされている音が増えた分だけ楽しい上に負担も減る(笑)。それを考えると、2人のアンサンブルって実は最も緊張感がある。どちらかが少し気を抜くとリズムがずれるし、そういう意味で全く気が抜けない。ちょっとしたリズムの揺らぎも伝わりやすいし、ごまかしも効かない。実は2人の方が、ステージにいる2時間ずっと緊張しっぱなしなんです」

前回の『TWO OF US』で導入したNAOKI特製スピーカーも、今回はさらにバージョンアップした状態で持ち込まれるという。「例えばライブハウスなどで音楽を聴いていると、『なんか、耳が疲れちゃうな』みたいに思うことって、きっと誰しも多かれ少なかれ経験したことがあると思うんです。それは音量だけの問題ではなくいろいろな要素が絡み合っているのですが、難しい話はともかく皆さんに『耳に心地よい音』を追求したリスニング環境でのライブを提供したいなと。下手したら前回のバンドセットの時よりも大きなトラックにスピーカーやアンプを積み込んで回ることになりそうですね(笑)。しかも今回、美央さんという素晴らしいヴァイオリニストと一緒なので、全会場どの席からでも楽しめるよう、僕もライブ当日は朝から会場入りしてスピーカーのチューニングを行う予定です。KUMIの声と、生楽器の心地よいサウンドをみなさん楽しみにしていてください!」(NAOKI)

 

 

photo 田中聖太郎

LOVE PSYCHEDELICO “TWO OF US” Tour 2019

2019年9月24日、25日より

 

インタビュー・文/黒田隆憲

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