【インタビュー】安田レイ
デビュー6年で見せる、等身大の大人の横顔
20歳でデビューし、今年7月でデビュー6周年を迎える安田レイ。両A面のニューシングル「over and over/dazzling tomorrow」は、大人の表現や表情がうかがえる2曲となった。“みんなの中にある安田レイのイメージを良い意味で壊していきたい”と彼女は語る。
「安田レイと言えばキラキラとしたサウンドのイメージが強いかもしれないですが。もっと生の楽器の音を重視した楽曲や、音数を減らして声が先頭に立つ楽曲作りをしていきたいんです。今回のシングルでは少しずつそういう表現ができるようになってきて。特に『dazzling tomorrow』は、新たな安田レイの幕開けだと思っています」
繊細なストリングスがメロディに絡むミドルナンバー「dazzling tomorrow」は、安田レイのエモーショナルなボーカルが冴える。どこか憂いを帯びて、しかしとても優しい体温を感じるボーカルが、包容力のある歌詞や言葉と結びついて、そっと聴き手のそばにいてくれる一曲となっている。
「私は、性格的に人に甘えるのが下手で。自分の弱いところを隠したがるというか、“私は強いんだよ”っていうアピールをしがちで。そういう私でも、手を差し伸べてくれる人達がずっと周りにいてくれてたんですよね。それに気付けていなかったなって、この曲を歌っていて改めて感じたんです。自分の弱い部分を見せることで、こんなにも世界が生きやすい場所になるんだなっていうのが、26歳になってやっとわかってきたというか(笑)。そんなリアルな自分の思いも入った一曲になりました」
《甘え方なんて 知らなかったよね 強いふりして》《少しずつでいい 頼って欲しい》。彼女の心の内を映したような歌詞は、特に同世代や働く女性からの反響が大きいという。
「本当の自分を見せられる相手がいるということは、幸せなことですよね。なんのために強がっているのかはわからないですけど、上手に甘えることは難しくて。そういうことで悩んでいる人は多いと思うし、会社や学校で、本当の自分をさらけ出せる人がいない人もたくさんいるのかなと思うんです。そういう相手がひとりでも見つけられたら、世界が違ったように見えてくるんだよっていうのを感じてもらえたら嬉しいですね」
「over and over」もまた、人の優しさを感じる曲だ。心地よいグルーヴと口ずさみたくなるキャッチーなサビで、“ライブでみんながシンガロングする姿が浮かぶ”と語る。
「この曲は、繰り返される日々の中いろんなことがあるけれど、それでも前に進んでいくというのがテーマ。私自身も日々、仕事のことで悩んだり、逃げたい!って思う瞬間もあるんです。でも自分がこの場所にいられるのは、いろんな出会いがあってのことで、ひとりで生きているわけではないんですよね。一緒に泣いてくれたり、弱って空っぽになったときに満たしてくれる人達がいたり。そういう人達がいるおかげなんですよね。歌いながら、そんなことを考えたレコーディングでした」
等身大の安田レイを見せたい、という思いが今回のシングルには随所に表れている。リラックスし引き算の表現を意識したというボーカルや、彼女自身のアイディアを盛り込み大人になった横顔を映し出すような各曲のMV。また虹を用いたアートワークもそのひとつ。
「虹はずっとアートワークに入れたいと思っていたんです。虹ってパッと見るとハッピーなイメージがあるんですけど。そのハッピーの裏には、闇もあれば雨もあって。それでこそ見える虹っていうのが、今回のシングルとリンクしました」
シンガーとして奥深い表現に磨きをかける一方、これまで以上に自身で作詞・作曲をする創作欲も高まっているという現在。その変わりゆく安田レイを、2020年2月に決定した4年ぶりのワンマンライブ『安田レイ LIVE 2020「Invisible Stars」』で見せたいという。セルフプロデュース色を強めたステージで、濃厚な“安田レイの今”を堪能できそうだ。
「今回のテーマが、Invisible Stars=見えない星、透明な星という意味で。私もそうですけど、ライブって普段は忘れていた気持ちを思い出させてくれる場所で。今は皆さん、仕事や学校で忙しくて空を見上げることも少ないと思うんです。このライブで、身近にいる大切な人(=星)を思い出せるものにしたいなという思いがひとつと。デビューから6年経ったんですが、まだ自分は透明で色がないなと思っているので。このライブを本来の自分の光を見つける幕開けにしたいという、ダブルミーニングになっています。音作りにこだわって、デビュー当時の楽曲も、アレンジをして新たな魅力を見せたいとも思っているので。当時ライブに来てくれた人も、新鮮な気持ちで楽しんでいただけるライブにしたいと思ってます」
プロフィール
ヤスダ レイ
'13年7月にシングル「Best of My Love」でソロシンガーとしてデビュー。ラジオDJとしても活動。
公演情報
安田レイ LIVE 2020「Invisible Stars」
2020/2/7(金)19:30 東京・EX THEATER ROPPONGI
インタビュー・文/吉羽さおり
構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載