【インタビュー】八神純子
2025/8/15(金)

1回1回をベストの『ヤガ祭り』に。デビュー50周年で10回目の開催を目指したい
「みずいろの雨」「パープルタウン 〜You Oughta Know By Now〜」をはじめ数々のヒット曲を擁し、1978年のデビューから47年というキャリアを誇るシンガーソングライター、八神純子。2023年にはアメリカで『Women Songwriters Hall of Fame(女性ソングライターの殿堂)』を日本人として初めて受賞した彼女は、昭和のシティポップの世界的な再評価やサブスクリプションサービスの台頭も相まって、いまだ現役どころか今が第二の全盛期とも言える活躍ぶり。最新アルバム『TERRA - here we will stay Premium』も、長尺の表題曲やライブの人気曲「負けないわ」などを収録、トレンドに安易に準じない音楽的挑戦を感じさせる意欲作となっている。
「前からずっと組曲のようなものを作りたいと思っていたので、『TERRA』をアレンジしてくれた澤近泰輔さんも巻き込んで、何度も何度も直して、結局、足かけ5年かかりました。『負けないわ』はコロナ禍にできた曲で、コンサートが次々と中止になって、もう歌えなくなってしまうんじゃないかと思うこともあって…。コロナだけじゃなく、毎日、生きるのはいろいろ大変でしょ? だから、何かと競争するとか他人を打ち負かすのではなく、絶対にくじけないぞ、自分に負けないぞという気持ちを込めて、自分への励ましとして『負けないわ』という言葉を使いたいなと。アレンジの深澤秀行さんが新たに作ってくださったNever Give Up Mixが、曲を聴いたら一緒に歌わずにはいられないサウンドになっています。私も力をもらえる歌ですね」
そんな彼女が恒例にしている一大イベント『ヤガ祭り』が、10月4日・5日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で行われる。初日は自身のラジオ番組への出演をきっかけに交友を深めた盟友の稲垣潤一をゲストに迎える。
「稲垣さんとは声質が違うので合うのかなと思ったらバッチリで、一緒に歌っていてとにかく気持ちがいいんです。歌と真っすぐに向き合い続け、そのために節制もし、練習を怠らない姿勢には、いつも敬服しています。ただ、年齢は稲垣さんの方が上なのに、私のことを“八神さん”と呼ぶんです。“音楽業界に入ったのは八神さんの方が先輩なので”って(笑)。ジェントルマンの稲垣さんらしいなぁと。この日のために、皆さんがよく知っているヒット曲を2人のハーモニーでお届けしたいと思っています。聴き慣れた曲でも、きっとこれまでとは違う印象を抱いていただけるはずです」
2日目は、6人編成のバックバンド・ヤガミグミにホーンズとストリングスを加えた、ヤガミグミ Specialを従えたライブとなる。
「2日目は古い曲から新しい曲まで、約3時間半で30曲以上、私が歌いたい曲を歌いたいだけ歌う『ヤガ祭り』の原点です。今年で7回目ですが、恒例となっているのは昔のアルバムを丸々1枚、当時のキーとアレンジのまま1曲目から順番に歌うコーナーと、シークレットゲストですね。おととしは大黒摩季さん、昨年は寺田恵子さんが出てくださいました。今年も“え~!”と驚く方をお招きしたいと思います」
3年後のデビュー50周年も視野に入れ、今後の八神純子はどう歩んで行くのだろうか。
「『キミの街へ』というツアーでは比較的小さな街へ歌を届けているので、そうしたコンサートも増やしていきたいです。でも、続けるにはまず今回の『ヤガ祭り』を成功させないと。このまま毎年開催できれば10回目が50周年と重なるので、1回1回をベストの『ヤガ祭り』にして、結果として10回目を迎えられたら。なので、今年も頑張ります(笑)」
プロフィール
八神純子/やがみじゅんこ
愛知県名古屋市出身のシンガーソングライター。「みずいろの雨」「パープルタウン〜You Oughta Know By Now〜」など、数々のヒット曲を輩出している。
公演情報
ヤガ祭り the 7th Legends ~with 稲垣潤一~
- 10/4(土) 18:30 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
ヤガ祭り the 7th ~ヤガミグミ Special~
- 10/5(日) 16:30 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
インタビュー・文/奥“ボウイ”昌史
Photo/スエイシナオヨシ
構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載