【インタビュー】宇都宮隆
UTUソロのTMカーニバルが見納め!?
80-90年代のJ-POPファンがいまなお胸をときめかせるTM NETWORK。そのボーカリストが宇都宮隆だ。11月まで行われた彼のソロツアーのタイトル『Dragon The Carnival』に、TMファンならときめき以上の高鳴りがあったはず。TM初のツアータイトル「Dragon The Festival」をもじっているからだ。
「TMの曲は、これまでもソロコンサートのなかで、たまに1曲か2曲歌うことはあっても、全曲ってことはなかったので、TMデビュー35周年の今年なら、面白いかもと思ったのがきっかけです。ツアー初日は、さすがに驚きました。お客さんのリアクションがすごかったので。1曲ごとの拍手と歓声と熱気に圧倒されそうでした。とはいえ、あくまでも僕のソロの一環として考えたセットリストです。実は、ソロだからもっとマニアックなセットリストにしようかなとも考えたけど、そこは1stアルバムに収録されている『クロコダイル・ラップ』を入れたから、ま、いいかなと(笑)。あれを知っている人は相当なマニアだよ。後半のシングル曲を続ける箇所に入れようか外そうかギリギリまで悩んだ曲もありましたね。2002年のシングル曲『CASTLE IN THE CLOUDS』。スタッフからは『それよりも『Get Wild』でしょ、『LOVE TARIN』でしょ』と言われて。その気持ちもわかるので、おなじみのシングル曲も増やしました。35周年という側面もあるから。これが宇都宮隆セレクションTM NETWORKなら、また違ったセットリストになるでしょうね」
しかし、ただ懐かしい曲を歌っているだけではないところがこのコンサートの肝。参加しているメンバーとバンド編成も宇都宮ならでは。TMと同時代を駆け抜けたバンドREBECCAのリーダー土橋安騎夫、access等で知られる浅倉大介、アイドルからGReeeeNまでを手がけるサウンドクリエイターnishi-ken。そして、超一流のギタリスト北島健二。
「キーボード3人とギタリスト1人の変則的な編成は、2018年のツアーで1回試してみた結果、まだ可能性がありそうだったし、もうワンツアーくらいなら続けてやってみたいなと。でも、問題は内容だなと。何をやるか。似たようなツアーを続ける気はないので。それはひとつ、僕の変わらない考え方。同じことは2度やらない。常に変わる。TMも同じですね。大成功しても、評判が良くても、次はガラッと変えてきました。そこは大事にしています。というか、そういう性格(笑)。で、キーボードの3人は全員がプロデューサーでもあるから、TMの曲をやろうと決めたとき、僕が1人3曲ずつくらいアレンジを振り分けました。それを土台にリハーサルでブラッシュアップして…」
宇都宮隆feat.TM NETWORKとも言えるコンサートの追加公演も決定。
「来年2月までまだ時間があるので、1回頭をリセットしていろいろ練り直す時間はあります。9月からの本ツアーでも、開演までいろいろ練り直したし。たとえばアンコール。リハーサル時点では、アップテンポのエンディングだったけど。自分の中での葛藤があって。いろいろ考えた末、日替わりで『SEVEN DAYS WAR』と『Human System』に変更しました。コンサートの完成度を求めるなら、この2曲にすべきだなと思ったから。とにかくこの編成も、この内容も2月の中野サンプラザが見納めです。大成功しても、評判が良くても、次はガラッと変えるのが僕のソロだから」
プロフィール
ウツノミヤ タカシ
1979年バンド、SPEEDWAYでデビュー、'83年にTM NETWORKを小室哲哉・木根尚登と結成。'92年以降はソロや石井恭史とのBOYO-BOZOやU_WAVEでも活躍。
公演情報
Tour 2019 Dragon The Carnival 追加公演
2/6(木)19:00 東京・中野サンプラザ
2/7(金)19:00 東京・中野サンプラザ
インタビュー・文/藤井徹貫
構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載