SATOKO『11月を守る本』リリースインタビュー(後編)

 

SATOKO『11月を守る本』

 

 

絵本の出版、初のソロワンマンライブ、個展に映画出演。この秋SATOKOの活躍に注目!

 

――ROLLYさんやTAKUYA∞(UVERworld)さんのほか、今回の楽曲制作でもまた錚々たるスペシャリストが集結してますね。

 

SATOKO そうなんです!!!本当にみんなに感謝しかないです。今度は私が絵だけじゃなく楽曲制作をするつもりらしいと聞きつけて、みんなが「手伝おうか?」「やろうやろう!」って言ってくれたんです。ずっと仲良くしてくれるSUPER&SPECIALなアーティストのみなさんとの出会いはもちろん、サポートで参加させてもらった超一流のミュージシャンのみなさんとの出会いが今作に大きな影響を与えてくれているので、本当に「なるべくして成る」というか、タイミングってあるんだなと思いました。

 

――「11月を守る曲」たちのなかで『11月を守る会テーマソング』と『5月の木』はすでにライブでのお披露目もあったとのこと。そこからどんな風に曲作りが始まったのですか?

 

SATOKO 3月と12月の曲を思いついて「こんな曲にしよう」と作り始めたのが最初でした。3月の『春眠暁を覚えて』は「春眠暁を覚えず」(春の夜は短い上に寝心地よく、暁になってもなかなか目が覚めないものだ。)ということわざの意味を逆にして、“暁まで起きている”雰囲気を英詞を交えて書いています。この曲では幼馴染でミュージカルの舞台でも活躍しているEliana(エリアンナ)がコーラスで参加してくれました。彼女には絶対コーラスで手伝ってもらおうと決めていたけれど、なんとコーラスアレンジまで全部やってくれて、さらに曲の後半には彼女のフェイクが炸裂しています。私の「こんな風にしたい」というざっくりしたオーダーにも関わらず、“ゴスペルっぽくてちょっとハイスクールミュージカルみたいで、ゴージャスな楽曲”に仕上げてくれました。

 

――幼馴染同士で活躍していて、刺激になりますよね。

 

SATOKO スゴい幼馴染がいたもんです(笑)。そしてやっぱり身内ながらJUON(FUZZY CONTROL:ヴォーカル・ギター)がスゴかった。ドラムを叩きながら歌って、メロディのところをちょっとピアノで入れたようなデモ音源を「こんな感じの曲にしたい」って渡すとビックリするようなギターとベースを入れてきてくれる。今回の作品ではほとんどJUONが手伝ってくれているし、JUON無しにはありえなかったと思う。

 

――さすがの信頼関係ですね。

 

SATOKO もちろん、DAITAさんもスーパーギタリストの域を超えて、もはや“波動奏者”と言われるほどのスーパーミュージシャン。そんな素晴らしい人にお願いしたかったから、勝手に曲の構成を作って「DAITAさんにこんな風に弾いてもらいたい!」と妄想しながら先に自分でドラムを叩いて、「あなたの元でこんなドラムを叩きたい!」とまるでラブレターのようなドラム音源を渡して「好きに弾いてください」ってお願いしたんです。

 

――完全にセッションですよね。

 

SATOKO ドラムとギターだけの曲です。こういうやり方は信頼関係がないできないと思います。DAITAさんは6月生まれで毎年お誕生日ライブに参加させてもらっているけれど、羨ましいくらいの晴れ男。6月はファジコンの結成記念日もあるけど、自分がビックリするほどの雨女だから、ほとんどといってイイくらい雨で(笑)。今回の曲では「DAITAさんがいると必ず晴れるステキな感じを『6月の晴れ間』というタイトルにして、こんな感じのドラムを叩きました。DAITAさんの晴れ男っぷりが羨ましくて、そういう憧れの思いを楽曲にしたいです」とお願いしたんです。それで戻ってきたらあの曲になっていたという凄さ。とにかくリスペクトしかないです。曲としては6月というテーマはあるので、ドラムで「カッパじゃないとカエルだよ」、「あっというまにかわいいコックさん」って叩いてるところもあるのでチェックしてみてね(笑)。

 

――もしかして、KenKen(8月:『お祭り花火』)もそういう感じですか?

 

SATOKO そう、ベースとドラムだけ。KenKenとは一緒にステージに出ることも多いし、2人で演奏するのはスーパー気持ちイイ。2人だけのその部分をみんなに聞いて欲しいと思ったのがキッカケでした。この曲ではドラムもベースも陰と陽、右と左みたいな対称を2人それぞれ表現してるんです。たぶんステレオで聴くと、表と裏のリズムがそれぞれ入っているのがわかると思います。この曲も私の妄想の中で「KenKenにこういう感じで入ってきて欲しい!」って先にドラムを叩いてから来てもらったんだけど、「なんだこれ!ご褒美か!」ってスゴく楽しそうに弾いてくれて(笑)。KenKenもドラムに合わせて表と裏を弾いてくれてます。音楽的なクオリティもありながら、テーマとしては好きな人と祭りに行くときのドキドキ感を表現していて、曲もそういう前提でイメージを作りました。ただ、最初にお祭りに遊びに来たカップルみたいな声を入れたくてJOE(FUZZY CONTROL:ベース)と自分で演じてみたものの、普通に私とJOEの日常会話になってしまった(笑)。

 

――曲の作り方が普通とは違いますね。

 

SATOKO 自分でメロディとリズム、構成と骨組みを作ってギターやベースはプロに任せる、みたいなイメージだったけれど、確かに「作曲って何だ?」と思ったかな。私はドラマーだから普通の作り方とは違うだろうし、私が作ったデモを聞いて「こういう感じかな」と理解してくれる人じゃないと一緒にできないかもしれない。でも、違う人と組むとまた違う表現が生まれるんですよね。例えば1曲目の『Calendar』を一緒に作ってくれた大島こうすけさんの魔法にかかると、曲作りって本当に不思議だなと思ってしまう。

 

――1曲目の『Calendar』と2曲目の『Valentine’s Chocolate』ですね。

 

SATOKO 最初の曲は年始の「和」のイメージと壮大でカッコイイ曲にしたかったので、真っ先に大島さんに相談に行ったんです。大島さんは作詞作曲はもちろん、とにかく鍵盤でどんな楽器でも表現してしまうスーパーミュージシャン。ファジコンもプロデュースしてもらったことがあって、絶大なる信頼をしている大先輩です。自分のドラム以外、その鍵盤から繰り広げられる音の世界は本当に魔法のよう。そこにスーパーヴォーカリスト・光永泰一朗さんを呼んでくれて、日本人とは思えない発音の良さと低音の甘い声を吹き込んで頂いてさらに曲を膨らませてくれました。その大島さんとレコーディングをしているのを聞きつけて、スーパーギタリストでありRED DIAMOND DOGSのメンバーとしても活躍しているDURANが「俺も参加する!」と手を挙げてくれたという奇跡のコラボが実現するという、壮大な1年の始まりの曲になりました。

 

――さらに2月『Valentine’s Chocolate』のヴォーカルはあの、大黒摩季さんです。

 

SATOKO あえて“摩季姉”と言わせていただきますが、レコーディングをしていると知って摩季姉が「手伝うわよ?」って言ってくれたんです。信じ難いほど嬉しかったけれど、いろんな意味で本当に現場に衝撃が走りました(笑)。とにかくまず、レコーディングも終盤で、摩季姉にお願いしたくてもお願いできる曲がそもそも仕上がって無かったという衝撃。「どーしよーッ♥」ってマネージャーと膝を震わせながら、嬉しいやらどうすればいいのやら軽くパニックでした(笑)。でもそういう時こそ底力が出るというのか、摩季姉にお願いできる1曲があったことに気づいたんです!大島さんにアレンジしていただいて、摩季姉と1曲目でも参加してくれた光永さんと一緒に歌って頂いて、2月の曲としてバレンタインをテーマにちょっと大人な『Valentine's Chocolate』が奇跡的に完成しました。

 

――そしてさらにゴージャスな1曲が10月の『Trick me Treat me』。これはまさにハロウィンソングです。

 

SATOKO この曲は最初から頭の中でイメージが完成していました。自分はティムバートンの世界観が好きで映画もよく観てるんですが、よくよく考えたら自分の周りにそのシーンに登場しそうな姿の仲間がたくさんいることに気付いた、みたいなところから始まってます(笑)。ROLLYさんとか、浦嶋りんこさんとか、KenKenとかJUONとか見た目で合格しそうだから、みんなを集めてハロウィンの曲を歌ったら絶対に楽しいはずと疑う余地もなかったです。そしてこれも奇跡の出会いなんですが、最近「アレンジがカッコイイし、素敵だな」と思ってチェックすると“岩崎太整”さんという名前が出ていて、ずっと気になっていたら最近お会いする機会があって仲良くなって。曲のイメージの話をしたら「俺がめちゃくちゃハロウィンな曲書くよ!」と言ってくれて最高のコラボになりました。力の入った10月の曲になってると思います。聴いているだけで楽しめるはずです!

 

SATOKO『11月を守る本』

 

――こんな風にどんどんコラボが決まって、どんどん形になっていくのはスゴいことですよね。

 

SATOKO 作っているうちにたくさんの友達たちが参加してくれて、あれよあれよという間にこんなに曲ができちゃった、という感じでした。参加してくれたみんなに心から感謝しています。5月の曲で一緒に歌ってくれたアルカラの太ちゃん(稲村太佑)もデビュー当時、大阪のライブハウスで初めて対バンした時、スゴくカッコ良かったから自分からCD欲しいってお願いした時からの仲間だし、淳希(FIRE HORNS湯本淳希)も若手トランぺッターとしては日本一売れていて、日本一素晴らしいミュージシャン。参加してくれたみんなをフィーチャーしながら曲作りをしていったところもあるけれど、実は一番手伝ってくれて一番頑張ってくれた大切なJUONをメインにした曲はどれだっけ…?「あれ??あれれ??」みたいな(笑)。

 

――ギターはもちろん、コーラスもアレンジも、ほとんどの楽曲制作に参加していますよね。

 

SATOKO ここまでやってきて一番わかったことは「やっぱりJUONは天才だ」ということ。このアルバムでもそれを証明することになったよね。今回自分でメロディを作りながらも、ギターフレーズはほとんどJUONに自由にアレンジしてもらいました。JUONは曲のことを第一に考えてくれる人だから、曲が良ければ「ギターソロを入れよう」なんて言わないタイプ。常にこっちからのオーダー以上のアレンジとコーラスを入れて戻してくれて、本当に彼は天才だな、と曲を聴くたびに感心してしまう。私は一番好きな楽器はギターで、中でも一番好きなギタリストはどうやってもJUONなんだよね。“一番好き”にもいろいろな意味があるんだろうけれど、自分が音楽をやるうえで一番合うのはJUONのギターなんだよね。

 

――そのJUONをフィーチャーし忘れた、と(笑)。

 

SATOKO そう(爆)。忘れたわけではないけれど(笑)、よく見たらすでに11曲になっていたので、最後にもう1曲ミドルテンポの4月の『嘘つき卯月』を作って、JUONに「思いっきりギターソロを弾いてくれ!!」とオファーしました。ベースはスガシカオさんのツアーでJUONも私もご一緒させてもらっている坂本竜太さんが参加してくれて、これが全部で12曲揃った、という顛末です(笑)。最初は自分のライフワーク的に5、6曲まとめられたらイイかなと思って始めたはずなのに、こんな風に自分が憧れているミュージシャンがたくさん参加してくれて本当に幸せです。

 

――ここからは、この曲たちを生で披露する初のソロライブ、そして実際に描いた作品を展示する個展が開催されます。

 

SATOKO 全力で曲を作ってはみましたが「これどうやってライブでやるんだろう…」ってどの曲でも思ったのも事実(笑)。ゲストがいてもいなくても、この曲たちをどう表現するか楽しみにして欲しいです。個展は東京と京都で開催します。実物の絵を見てもらって、絵本とは違う実物大のキャンバスで見れるのもいいかなと。お近くの方はぜひ遊びに来てくださいね。

 

『11月を守る本』の発売、そして10/11から原宿 ART・IN・GALLERY、11/16より京都・GOKAN MusicbarにてSATOKO’s exhibition 2018 in Tokyo「DORAMU TO AATO ~ドラムとアートの個展3~」がスタート。そして11/3(土)には品川プリンスホテル クラブeXにて初ワンマンライブが決定している。さらに、10/12(金)より全国ロードショー、主演・阿部サダヲ、ヒロイン・吉岡里帆の話題の映画『「音量を上げろタコ!」なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』に登場する主人公ロックスター・シン(阿部サダヲ)とバックバンド「EX MACHiNA」からなる「SIN+EX MACHiNA」のメンバーとしてPABLO(アレンジ/ギター)、KenKen(ベース)とともに出演。HYDE作曲のW主題歌『人類滅亡の歓び』を最狂ロックに披露している。

 

プロフィール

1982年9月10日生まれ。13歳でドラムを始め、様々なバンドやセッションに参加し始める。2003年から自身のロックバンド、FUZZY CONTROLの活動を開始。ドラムコーラスと作詞を担当し、レコーディング、ライブ活動を行うと同時に、ドラムのワークショップを全国各地で展開。その傍ら、DREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、DAITA、花澤香菜、スガシカオ、山本彩、大黒摩季等、多数アーティストのサポートドラマーとしての活動も行なっている。左利きのため、変形セットを操る。2013年に自身初の書籍「たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン」(光文社)を出版。執筆活動でも力を発揮し始める。2015年からは各地で絵画個展を開催。作家、画家としても活動の幅を広げている。2017年、8月に中国で開催された「Jinbao music festival」に参加。同年12月には、シンガポール・台湾でスガシカオのTOURサポートを務める等、海外での活動も活発に行なっている。

 

 

商品情報

「11月を守る本」

SATOKO『11月を守る本』

 

2018年10月11日(木)発売(発売元:DCT entertainment, Inc.)

【絵本+音楽CD】\4,500(+tax)FUZR-0001

絵本「11月を守る本」

内容:「11月を守る僕」、「うんこの話」、「泡と雲の話」、イラスト、詩入り

CD「11月を守る曲」

収録曲:1月「Calendar」、2月「Valentine's Chocolate」、3月「春眠暁を覚えて」、4月「嘘つき卯月」、5月「5月の木」、6月「梅雨の晴れ間」、7月「泡と雲」、8月「お祭り花火」、9月「うんこの話」、10月「Trick me Treat me」、11月「11月を守る会テーマソング」、12月「月見テ君想ウ」 全12曲入り

参加ゲスト:稲村太佑(アルカラ)、岩崎太整、浦嶋りんこ、Eliana、大黒摩季、大島こうすけ、KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)、坂本竜太、JUON(FUZZY CONTROL)、JOE(FUZZY CONTROL)、DAITA、TAKUYA∞(UVERworld)、DURAN、光永泰一朗、湯本淳希(FIRE HORNS)、ROLLY 他 (五十音順)

 

▼SATOKO初ワンマンライブ「11月を守るライブ」開催!!

 

▼“絵本&CD”「11月を守る本」発売記念トークショー&サイン会開催決定!!

※HMV&BOOKS onlineのサイトへ移動します

 

 

作品概要

音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!

SATOKO『11月を守る本』 ©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

監督

三木聡

出演

阿部サダヲ、吉岡里帆、千葉雄大、麻生久美子、小峠英二(バイきんぐ)、片山友希、中村優子、池津祥子、森下能幸、岩松了、ふせえり、田中哲司、松尾スズキ ほか

公式サイト

http://onryoagero-tako.com/ ※外部サイトへ移動します