SATOKO『11月を守る本』リリースインタビュー

 

SATOKO『11月を守る本』

 

 

FUZZY CONTROL(通称:ファジコン)のドラマー、そして作詞担当として2003年6月21日に「SHINE ON」でデビュー。JUON(gt)、JOE(Ba)とともに3ピースバンドとは思えない圧倒的な演奏力とサウンドで頭角を現し、現在はDREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、スガシカオ、大黒摩季など錚々たるアーティストのサポートドラマーとしても活躍しているSATOKO。

ソロ活動として2013年には初の絵本『たった少しの覚悟で冒険するドラゴン』を出版し個展を開催するなど、ミュージシャンの枠にとらわれず表現者として多才な活動を続けている。

今回これまでの活動をすべて詰め込んだ“絵本&CD”『11月を守る本』が完成した。親交のあるスペシャルゲストが多数参加。その豪華な顔ぶれはSATOKOのこれまでの活動が成せる業。他では聴けない奇跡のコラボレーションが実現した。

たくさんの人に助けてもらって、手伝ってもらって、こんな風に作品が創れるなんて本当にラッキーで幸せだと思います

 

――ソロ活動では“音楽とアートの融合”「DORAMU TO AATO」をテーマに、ミュージシャンとしてはもちろん、作家・画家として幅広く活動してきましたが、今作はその集大成ともいえる作品が完成しましたね。

 

SATOKO やっとできた、という感じかな。ソロワークが始まったとき、「SATOKOは絵を描いたり物語を作ったりするんだから、音楽だけじゃなくそっちも本格的にやってみれば?」とDREAMS COME TRUEのマサさん(中村正人)が背中を押してくれたんです。「こんなのあるよ」と本とCDがセットになった絵本を買ってきてくれたり、いつもいつも応援してくれて本当に感謝しています。絵はもともと好きで描いていたし、ジャケットなんかでは何度か描いているけれど、学校で習ったわけではないので書き方は超我流(笑)。筆の使い方も教科書通りではないから、画を見て「うーん…」って唸った人もいたし。今回の作品でも9月のキツネの画を見て、マネージャーでさえ(実物は大きいキャンバスの片隅のほうに顔としっぽだけがあるので)「これ、まだ途中ですよね??カラダはこれから書くんですよね??」って聞いてきたし、6月の絵に至っては「とうとう手を抜いたな…」と思ったみたいだし(笑)。私はいつも変わらず自分の中にあるものを表現しているだけで、落書きのようなところから始まったものがこうしてたくさんの人に助けてもらって手伝ってもらって、“作品”として形になったり個展ができようになるなんて、本当にラッキーで幸せだと思ってます。

 

――絵本に収録された物語が1月から12月の各月のストーリーと、『11月を守る僕』、『うんこの話』、『泡と雲の話』の三作。いきなり『うんこの話』って…いったいどうなるんだろう?? と思いながら読んで聴いてしまいましたが、コレがなかなか深い(笑)。

 

SATOKO 今回ROLLYさんが朗読してくれた『うんこの話』は4年前、私が一番最初に書いた話なんです。初めて編集部にプレゼンに行くことになった時、さすがに手ブラじゃダメだろうと思って、とりあえずプリントアウトして持って行ったんですよね。大手出版社編集部の方がそのペラっとした数枚の紙をちゃんと読んでくれて、それがキッカケで最初の『たった少しの覚悟で冒険するドラゴン』の出版が決まったので、今思えば奇跡のような話ではあるけれど、“『うんこの話』は悪くないんだな”と自信を持ったのを覚えてます(笑)。これをどうしてもROLLYさんに読んで欲しくて今回真っ先にお願いしました。以前ROLLYさんの朗読劇を観に行ったことがあって、その表現力や世界観に魅了されてしまってどうしてもROLLYさんに読んでもらいたいと思ってました。快諾してくれて本当に嬉しかったです。圧倒的なROLLYさんの世界観で自分の想像を遥かに超える物語にしてもらいました。

 

――『泡と雲の話』もUVERworldのTAKUYA∞さんが朗読で参加という、まさに驚きのタッグでした。息遣いまで伝わってきて、楽曲とあいまってしっとりと切ない感じに仕上がっています。

 

SATOKO 昔から何でも協力してくれるTAKUYA∞だから、今回も曲を作ったり歌ったり「何でもするよ」って言ってくれました。でも彼は話し声もとっても魅力的なので「その声をちょうだい」ってお願いすることにしました(笑)。この物語を朗読してもらう人をイメージした時に最初からTAKUYA∞が合うかも、と思ったかな。イントネーションとか細かいところも気を使ってくれて大変だったと思うけど、とっても雰囲気が出てますよね。

 

SATOKO『11月を守る本』

 

――『11月を守る僕』もそうですが、SATOKOさんが11月を守ろうとする理由、「11月を守る会」について教えてもらえますか?

 

SATOKO 秋らしい秋を大切にしたい。それが11月を守る会のコンセプトかな(笑)。もう5年くらい前になるけれど、ブログで「最近クリスマスツリー出すのが早くない?」とか「日本のハロウィン、盛り上がりすぎじゃない? どうなってるんだ?」みたいなことを書いたんです。「そうくるなら11月は何もしないで静かな1か月を守るんだ!“11月を守る会”を結成して(会員は誰もいないけど)あたしが会長になる!」って(笑)。そしたら「私もそう思ってました!」「デパートの戦略だと思います!」「私も入会したいです!」というコメントをたくさんもらって、翌年の11月が近づいた頃には「会長、今年も11月を守りましょうね!」って先にメッセージが来たり、「会員証が欲しいです!」っていう声もあったり。「みんなで今年も11月を守ろう!」という会が何となく組織されました(笑)。

 

――SATOKOさんは9月生まれですが、11月に特別な思い入れがあったんですか?

 

SATOKO 最近はこんなギリギリまで台風が来るし、10月に真夏日とか、どんどん秋が遅くなってるような気がするけれど、そんな中でも自然は秋がそこまで来ていることを教えてくれる。11月はお祭り的イベントは無いけれど、厚手のコートを出したり、毛布を出したり、“秋の味覚を楽しむ”とか、日常が静かに切り替わっていく。そういう季節が移ろいゆく感じを静かに楽しむ月があってもイイじゃないですか。他の月と比べるとちょっと弱めの「11月を守る曲」を作ってソロライブで披露したら11月生まれの人たちがとっても喜んでくれたんですよね。

 

――11月がお誕生日の人には11月を大切にしてくれる嬉しい曲ですよね。

 

SATOKO こんなに喜んでくれるなら、たぶん他の月の曲もあったらその月生まれの人が喜んでくれるかな、とボンヤリ思ってました(笑)。その流れで5月のイベントの時5月に纏わる曲も出来たので、その頃から今回の企画の構想ができていった感じですね。でも最初から12ヶ月全部を作ろうとは思っていませんでした。日本の季節の流れを表現しながらライフワークみたいに作っていって、いつか12ヶ月揃ったらイイなと。そう思いながら『11月を守る僕』、『うんこの話』、『泡と雲の話』を持って、他に書けるだけの文章を書いたので、いざ絵を描きに南の島へ飛びました(笑)。

 

――文章を書いてから絵を描いた、という流れなんですね。

 

SATOKO 青い空と海、綺麗な景色を見ながら自然の色の中に囲まれて、その色にインスピレーションを受けて思いっきり集中して描こう! と。絵本では実物に描いた絵のサイズは伝わらないと思いますが、けっこう大きなサイズのキャンバスもあるんですよ。さっきのキツネの絵みたいに余白をいっぱい使ったものもあるし(笑)。

 

――絵と文章はどんな風にリンクしているんですか?

 

SATOKO それは見てくれた方、読んでくれた方次第です(笑)。思ったことを表現してはいるけれど、こんな風に見て欲しいという希望は全くないです。“自由に見て欲しい”というのが唯一の希望です。自分が書いた文章も、自分がキャンバスに描いた絵も、絵本の仕様にするにあたって大好きな岡田独歩さんにデザインをお願いすることができて本当に良かったです。表紙のフォントもオリジナルで作って頂いたり、私の絵を見てそれに合う色を選んでページをレイアウトしてくれたり。こんな素敵にまとめることができたのはとにかく独歩さんのおかげです。絵を楽しんでもらって、お話を楽しんでもらって、そして音を聴いてもらって、いろんな風に楽しんでもらえたら最高です。

 

 

プロフィール

1982年9月10日生まれ。13歳でドラムを始め、様々なバンドやセッションに参加し始める。2003年から自身のロックバンド、FUZZY CONTROLの活動を開始。ドラムコーラスと作詞を担当し、レコーディング、ライブ活動を行うと同時に、ドラムのワークショップを全国各地で展開。その傍ら、DREAMS COME TRUE、稲葉浩志、吉川晃司、DAITA、花澤香菜、スガシカオ、山本彩、大黒摩季等、多数アーティストのサポートドラマーとしての活動も行なっている。左利きのため、変形セットを操る。2013年に自身初の書籍「たった、少しの覚悟で冒険するドラゴン」(光文社)を出版。執筆活動でも力を発揮し始める。2015年からは各地で絵画個展を開催。作家、画家としても活動の幅を広げている。2017年、8月に中国で開催された「Jinbao music festival」に参加。同年12月には、シンガポール・台湾でスガシカオのTOURサポートを務める等、海外での活動も活発に行なっている。

 

商品情報

「11月を守る本」

SATOKO『11月を守る本』

 

2018年10月11日(木)発売(発売元:DCT entertainment, Inc.)

【絵本+音楽CD】\4,500(+tax)FUZR-0001

絵本「11月を守る本」

内容:「11月を守る僕」、「うんこの話」、「泡と雲の話」、イラスト、詩入り

CD「11月を守る曲」

収録曲:1月「Calendar」、2月「Valentine's Chocolate」、3月「春眠暁を覚えて」、4月「嘘つき卯月」、5月「5月の木」、6月「梅雨の晴れ間」、7月「泡と雲」、8月「お祭り花火」、9月「うんこの話」、10月「Trick me Treat me」、11月「11月を守る会テーマソング」、12月「月見テ君想ウ」 全12曲入り

参加ゲスト:稲村太佑(アルカラ)、岩崎太整、浦嶋りんこ、Eliana、大黒摩季、大島こうすけ、KenKen(LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)、坂本竜太、JUON(FUZZY CONTROL)、JOE(FUZZY CONTROL)、DAITA、TAKUYA∞(UVERworld)、DURAN、光永泰一朗、湯本淳希(FIRE HORNS)、ROLLY 他 (五十音順)

 

▼SATOKO初ワンマンライブ「11月を守るライブ」開催!!

 

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