【インタビュー】三浦ジュン&こやまたくや(ロックアンセム)
2025/1/15(水)
フェスから離れた世代、いろいろな世代が集まれるフェスが『ロックアンセム』
年間250本以上のライブに足を運ぶテレビマン、三浦ジュン(テレビ朝日)。ロックバンドに魅了された三浦がそのロックバンドの魅力を伝えるべく選択したのは彼の主戦場であるテレビというメディアだった。
三浦「長年テレビで音楽番組の制作をしてきた中で、音楽フェスがどんどん大きな存在になっていくのを感じていて。何万人というお客さんを熱狂させるアーティストがテレビにはあまり出演しない。そういったアーティストの魅力をテレビで伝えたくて、当時フジテレビの『Love music』という番組発信で『LOVE MUSIC FESTIVAL』というイベントも立ち上げました」
2025年4月、三浦ジュンは日本最大級のライブハウスサーキットフェス『TOKYO CALLING』隊長である菅原隆文とタッグを組み、新たなロックフェス『ロックアンセム- BY ROCK LOVERS , FOR ROCK LOVERS -』を開催する。
三浦「僕は2000年くらいからフェスに足を運んでいますけど、フェスが盛り上がってきた2000年代~2010年代のフェスを支えていた30代、40代、50代のお客さんがフェスから離れてしまった印象があって。その世代が“またロックフェスに行きたい”と思ってくれるフェスを作りたい。それが『ロックアンセム』です。もちろん若い世代を中心にフェスが盛り上がっているのは素晴らしいことなのでいろいろな世代が集まれるロックフェスになったらいいなと」
『ロックアンセム』には若い世代からも絶大な人気を誇るヤバイTシャツ屋さんの出演が決定している。コロナ禍以降のロックフェスの在り方も踏まえ、世代が交わることの難しさをこやまたくやが語る。
こやま「コロナ禍を経て音楽シーンを取り巻く環境は大きく変わりました。ジュンさんはイベントを作る人だけど、それ以上に年間250本以上ライブに行く“お客さん”でもあるから、ライブシーンの変化をお客さん目線で感じている人。そういう人が作るフェスがこの時代に増えることは僕らとしても嬉しいこと。ただ単に幅広い世代のバンドをなんとなくブッキングするだけのフェスではお客さんが来ないだろうし、その世代間の垣根を『ロックアンセム』が繋いでくれることを期待しています」
04 Limited Sazabys主催「YON FES」、10-FEET主催「京都大作戦」、HEY-SMITH主催「HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」、SiM主催「DEAD POP FESTiVAL」などバンドが主催するフェスが台頭する中での「ロックアンセム」の在り方とは。
三浦「バンドが主催するフェスと違って『ロックアンセム』は「毎年〇〇が出る」という保証がない。その上で、イベントの開催解禁で出演アーティストの発表前にソールドアウトするような、そういうフェスのブランド力を持てるようにしていきたいです。あとはお子様連れのファミリー層も安心して楽しめるフェスにしたくて。前方ブロックはオールスタンディング、後方ブロックは椅子を並べた指定席スタイルといったハイブリッド方式も考えていますし、小さなお子様が遊べるキッズエリアも用意しようと思っています」
『ロックアンセム』というイベント名について、三浦は「ライブの一体感を生むロックアンセムを体験してほしい」と説明してくれた。
三浦「僕は元々フェスやライブで生まれる一体感が好きなんですけど、そこにはいつもロックアンセムと呼ばれるライブで欠かせない楽曲が在って。そういうロックアンセムの存在があらゆる世代を超えてひとつになれる空間を作ると思います。そういう意味ではヤバイTシャツ屋さんなんてロックアンセムだらけですから」
こやま「僕らを初めてテレビに呼んでくれたのもジュンさんなんですよ。その頃まだ僕らは『テレビでは歌わへん』って言っている時期やったのに音楽番組にトークだけで呼んでくれて(笑)。だからバンドの10周年を機にテレビでの歌唱を解禁したときに一発目はジュンさんの番組で歌わせてもらいました。四星球の20周年の特集なのに四星球より多い、3曲も歌わせてくれました(笑)。ジュンさんがいることで僕らみたいなバンドがテレビに出ることが出来るので早くテレビ朝日でもジュンさん発信の音楽番組を作って下さい」
Ken Yokoyamaが、10-FEETが、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが音楽番組に出た日の衝撃は今でもよく覚えている。テレビというメディアで、ライブバンドの熱狂を伝える役割、それがテレビマンでありバンドキッズである三浦だった。そんな三浦が番組制作を離れ、イベント制作となり立ち上げたのが『ロックアンセム』なのだ。
こやま「分かっている人が作っているイベントは信頼出来るんですよ。その上で、ライブハウスが好きな人だけじゃなくて、新しい人やファミリー層のことまで考えているんだから、優しいイベントやなと思います」
三浦「テレビで番組を作っていた僕が言うのもなんですけど、ロックバンドの魅力はやっぱりテレビで観るよりも、現場で観るのが一番伝わるんです。ロックのカルチャーがこれからも続いていくために立ち上げた『ロックアンセム』でロックシーンを盛り上げていきたいです」
誌面連動Q&A
- Q.
手土産を選ぶポイントは?
A.
三浦 僕は職業柄ライブに手土産を持っていく文化があったんですけど、もちろんアーティストに合わせて好きそうなものとか、以前渡して喜んでくれたものを選びます。何組も出演するようなイベントの際は、みんなが食べられるような量がたくさんあるものを持っていきます。差し入れってたくさんもらうことも多いと思うので、生ものとかでその場で食べなければいけないようなものではなくて、みんなが持って帰れるものがいいですね。
こやま ちょっとしたサプライズをしたいなと思っています。たとえばお酒を差し入れするにしても、普通のお酒ではなくて、ハブが一匹入っているハブ酒とか。お菓子でハッピーターンを差し入れするにしても、東京駅限定でパウダーが300%のものがあるのでそういうものを持っていくとか。また、ビクターロック祭りの時は、ビクターの犬に対抗して「ねこのクッキー」を差し入れしました。ちょっとだけひねって、そこで自我を出したいですね。
プロフィール
三浦ジュン/みうらじゅん
テレビ朝日でイベント制作に携わる。音楽イベント「JUNE ROCK FESTIVAL」「若者のすべて-YOUNG,ALIVE,IN LOVE MUSIC-」などのプロデューサーを務める。
こやまたくや
ヤバイTシャツ屋さんのボーカル&ギター。'16年にメジャーデビュー。バンドのほぼすべての楽曲の作詞・作曲を担当している。
公演情報
ロックアンセム- BY ROCK LOVERS, FOR ROCK LOVERS -
- 4/5(土) 幕張メッセ9,10,11ホール
- 4/6(日) 幕張メッセ9,10,11ホール
[出演]
- 【DAY1-4/5】 キュウソネコカミ、go!go!vanillas、ハンブレッダーズ、BLUE ENCOUNT、ヤバイTシャツ屋さん 他
- 【DAY2-4/6】ACIDMAN、ザ・クロマニヨンズ、ストレイテナー、10-FEET、ハルカミライ 他
インタビュー・文/柴山順次
Photo/古谷 春
構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載