【インタビュー】paionia
「りんご音楽祭」の魅力とは? 2年連続出演のpaioniaに聞く
長野県松本市の名物フェスになった「りんご音楽祭」。メジャー、インディペンデント問わず、ジャンルもロックやヒップホップ、エレクトロなど多彩に時代を映す。北アルプス連峰や安曇野を一望できる環境でありつつ、松本駅からバスで20分という気軽さも嬉しい同フェス。新型コロナウイルスにも最大限の注意を払って12年目の開催が決定した。昨年、初出演し、今年も出演予定のpaionia。ライブハウスでの活動が主軸で、野外でのライブは'18年のFUJI ROCK FESTIVALでの「ROOKIE A GO-GO」など、まだ数少ない彼ら。昨年、シンプルなギターロックを投げかけた手応えや、あの場所での経験はどんなものだったのだろう。
高橋勇成 野外でのライブ経験がほぼなかったので、また知らない扉が開いた感じでしたね。お客さんと俺らが相互に影響し合って、どんどん没入していくというか。とてもいいライブだったと思います。
菅野岳大 GEZANが『東京』って曲を演奏していて衝撃的だったな。paioniaにも同じタイトルの曲があるけど、それぞれの『東京』を制作たらしめた痛みの中に、共通するものがあるような気がする。
paioniaは「りんご音楽祭」が未来の音楽シーンを担うアーティストを発掘する「RINGOOO A GO-GO」の昨年のグランプリも獲得。3月6日に渋谷TSUTAYA O-nestで7組のミュージシャンが熱演を展開、その中から選出された。
高橋 緊急事態宣言前ではありますが、コロナの魔の手が確実にそこまで伸びていた時だったので、まずあの場所にいた人達への感謝は大きかったです。あとはいつも通り一曲一曲心を込めて演奏しました。正直いつも自信はあるのですが、今までことごとくこういうのをギリギリで逃してきたので(笑)、実際に名前を呼ばれた時はとにかく嬉しかったですね。普段から支えてくれる人も少なからず観に来てくれていたので、少し恩返しができた気持ちにもなりました。
結成から10年以上、マイペースに見える活動を続ける2人だが、最近はコンスタントに配信シングルをリリース。20代前半のオルタナ/グランジ世代との対バンも増加傾向にある。徐々に観客ありライブも再開しているが、以前と同じ状態での実施は難しい状況だ。
高橋 ライブに対する思いは変わったというか、ある思いが強くなりましたね。いくつかのバンドが無観客配信ライブをやっていたのを観て、今までのライブの代替にはならないなと。ライブってリアルタイムであると同時に、やっぱり生だからライブなんだなと強く思いました。特に俺らは、生じゃないとお客さんとの契約が成立しないみたいな感じがしてます。契約って何だかわからんですけど(笑)
バンドと観客の相互作用――高橋が昨年の同フェスで感じたことは普段のライブでも一貫しているのかもしれない。その上でこのフェスを体験した一人として魅力を伝えるとしたら?
高橋 俺らがこのまま『りんご音楽祭』に出続けるとするならば、大自然の中でpaioniaが音を出す、ここしか実体験としての魅力は伝えられないです(笑)
菅野 ヒートアイランド現象から遠く離れてて、かつ移動がおっくうになるほどの規模ではなくておすすめです。参加しやすく、かつ本格的な野外フェスなのか? たぶん。
プロフィール
パイオニア
福島県で生まれ育った高橋勇成(Vo/Gt)と菅野岳大(Ba)が中心となり2008年に結成。そのバンド名はゆらゆら帝国の曲名に由来する。
公演情報
りんご音楽祭2020
9/26(土)10:00 長野県松本市アルプス公園
9/27(日)10:00 長野県松本市アルプス公園
▼長野県内のLoppiのみで販売
※公演が中止・延期になる可能性がございますので詳細は各公演の公式HPをご確認ください。
インタビュー・文/石角友香
構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載