スナック月刊【今月のお客様】野口純一

 

スナック月刊【今月のお客様】野口純一

移動式スナック「月刊」には毎月いろいろなお客様がやってきます。多種多様なジャンルで活躍するお客様から、聞き上手のママが読者の皆様のお役に立つお話を引き出します。今月のお客様は、野口純一さんです。

仕事を自分のやりたいことに変える。いい意味の公私混同!

 

面白いところは人にやってもらう

野口 こんばんは!

ママ あら野口さん、待ってたわよ~。お忙しいの?

野口 街なか音楽祭「結いのおと2020」が4月にあるんですよ。

ママ やだ、もうそんな季節? 私は6年前の第一回目から行ってるわよ。 結城市の街中が会場になっていて、酒蔵だったり、神社だったり、野外だったり楽しいわよね。今年はどんな感じなの?

野口 今年は会場も増えて、出演者も増えて、ますます楽しんでもらえそうですよ。

ママ 毎年いいアーティストが出るのよね。今年は私、堀込泰行(exキリンジ)さんを楽しみにしてるの。あんなに間近で演奏が観られるなんて、滅多にないわよ。

野口 おかげさまでお客さんも毎年増えているんですよ。完売しちゃう前にチケットを取っておいてくださいね。

ママ はーい。でも野口さん、この企画はあなたが取りまとめてるんでしょ? 大変じゃない?

野口 そんなことないですよ。

ママ だって結城市って観光地じゃないし、シャッター街だったあの場所で、「結いプロジェクト」を発足して、街の人と協力し合って、街中を使ったマルシェ「結い市」を開いたりしながら人が来る街に導いていったのはあなたでしょう?

野口 いやいや! 俺一人の力じゃないですよ!

ママ 野口さんって「俺が俺が」って感じじゃないのよね~。でもこのプロジェクトってメンバーの方は自由参加なんでしょ? それでよく11年も続いてるわよね。

野口 そこは敢えて緩くやっています。プロジェクトを長く続けたいので、無理に参加してもらっても続けられないと思いますしね。でも初期メンバーはほとんど今もいますよ。

ママ それは素敵。どんな人に声をかけたの?

野口 自分と同じくらい楽しんでもらえそうな人です。今ではビジネスとして関わる方も増えましたが、初期メンバーは相変わらず楽しんでやってる感じですね。

ママ プロジェクトが大きくなって関わる人が増えてくると、温度差って生まれない?

野口 ああ、それはあります。でも基本的にプロジェクトの構成は僕がやらせてもらって、その人にとって面白いところ、得意なところを一緒にやってもらう感じにしているんですよ。

ママ その人の温度のまま参加できる場を野口さんが提供するって感じ?

野口 そうです!

ママ そうしたら野口さんは「俺ばっか大変」ってなっちゃわない?

野口 なります(笑)。でも当日の街の風景とか見るとチャラになっちゃうんですよ。

ママ イベントに人が来なかったこととかないの?

野口 あります、あります。

ママ 落ち込んだ?

野口 落ち込むけど、みんなやさしくて、フォローしてくれるので、助けられてます。あと、メンバーに相方みたいな人がいて、公私すべての悩みを聞いてもらっているので(笑)。その存在は大きいです。

ママ 周りの人にも頼ってるのね~。

 

みんなが居やすい場をつくる

ママ 野口さんってどんな子だったの?

野口 家はたまり場でしたね。クラスメイトだけじゃなくいろんな人がうちに来てました。

ママ へえ~。みんなが居やすい場をつくるのが上手な人なのかもしれないわね。

野口 あ、そうかも。今も「まとめる」というよりも、「居やすい空気をつくる」をやっているかもしれないです。

ママ たださ、イベントの実施にはメンバーだけじゃなく街の人の協力も必要でしょう? いろんな考え方の人に協力してもらうって大変じゃない?

野口 そこはやっぱり10年かけて理解してもらってきたところです。プロジェクトの考えは毎年街の人に説明しています。どんなにがんばって人を呼んできても、街の土壌が整ってないと、人もイベントも根付きませんからね。まずは「受け入れる」という土壌づくりをしなくちゃいけないと思ってやっていました。

ママ 街でライブして音の苦情とか来ない?

野口 来ました。たまたまお肉屋さんの方だったので、翌年、出店してもらったんですよ。そしたらお客さんに好評で。仲間になってくれました。

ママ 「北風と太陽」みたいな話ね。野口さんが大仏様に見えてきちゃう。イライラしたりしないの? 会議に来るけどなにも考えてない人にこんにゃろ! って思ったり。

野口 (笑)。そういう人にはツッコみつつやってます。僕が堅苦しくやるのが嫌いですし、みんなで面白がりながらやることが大事なので。

ママ もともと、こういうことがやりたかったの?

野口 元は商工会議所で先輩から引き継いだ仕事だったんですよ。でもそのままやっても面白くないなと思って、「これを自分の“やりたいこと”に変えよう」とプロジェクトを立ち上げました。だから、いい意味での公私混同です。

ママ でも公私混同ってすごく難しいラインじゃない?

野口 僕、前職がアパレルなので服で例えちゃうんですけど、そこはコーディネートの「はずし」みたいなものだと思うんです。「はずし」って、王道に少し自分らしさを入れることで、自分らしさになりますよね。でもバランスがくずれるとすべて台無しになる。今も、プロジェクトの活動に自分のやりたいことを「はずし」で入れているような感覚です。それが個性になると思いますし。

ママ なるほどね~。そんな「はずし」も楽しめる『結いのおと2020』、楽しみにしてるね。

 

プロフィール

ノグチ ジュンイチ

結いプロジェクト発起人。結城商工会議所 経営指導員。NPO法人日本ミュージック協会理事。2007年にアパレル企業を退社し、結城商工会議所に入所。2010年に結いプロジェクトを立ち上げ、「結い市」や「結いのおと」などを展開している。

 

公演情報

 

街なか音楽祭『結いのおと-YUINOTE-』

 

<第1部>4/18(土)11:00~18:00

<結いの宴>4/18(土)18:00~20:00

<第2部>4/19(日)11:00~19:00

※雨天決行・荒天中止

 

 

取材/中川實穂

撮影/山本倫子

構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載