【インタビュー】西川貴教

 

西川貴教

『イナズマロック フェス』は人が作った結晶だと思う

 

一昨年、T.M.Revolutionとしてデビュー20周年を迎え、今年は「西川貴教」名義として初となるシングル『Bright Burning Shout』のリリース、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』への出演など、多方面で活躍。そんな多忙を極める西川貴教が主宰する『イナズマロック フェス』が、今年でついに10回目を迎える。

「本当に色んなことがありましたし、近年は悪天候で中止になったりもして…。3日間開催は今年が初になるんですが、もともとは昨年、台風で中止になった1日分のキャリーオーバーという話から始まったんです。一昨年も荒天で途中中止になって、その後に出る予定だったMAN WITH A MISSIONとUVER worldのメンバーと、夜ホテルで集まったときに、「もう1回やりましょうよ!」という話になって。その中止した分を取り戻す形で、昨年は開催前日に『イナズマロックフェス 2016 リターンズ』をやらせてもらったんです。昨今、野外フェスやイベントも増えている中で、出演してくれるみんながこれだけ熱を持ってくれているのは、本当にありがたいことだと思います。今年の10回目というのは自分にとっても大きな節目なので、ここまでの10年をきちんと振り返られるように、第1弾アーティスト発表の直前に3日間開催を決めました」

西川の故郷である滋賀県で、地元行政と一体となり行われてきた『イナズマロック フェス』の10年。今やただのいちフェスに留まらず、地域にとっても無くてはならないお祭りとなっている。

「本当に支えてくれているみなさんあってのイベントだなととても思います。今年は県全体の観光キャンペーンにも協力させていただいて、それにちなんだイベントに出席したり、テレビ番組のロケを地元でさせてもらったりすると、イナズマを始めた頃とはまったく違うリアクションなんです。『いつも観てるで、応援してるで』って言ってくださる方が本当に増えました」

そして、過去最大規模となる今年のラインナップに関しても、西川の熱い想いから1組1組に声をかけていくという情熱は変わらずだ。

「アーティストによっては、『無理やって言いましたやん!』、『いや、そこを何とか!』みたいにもう1回誘いますからね(笑)。ただ旬のアーティストが出てるからというより、そういったストーリーを感じて観にきてもらえるイベントになっているのは、本当に嬉しいです。正直、あまり効率的なやり方じゃないけど(笑)、だからこそ実現できているラインナップなのかなと思います」

入場無料のフリーエリアのステージからステップアップしたTHE ORAL CIGARETTESや04Limited Sazabys、『イナズマゲート』というオーディションから勝ち上がったThinking Dogsなど、この10年の間に成長を遂げて帰ってくるアーティストが多いのも、『イナズマロック フェス』の特徴の一つといえるだろう。

「それぞれが成長してきちんと返しに来てくれるんですよ。フォーリミも今では自分たちでフェスをやっているし、そんな風に頑張っているヤツらのところに、いつか僕自身も恩返しに行きたい。ROTTENGRAFFTYも昨年、自分たちのイベントに僕を呼んでくれて、その気持ちがすごく嬉しかったので、ステージ上で「来年『イナズマロック フェス』に出てくれよ!」って言って、こうやって実現したんです。『イナズマロック フェス』は本当に“人”が作った結晶だと思います」

毎年、ここだけのコラボや飛び入りも話題となる『イナズマロック フェス』だけに、今年も目が離せない3日間になりそうだ。

「今回はそういった繋がりも多いし、このイベントでしか観られないものをたくさん提供できたらいいなと思っています。ただね、人のイベントに出させてもらうときは、「うわ、フェスっておもろいな!」と思うんですけど、『イナズマロック フェス』をやってるときは、自分の家に人を招いてる感覚っていうんですか?『あの人、お酒が足りてはらへんのちゃうか?』とか『もうパスタあらへん』とか『また玄関に誰か来はった!』とか、そういうのに近い(笑)。だから、楽しんで帰ってくれるお客さんの姿と、『また出たい!』って言ってくれるアーティストの声が、本当にご褒美なんです。恥ずかしいですけど、泣かずに3日間終われるかどうか(笑)。そうやってみなさんに支えていただいて10年続けてこられたイベントが、今年は大きな節目を迎えますが、これもひとつの通過点だと思っています。きちんと10回目にケリを付けて、またあの場所から新しいスタートができればと思っています!」

 

プロフィール

ニシカワ タカノリ

'70年生まれ。滋賀県出身。'96年にソロプロジェクト「T.M.Revolution」としてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー。以後、「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」など大ヒット曲を連発。

 

公演情報

 

イナズマロック フェス 2018

 

9/22(土)14:00    滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場(滋賀県琵琶湖博物館西隣多目的広場)

9/23(日・祝)14:00  滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場(滋賀県琵琶湖博物館西隣多目的広場)

9/24(月・休)14:00  滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場(滋賀県琵琶湖博物館西隣多目的広場)

 

 

インタビュー・文/奥〝ボウイ〟昌史

構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載