【インタビュー】lynch.
“lynch.とはこれ!”という景色を魅せる場所
「歌詞に特に意味はないんです」とボーカルの葉月は言う。その言葉はとても意外だった。“ヘヴィなサウンドにメロディアスな旋律”を個性とするlynch.の放つ楽曲は、最新のロックと90年代の邦楽ロックを彷彿とさせる懐かしさを感じさせるものであり、その旋律に乗った歌詞はとても心地よく響くことから、そこに特に意味を持たせていないということがとても意外だった。
「もともと邦楽がルーツなんですが、あまり歌詞を見るという聴き方をしてこなかったんです。曲を聴いて想い浮かべた景色や風景を伝える感じで、言葉を歌詞にしていくことが多いですね。脳内旅行をする感覚というか。自分が音楽を聴くとき、いつもそういう感覚で聴いていて、歌詞カードを見ながら妄想にふけるんです。だから、自分が歌詞を書くときもそういう感じで書いていくんですよね。それに加えて、美しい世界を想い浮かべて書いていくなかで、ふとそこに突然汚い言葉を入れてみたらどうなるかな? とか、この楽曲、このメロディとこの言葉を載せたらより美しくなるだろうなとか、パズルのように遊びながら書いたりもするんです。音に対して歌詞の響きが良いようにすごく母音には気を遣っているので、意味やメッセージ性はないとはいえ、歌詞へのこだわりは強いです」
結成から14年。そのこだわりもますます強くなっているのだとか。lynch.は今、過去最大の動員数を叩き出している。
「20代後半にやっていた頃は赤坂BLITZくらいのキャパの集客だったんですけど、自分が憧れていた先輩バンドは、20代中盤でアリーナとか東京ドームとかの規模でライブをやっていたということもあり、自分的には、『自分はここ止まりなのかな?』って諦めかけていたんです。でも、結構無理して東名阪の大箱で無料ワンマンをやってみたところ、ちょっと気になっていた人たちがライブを観に来てくれたこともあり、動員が一気に増えて、その流れでいろんな先輩バンドが声をかけてくれるようになって。自分が憧れていたバンドのファンの人たちとの親和性は確信していたので、そこで掴める自信はあったんです」
2018年の3月に幕張メッセ国際展示場にて6000人を動員した彼らは、その後にリリースしたアルバム『Xlll』で、更なる高みを目指すために、“lynch.らしく売れること”を意識した作品作りを行ったのだ。『Xlll』を引っさげ、様々な経験を広げたlynch.は、10月1日(火)のZeppDiverCity(TOKYO)から『ZEPP TOUR'19[XV]act:0-OVERTURE-』をスタートさせる。
「去年から今年にかけてやってきたツアーが、持ち曲を全曲披露するという、とてもコンセプチュアルなものだったんです。10カ所で150曲全部やるっていう。全箇所来てくれたら全曲聴けるという、なんともファン泣かせのツアーをやっていたわけですが(笑)、すごく人気のツアーだったんです。やる側も毎回セットリストが違うので、めちゃくちゃシンドかったですけどね(笑)。その後に、『Xlll』のホールツアーで東名阪をまわったんですけど、lynch.ってやっぱりライブハウスで育ったバンドなんで、ホールは特殊な扱いだったんです。それもそれですごく良かったんですけど、今回はZEPPツアーなので、やり慣れたライブハウスでのライブが思い切りできるなって感じなんです。いろんな冒険をしてきたうえで、“lynch.とはこれ!”というライブをやりたいなと思っているので、ぜひ楽しみにして来ていただきたいなと思います」
プロフィール
リンチ
葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(Ba)、晁直(Dr)から成る5人組ロックバンド。'04年8月に結成。'11年にアルバム『I BELIEVEI N ME』でメジャー・デビュー。
公演情報
ZEPP TOUR'19[XV]act:0-OVERTURE-
10/1(火)19:00 Zepp DiverCity(TOKYO)
10/6(日)17:30 Zepp Fukuoka
10/10(木)19:00 Zepp Nagoya
10/20(日)17:30 Zepp Osaka Bayside
【HALLOWEEN NIGHT】10/31(木)19:00 Zepp Tokyo
11/17(日)17:30 Zepp Sapporo
インタビュー・文/武市尚子
構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載