【インタビュー】King Gnu
10月からの全国ツアーで最新型のKing Gnuを!
10月14日よりKing Gnuの全国ツアー『Live Tour 2019 AW』がスタートする。約1ヶ月、13公演のツアーを前に4人の意気込みを聞いた。
メジャーからの初アルバム『Sympa』、そして配信シングル「白日」の大ヒット。今年の音楽シーンで記録的な旋風を巻き起こしているのがこのKing Gnuだ。今の彼らはジャンルや世代を超えながら、またライト層からディープな音楽好きまで、実にさまざまなリスナーにリーチしているほど、超注目の状況にある。しかし取材の席についた当の4人はいたって落ち着いている。
勢喜遊 バンドの中の変化ですか? いやぁ……特にないですね。
井口理 そんな感じですね。周りから『売れたね』と言われるぐらいで、あまり実感はないです。
暴風雨の中心は、静かな台風の目。そんな印象を受けるほど、4人の雰囲気はクールなのだ。
新井和輝 もともとロック・バンド然とした成り立ちじゃないので、何が起こってるのか、あまりわかってないんですよね。『今ガーッと来てるね』とか言われるんですけど……だから『ピンと来てない』というのが正直なところだと思います。
常田大希 (ヒットしたことは)いい面とそうじゃない面と、半々ですね。自分たちには『ヤバいものを作ってこそ幸せ』みたいなところもあるので、そこは(売れることとは)また別の問題なんです。もちろん動きやすくなった部分もありますけどね。
そう、King Gnuは、常田が思い描くサウンドを具現化していくことを目的にして結成されたバンドだ。だから普通のバンドのように、仲のいい友達同士で成功を夢見たり、「武道館が目標です」みたいなことを掲げてきたのではなく、理想のあり方自体に強い独自性がある。しかしそれでも「白日」が大きく支持されたのには手ごたえがあったのでは、と思うのだが……?
常田 たしかにあの曲は(ヒットを)狙って撃ったので、ビンゴ! みたいな気持ち良さはあります。作ってる時から『これは行くね』と話してたし。ただ、そこで味をしめることはないし、考えを左右されることもないですね。だから今も平常運転です。
恐ろしいほどの冷静さ! だがその一方で音楽自体は熱さを増しているのだから、このバンドのバランスは本当に面白い。配信リリースの新曲「飛行艇」は、テニスの大坂なおみ選手が出演するANAの国内CMソング。これが観衆の大歓声から始まり、雄々しいギターが鳴り響く、すさまじくダイナミックなロック・ナンバーなのだ。
常田 みんなが大合唱して成り立つ曲ですね。今回は『オリンピックに向けての曲を作ってほしい』というオファーがあったので、そういう血が沸き立つようなものにしたかった。今のKing Gnuはライブにしても会場がめちゃめちゃデカくなっていってるので、そういう場に映える曲を作るのが合ってると思ったし。あとは俺、(ジブリ映画の)『紅の豚』が好きなので、タイトルにはそれもあるかな。そこでちょっとハードボイルドなイメージで作りました。
井口 僕は歌入れをしなきゃいけないんで、曲のデモが送られてくる時は『どんな歌を唄うことになるのかな?』って、いつもソワソワしちゃうんです。目隠ししてどっかに連れて行かれるバラエティ番組みたいな感じで(笑)、それが『白日』では北欧だったのに、今回の『飛行艇』では砂漠!? みたいな。……あ、『紅の豚』の舞台はイタリアだっけ? じゃあシチリアかどっかの海ですかね(笑)。そんなふうに『また新しい道を見つけて、たどり着かなきゃいけないんだな』みたいなレコーディングでした。
そうした言葉に対して「何だよそれ!」と笑いながら、突っ込み合うメンバーたち。バンドのムードは良さそうだ。
新井 ドン・ドン・ドン・ドン、っていう4つ打ちのビートをこのバンドでやるのは初めてなんです。『飛行艇』にはそういう新しいところもあるし、みんなで唄える曲だし、うまくできたかなと思いますね。
勢喜 ロック・チャレンジですね。ビートが強い曲だから、これをライブでやるのが楽しみです。10月からのツアーでは今までにやったことのない曲も演奏すると思いますけど、お客さんはそれに戸惑わず、こちらが出した音そのものを楽しんでほしいですね。
今度の全国ツアーではこの最新型のKing Gnuが味わえそうだ。そして現在の彼らであれば、その期待値を大いに高めておいてもOKだろう。
井口 ツアーの詳しい内容はこれから決めていくところなんですけど、僕個人で言うと、いまジムに通ってるので、ぜひ身体のラインを見てほしいです(笑)。かなりパンプアップした自分を見せられると思います!
常田 ライブでは照明とか演出ももちろんありますけど、King Gnuにはそうしたもの以上にバンドを、『人』を立たせることが前提にあるんです。だから自分たちそれぞれがパンプアップすることが大事だと思うし、そこでバンドとしての成長を見せたいですね。そして自分たち自身もスペシャルな体験ができるようなライブが作っていけたら、と思います。
プロフィール
キングヌー
クリエイター常田大希(Gt.Vo.)が'15年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。常田、勢喜遊(Drs.Sampler)、新井和輝(Ba.)、井口理(Vo.Key.)の4名で、'17年4月26日から、バンド名をKing Gnuに改名し活動中。
公演情報
King Gnu Live Tour 2019 AW
10/14(月・祝) 仙台GIGS
10/20(日) 京都KBS HALL
10/22(火・祝) 東京・日比谷野外大音楽堂
10/27(日) Zepp Sapporo
10/31(木) Zepp Nagoya
11/1(金) Zepp Fukuoka
11/3(日・祝) BLUE LIVE HIROSHIMA
11/4(月・休) 高松Festhalle
11/6(水) Zepp Osaka Bayside
11/7(木) Zepp Osaka Bayside
11/16(土) Zepp DiverCity (TOKYO)
11/17(日) Zepp DiverCity (TOKYO)
11/26(火) Zepp Tokyo
インタビュー・文/青木優
写真/Kousuke Ito ・ Ayumu Kosugi
構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載