【インタビュー】川嶋あい

 

川嶋あい

都々逸から着想した、恋する女性のつぶやきの歌

 

6月3日(水)発表予定の川嶋あいの9枚目のアルバム『針の穴』は、都々逸(どどいつ)や短歌から着想を得て、制作がスタートした作品。ちなみに都々逸は江戸末期から明治時代に流行した口語の「7・7・7・5」の定型詩だ。

「都々逸を書かないかというオファーをいただいたのが最初のきっかけですね。その後、自分が書いた都々逸も入っている本(『26文字のラブレター』)を頂いて読むうちに、駆り立てられました。都々逸はもともとは寄席やお座敷で歌われていた歌なんですが、一対一でしっかり向き合った恋の歌が多いんですよ。自分も恋する女性のいろんな表情を歌にしてみたくなりました」

江戸時代からあるものだが、難解でも古風でもない。逆に親しみやすさが魅力になっている。

「都々逸は情歌としての魅力がありながらも、クスッと笑えたり、ああそうだねって共感できたりして、スッと自分のものとして受け取れる気軽さがあるので、現代の若い人たちでも自然に受け取ることができるんじゃないかと思います。J-POPの起源みたいなものでもあるかもしれないですね」

『針の穴』というアルバム・タイトルにはこんな意味が込められている。

「都々逸って何が言いたいのか、核の部分が明確なんですよ。『針の穴』にはいろんな意味があるんですが、針でブスッと刺すみたいな感覚に近いということもその一つですね。片思いを描くにしても、その感情がいまどのあたりにあるのか、瞬間をシャッターで切る感覚で表現していけるところがいい。自分自身、これまでそういう描き方をほとんどしてなかったので、新たな気持ちで創作できています」

ピンポイントで恋の瞬間を切り取って描いた『針の穴』は彼女の新境地となりそうだ。

「これからアレンジを完成させて歌入れをする予定ですが、楽曲に命を吹き込む作業なので、丁寧にやっていきたいです。今の時点で感じているのは一瞬を切りとるのは奥が深くて楽しいということ。カップル間の感情を描くにしても、今日と明日では違う思いが生まれてくるだろうし、いろんな切り取り方があります。だから短歌にしても都々逸にしても、たくさんの恋の歌が生まれてくるんだろうし、私も『針の穴第2章』みたいな感じで続けていけたらと思っています」

アルバム名が冠されている『LIVE TOUR 2020針の穴』も6月28日(日)からスタートする。

「都々逸や短歌から着想を得たアルバムの世界観を再現しようと考えているので、衣装から小物まで、和のテイストを大事にしていこうと思っています。新曲はもちろん、新しいアルバムのコンセプトにあった楽曲、恋する女性のつぶやきを描いた歌をお届けしていきたいですね」

今回のツアー、1本ごとに第一楽章、第ニ楽章と数字が増えていき、ツアーのファイナルの8月20日(木)の東京公演、ヒューリックホール東京でのステージが最終楽章ということになる。

「8月20日のライブは、いつもは1年に1回だけのステージとしてやっていて、ツアー・ファイナルにしたのは十何年ぶりで2回目です。ツアーをやると決めた時に、その最終楽章を8月20日にやりたいと直感的に思ってしまったんです。新作があるからこその発想だと思いますが、新旧交えたセットリストになる予定なので、私自身もそれらの楽曲の化学変化をとても楽しみにしています」

 

プロフィール

カワシマ アイ

I WiSH解散後、'06年よりソロ活動開始し、今年デビュー17年目に突入。代表曲「旅立ちの日に…」は卒業ソングの定番として人気を誇り、卒業式シーズンにはサプライズライブも実施している。

 

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公演情報

 

Ai Kawashima LIVE TOUR 2020 針の穴

 

6/28(日)17:00 福岡・イムズホール

7/11(土)17:00 大阪・YES THEATER

8/20(木)19:00 ヒューリックホール東京

 

 

インタビュー・文/長谷川誠

構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

 

 

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川嶋あい

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