【インタビュー】神はサイコロを振らない
上昇気流に乗る神サイ、レコ発ワンマンツアー
前作『ラムダに対する見解』を引っ提げたツアーではソールドアウト続出。2019年は数々の大型ライブイベントにも出演し、実力を猛然と磨き上げてきたロックバンド、神はサイコロを振らない。作詞作曲を手掛けるフロントマン・柳田周作に、まずはニュー・ミニアルバムを『理- kotowari-』と名付けた理由から尋ねた。
「前回のリリースツアーが終わった昨年の夏から本格的に制作に入り、10月にはレコーディングが始まっていました。前作の1曲目『アノニマス』も社会に踏み込んでいった曲だったんですけれども、今作はもっと“人”の部分に踏み込んでいきたいな、と。『自分って何なんだろう? なぜこの世に生まれてきて、何のために生きているんだろう?』と自問自答するような、存在意義をディープに掘り下げるアルバムにしたかったんです」
リード曲「ジュブナイルに捧ぐ」は、自分らしさとは何か? を問う、雲間から差し込む眩い光のような、力強くも軽やかなミディアムナンバー。スランプに陥ったメンバーを励ましたい、という切実な気持ちを発端に、普遍的な歌詞へと昇華した。
「10代20代の人たちは誰しも、しがらみのなかで生きていると思うんです。例えば、親御さんの『あなたはこう生きてほしい』という願いと、『自分はこの道を進みたいんだ』という本当の夢との間で、子どもたちは揺れ動いていて。いろんな意見もあるしいろんな大人もいるけど、自分らしく生きてほしい。そんなメッセージを伝えられればと」
挑発的なメガホンボイスで“常識を疑え”と警鐘を鳴らす「解放宣言」はパンキッシュに攻める。
「法律、コンプライアンスというのは、そもそもは人間を守るためのもののはずなのに、果たして本当に人のことを守れているのか? それで逆に報われない人たちもいるんじゃないのか? と問い掛けたかった。“当たり前だ。正しい”と思っていたことが実は全然そうではないことも日常的にあるので、『気付いてくれ!』と投げ掛けています。ライブでどうアプローチするかが一番楽しみな曲でもあります」
「揺らめいて候」「胡蝶蘭」という好対照なラヴソングで深く引き込み、ラスト、「等身大の自分が最も出た」と振り返るドラマティックでエモーショナルなロッカバラード「illumination」で結ぶ。
「『神サイのフロントに立って、俺は誰かを救えているのかな?』『自分はなぜ歌っているんだろう?』という根本の部分を見つめ直して書いた曲です。2年前に九州から上京してびっくりしたのが、夜空に星があまり見えなかったことなんですね。それを見て、『東京は人も多いし、本当に一握りの人しか輝けないんだな』と…。その一方で、遠い昔に消えて無くなっている星の光がいまだに届いてキラキラと輝き続けているのは、音楽に通じるな、とも思って。才能があるなんて思っていないけど、自分にはやっぱり歌うことしか無い。残せる限りたくさん音楽を残して、それが何十年後、何百年後も受け継がれていったらすごく幸せなことだな、という想いを込めて、この曲を書きました」
3月からはバンド結成地・福岡を皮切りに、前回より規模を拡大したワンマンツアーがスタート。
「もっと感情的でもっとダイナミックで、もっと派手だけど切ない部分はもっと切なく、前回のワンマンツアーの10倍ぐらい洗練された時間にしたいです。更にどんどん新しい曲もつくって、ツアーではサプライズで何かできたら最高だな、と思っています」
プロフィール
カミハサイコロヲフラナイ
柳田周作(Vo)、吉田喜一(Gt)、桐木岳貢(Ba)、黒川亮介(Dr)からなる福岡発の4人組ロックバンド。
公演情報
神はサイコロを振らない Live Tour 2020 “理 -kotowari-”
3/27(金)19:00 福岡BEAT STATION
3/29(日)17:30 広島Cave-Be
4/1(水)19:00 新潟CLUB RIVERST
4/3(金)19:00 仙台enn 3rd
4/5(日)17:30 札幌Spiritual Lounge
4/11(土)18:30 東京・WWW X
4/18(土)18:30 OSAKA MUSE
4/19(日)17:30 愛知・アポロベイス
インタビュー・文/大前多恵
構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載