【インタビュー】GRAPEVINE
貴重なホール公演開催!進化し続けるグルーヴを体感せよ
今年2月に16作目のオリジナルアルバム『ALL THE LIGHT』を発表したGRAPEVINE。ホーン・セクションを取り入れたサウンドと〈愛の歌はどのくらい〉という歌詞がひとつになった「Alright」、エレキ・ギターの弾き語りによる「こぼれる」、“光の在り処”をモチーフにした「すべてのありふれた光」などを含む本作は、このバンドの多彩な音楽性が幅広く描かれた作品となった。アルバムを携えた全国ツアーでも彼らは、新作を軸にした最新型のGRAPEVINEをダイレクトに体現してみせた。
田中和将 以前からそうなんですが、アルバムの制作中は“ライブでどうやるか?”ということを考えていないんですよ。特に『ALL THE LIGHT』はホッピー神山さんにプロデュースをお願いしたこともあって、普段以上にいろんな音が入っているし、打ち込みやシンセベースを使っている曲もあって。新曲をライブでやるときも、音源をそのまま再現するというより、一からバンドで構築した感じなんですよね。
西川弘剛 アルバムにはかなりホッピーさんの色が入っているので、それをバンドの演奏に落とし込むのは結構大変でしたね。苦労しながら楽しんでいた感じです。
亀井亨 ツアーが進むにつれてだいぶ楽曲が馴染んできましたけどね。CDと同じではなく、いい意味で遊びを入れながら演奏できるようになってきたので。
ニューアルバムの新曲以外は、20年超のキャリアの中から人気曲、レア曲、人気曲を交えた幅広い楽曲を演奏。セットリストも公演ごとに変え、心地よい緊張感の中でツアーは進んだという。
田中 同じ曲を同じ曲順でやればクオリティは上がるかもしれないけど、段取りを踏んでいるようなライブになりがちだと思うんですよ。決まったことを続けるのが好きじゃないので(笑)、毎日少しずつ変えることが多いですね。なので最終日も“集大成”という感じではないです。どのライブもそうですけど、特別感が出てしまうのがイヤなんですよ。
優れた演奏テクニックと独創的な音楽センスがひとつになったGRAPEVINEのグルーヴは、今も進化を続けている。オーソドックスなバンドのスタイルとモダンな音響が共存していることも、このバンドの魅力だろう。
田中 イナたい感じになるのは避けてるかもしれないですね、もしかしたら。自分たちが聴いてきたロックの雰囲気は(演奏の中に)出ざるを得ないですけど、その解釈はオルタナティブでありたいので。
9月には大阪・NHK大阪ホール、東京・中野サンプラザホール、愛知・長久手市文化の家 森のホールで『GRAPEVINE FALL TOUR』を開催。貴重なホール公演をぜひ体感してほしい。
西川 今決まっているのは日程だけで、ライブの内容はまだまったく考えてません(笑)。ホールはあまりやってないので、楽しみですね。
亀井 普段とは違う照明も使えるだろうし、ゲストミュージシャンを呼んでもいいかもしれないし。スタンディングのライブとは違うこともやれそうですよね。
田中 2017年の末に国際フォーラム(ホールA)でやったとき、“ホールは自分たちの音楽に合ってるのかもな”と思って。ホールのほうが嬉しいというお客さんもいるだろうし、好きなように楽しんでもらいたいですね。
プロフィール
グレイプバイン
1993年に大阪で活動開始。田中和将(Vo/Gt )、西川弘剛(Gt )、亀井亨(Dr )GRAPEVINE FALL TOUR にサポートメンバーを加えて活動中。
公演情報
GRAPEVINE FALL TOUR
9/19(木)19:00 大阪・NHK大阪ホール
9/26(木)18:30 東京・中野サンプラザ
9/28(土)17:30 愛知・長久手市文化の家 森のホール
インタビュー・文/森朋之
構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載