【インタビュー】GeTO

2026/6/15(月)

GeTO

テーマは『ちょっと奇妙なもの、
何かに遭遇してしまったようなあやしげな感覚』

SNS時代の潮流を汲みながら、独自の哲学的視点をポップスへ落とし込む鬼才アーティスト、GeTO。耳に残るリリック、心躍るポップセンス、跳ねるビート、ネットカルチャー由来のスピード感。一方で歌詞に宿るのは、現代を生きるなかで抱える鬱屈や違和感。自分自身をどう世界へ接続していくかという切実な問いだ。

「これまで聴いたことのないサウンド、次のカルチャーとなる作品を作りたいです」

その言葉通り、GeTOの音楽にはジャンルをなぞるのではなく、カルチャーそのものを更新しようとする前向きな野心が感じられる。音楽の出発点はDTMだった。小学生の頃、フリーソフトDominoを使って耳コピで打ち込みを始めたことが最初の制作体験だという。

「ピアノやギターも家にありましたが、楽器を弾きたいというより歌うのが好きでした。歌いながら打ち込むのが好きだったんです」

幼少期にはテレビから流れるJ-POPを自然に浴びた。その後、中高生時代、ボカロや歌い手文化に深く触れていく。

「ネットカルチャーは独特の暗さがあるけど、それが嫌ではありませんでした」

その感覚は、現在の表現にも色濃く残っており、アーティスト名にもその感覚は反映されている。音の響きから決めたというが、『下』や『外』といったイメージも重ねられている。

「学校や社会的な場所で、自分をあまり出せない生活をしていて。その対極だったのが家でDTMをやっている時間でした」

だからこそ、音楽は彼にとって『掃き溜めみたいな、暗い場所』だったという。しかしながら、暗いまま提示するのではなく、ユーモアやポップさを通して届けるのがGeTOらしさだ。

「パッと聴いた時には重苦しくないけど、よく考えたら結構行き詰まっている感じを出せたらいい。ユーモアはリスナーに届けるための接着剤みたいなイメージです」

その『接着剤』として重要なのが、ダンサブルなビート感である。

「DTMから始めたので、エレクトロなキックがかっこいいと思っていました」

そう語るGeTOは、洋楽的な重たいキックや四つ打ち、ハウスやディスコ的なグルーヴにも強い関心をもってきた。近年の流行であるドラムンベースやK-POPにおけるハウス的な流れにも触れながら、「打ち込みをグルーヴさせることが、ひとつのセンスの指標になっています」と自己分析する。だからこそ人気チューン「充Den中」、「人間キョウセイ」、「鬼TAIZI」、「DEL」などでは、言葉や声、ビート、サウンドが立体的に絡み合う。

今年2月にリリースされたEP『ProjectGeTO』は、その探求の一区切りでもあった。GeTOは同作について、ボカロとロック、ファンク、ハウスなど「いろんなジャンルを混ぜてみる取り組みだった」と振り返る。しかし同時に、活動を続けるなかで一度は“GeTOを終わりにしよう”と考えた時期もあったという。そんなタイミングで「充Den中」の再生回数が伸び、韓国のリスナーにも届いた。

「あれが本当にギリギリ食いつないでくれました」

そこからGeTOは新体制へと舵を切る。現在は、サポートメンバーとともに制作やライブを進める新たなフェーズへ入った。

「サポートという形ですけど、ほとんどバンドメンバーみたいなイメージですね」

その新たなモードを象徴するのが、7月に開催する『GeTO Showcase Live「GEGEGE」』だ。キーワードにGeTOは『ゲゲゲ』を掲げる。

「『ちょっと奇妙なもの、何かに遭遇してしまったようなあやしげな感覚』をテーマに、アートワークやライブ演出も構想しています」

5月13日、どうしようもない現状に対して思考や価値観そのものを問い直した最新曲「爆zeロ!!」をリリースしたGeTOの次なる一歩に大いに期待をしたい。

プロフィール

GeTO/げと

ネットカルチャーを起点に、哲学的なテーマとポップミュージックを融合させるクリエイター・アーティスト。

公演情報

GeTO Showcase Live「GEGEGE」

  • 7/9(木) 19:30 大阪・Yogibo HOLY MOUNTAIN
  • 7/16(木) 19:30 東京・TOKIO TOKYO

インタビュー・文/ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載


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